陛下のお願い
眉間に皺を寄せる私をよそにお偉い方々は話を進める。
「確かに、余もルジアダは稀に見る胆力と能力の持ち主であることは重々知った。
昨晩のあの無鉄砲にも槍を投げつけて自滅を狙わせるとか、通常の令嬢では思いつかんだろう。
まあ、いずれにせよ、レオンハルト殿をはじめ、辺境伯とルジアダ嬢にも国から褒章を授与する予定だ。
あと、レオを助けた風の精霊殿はどうしたらいいか……」
「人間風情が精霊に褒章などおかしいだろ。
俺みたいに人間のふりをしてるなら別だがな」
意味深に積み木遊びをしているレオ君の面倒を見ているシャールに視線を送る学園長だが、シャールは涼しい顔をして無視。
「……まあ、俺達に褒章って、仰々しい式典なんぞするなよ。
まず、昔のフィリパの卒業生が今の俺を見て人間じゃないと大々的に知られるのは面倒なんだ。
今は大広間がぶっ壊れているから目録だけ渡したとでも言っておけ」
「大広間であの化け物を倒したレオンハルト殿の姿は多くの者が見ておりますが、年老いたフィリパの卒業生には……」
「あー、あれはまあ、状況が状況だったから仕方ないだろ?
とにかく誤魔化せよ。学園長の二世だとか三世だとか言っておけ。
そんな話してるよりも、テレジアの仲間探すのが優先だって指示だして忘れさせろ」
「それはもちろん仲間を探すのは最優先事項だが……。
ところで、レオ」
大人たちの会話の間、積み木遊びに熱中していたレオ君が、急に名を呼ばれて、赤い毛糸の帽子をかぶった顔だけこちらに向けた。
「ふえっ?
僕ー?」
「今日は他にも、……その、余はレオに頼みがあってきたのだ」
陛下がちょっと照れくさそうな表情を浮かべ、レオ君が遊ぶ床の前で座り込んで小さな肩に両手を置いた。
「レオ、その……余の息子と遊んでみぬか?」
「んー?」
「余の息子セドリックが、そなたがあのシャキラの……あの臭い蛇と戦ったレオの姿を見て、一緒に遊びたいと言うのだ」
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