魔族襲来
今日はおじい様も交えて夕飯を食べた。
食後、今日はレオ君を愛でたいおじい様のお膝の上に連行されお話し中。
「おじいしゃん、今日、僕はルフしゃんに会いましゅた」
「そうか、ルフ様は美しい大きな鷲の姿の精霊様だろう?
私が小さい頃先代の辺境伯の父に連れられて王宮に行った時に、見事な赤毛の美女の姿に変身されて王宮内を歩く姿を見たことがある」
「ふおっ!
ルフしゃんは女性でしゅたか!」
レオ君は今、ソファに座るおじい様の膝の上で今日神殿であった話を話していたが、いきなりおじい様の膝から降りると、反対側のソファに座るシャールにタタタッと走り寄って膝によじ登りシャールの耳元で何やら確認していた。
「うむ。ロビンは我が精霊だと知っておるから大丈夫だ」
「しょーでしゅか!
じゃあ、僕はシャールしゃんが今の人間になるまでどっちか分かりましぇんでしたって話しても問題ないでしゅね。
あ、おーしゃまはシャールしゃんのことを知ってましゅか?」
「うーむ。虎の姿であったことはあるが、人の姿の我が虎の姿の我だとあやつには言ったことはないなあ。
だが国王は、学園長が吸血鬼だということは知っておるぞ」
「しょーでしゅか。
今日神殿でルフしゃんがおーしゃまの前でレオおにーしゃんとシャールしゃんのことを言うかと思ってメーをしゅてしゅまいましゅた。
ルフしゃん、怒ってにゃいか、今度聞きましゅ」
「はははっ、神殿でいきなり叫んだのはそれが理由か!
ルフはそんなことでは怒らぬと思うぞ。
まあ、今度会ったらレオの気が済むようにすればよい。
さて、茶でも飲むか」
「あいっ」
その後、シャールの淹れたお茶を飲んでいると、ズドーン、ズドーンと足元から響く大きな爆破音と地響きが続けて聞こえた。
「どこからだ?」
「なぬっ?」
「うきゃあっ」
おじい様が窓を開けて外を見回し、シャールが立ち上がって、お茶を飲んだ後積み木で遊んでいたレオ君が積み木を放り投げて慌ててこっちに走ってくる。
その間も花火を打ち上げるかのようなドーンドーンという音が鳴り響き、ガラガラガラと瓦礫が崩れる音まで聞こえてきて、思わず私も窓を開けると、秋の冷たい風と共に、夜の闇を照らす灯の中、逃げまどう人の群れが見えた。
一体何が?
「失礼しますっ。
爆破音のような音はおそらく王宮の方角ではないかと」
扉越しに護衛の騎士さんの報告の声が聞こえた。
「確認に行ってくれるか?
ルジアダ、シャール殿、レオ君を」
シャールがレオ君を抱っこし、護衛の騎士がおじい様の指示をすると走り去る音が聞こえた。
「むー、おーしゃま達大丈夫?
レオおにーしゃんはまだいましゅか?
レオおにーしゃんがいたら大丈夫」
レオ君の中で学園長は最強ランクになっている。
きっとレオ君の頭の中では、学園長がいたらどんな敵でも片手間にやっつけてしまうと思っているのだろう。
「学園長は確か個人訓練がしたいとか言って一旦学園に帰ったと思ったが」
「シャール、状況次第じゃ呼びに行った方が?」
「そうだな。シャール殿には場合によっては動いてもらうかもしれません」
ちなみにおじい様は第三者がいるときはシャールを呼び捨てにするけれど、身内やシャールの正体を知っている学園長やジルレのおじい様の前では「シャール殿」と呼ぶ。
「うむ。ロビンの指示に従おう。何事も無ければいいが」
だが、その願いは外れ、先ほど情報を確認しに行った騎士さんが真っ青な表情で戻ってきた。
「王宮の正門近くで魔族が突然現れて暴れております」
「……何?」
予想もしなかった「魔族」という単語におじい様も二の句が継げず固まった。
「まじょくが?」
まさかレオ君のご両親が、王宮に誘拐されたと勘違いしてやってきたとか?
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