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初恋?

 予想もしなかったレオ君のプロポーズ?


「そ、それはだな」


「レオ君がルジアダを?」


 皆が固まってまともな言葉が出ない中、当の爆弾発言した本人はニコニコと無邪気な笑顔をうかべながら、さらに予想もつかない言葉を続けた。


「お料理へたっぴーのじじしゃんのために、僕がシャールしゃんに美味しいお料理教えてもらうのでだいじょーぶー!

 僕がジジしゃんと結婚したら、ジジしゃんが外で戦って、僕がお家でお料理しましゅー」


 目をキラキラさせながら「僕、良いこと言った」みたいなドヤ顔をして胸を張るレオ君。


「レ、レオ君……」


 好かれているのは嬉しいが、なんだろう、この、胸を抉られたような複雑な心境は。

 しかも、内容はある意味主夫宣言。

 二歳児にこんなこと言わせていいのか?


 しかもフィガロ様とシャールの二人は、顔を見合わせた後、一瞬間をおいて大爆笑。

 さっきまでの悲壮感漂う雰囲気は一気に吹き飛んでいる。


 雰囲気は明るくなったけど、さっきまで私のこと熱っぽく「好き」って言っておきながら大爆笑するフィガロ様。

 あなた、酷くないですか?


 しかもレオ君は二人がいきなり笑いだした理由がわからず、きょとんとした顔。

 フィガロ様を横目で睨んでも、笑いは収まらないし、可愛らしいレオ君にきつく突っ込むわけにもいかない。


「レオの初恋はジジか?」


「はちゅこい?」


 レオ君の側にやってきたシャールに、こてんと首を傾げるレオ君。

 可愛い。

 可愛いんだが、なんかこの、燻ぶるもやもや感はどこにぶつけたらいいんだ?


「初めて好きになった女の子だな。

 まあ、ジジはレオから見たらかなり年が上だから女の子と言えるか分からぬが」


「ん? それってどういう意味かな、シャールゥ?」


 確かに二歳児レオ君から見たらかなり年上だけれど、年増と言いたいのか?

 精霊で長生きのあんたが!

 

「いっ、いや、ジジ。

 深い意味はないぞ。そんな目で睨むな。

 あ、あのな、レオ。

 おぬしとジジでは種族が違うし、年も寿命も違いすぎる。

 それにまだジジとフィガロの婚約が解消……、結婚する約束は無くなったわけではないのだ。

 だから、結婚相手は別の誰かを探したほうが良い。

 それに、お料理を覚えることもいいが、お家に居たら、レオは大きな魔法を使えるようになりたいのだろう?

 お家にずっといたら使えないぞ?」


「むー。しょうでしゅかー。

 ジジしゃんとフィーーしゃんの結婚のやくしょくを僕が破っちゃダメでしゅねー。

 しょれに僕はお料理もじょうじゅに、魔法もちゅよくなりたいでしゅからねー。

 でも、僕はジジしゃん大しゅきよー」


 シャールに諭されても、小さなレオ君はライバルフィガロ様に向かって好き好きをアピール。

 うん、レオ君の好意はすごく嬉しいよ。


「ありがとう。私もレオ君好きよ」


「えへへー。

 しょうでしゅか。

 力持ちでつおいジジしゃんしゅきでしゅ」


 ほら、なんか好みがおかしいと言うか、なんか好かれている点が、どっか違う気がする。

 お陰様で、フィガロ様なんか余裕の表情で、レオ君の私への好意?プロポーズ?の言葉はスルーして、話の続きを促す。


「力もち?」


「ふぃーしゃん、じじしゃんは、大きな蛇になったおじしゃんを抱っこして、こうやってたしゅけました。

 しょれに、キックがかっこいいの!


「キック?」


「しょうでしゅ。わるいやちゅにキック」


 フィガロ様に説明しようと、テレジアとの戦った様子を思い出し興奮しだしたレオ君が片言と身振り手振りで話しはじめた。

 その姿は嚙みながらも本当に一生懸命話すので、可愛らしいけれど、アクションが激しいので、シャールにレオ君の相手を任せ、イラリオン様の治療は手伝っていても、儀式後の事件の詳細を知らないフィガロ様に、レオ君に会ってから王宮に来るまでの話をかいつまんで話した。


 ただし、取り調べの際に喋ってはいけない事項に関しては伝えていない。


 例えばシャールや学園長の正体とか、レオ君の折れた角はレオ君が持っているとか。


「……詳しくは聞いてなかったけど、ルジアダもレオ君も無事でよかったよ。

昨日僕が通うソフィア学園でも聖女テレジアとその仲間に誘拐された子供を王宮で保護した話は持ちきりだったんだ。

 ただ、僕らが知ってる話では、テレジアを含む複数人の誘拐犯の許から山の精霊様の助けで逃げ出した子供を、霊峰ヴェスパ山の儀式を終了させたフィリパ学園の学生が保護して、緊急連絡で駆け付けたフィリパ学園の学園長とアウスバッハ辺境伯の騎士団によってテレジアが捕まったという話だったからさ。

 僕は精霊イラリオン様を治療しているお父様に夜中に呼ばれて駆け付けたから、他の人に比べたら詳細を知ったけど、レオ君が魔族の子供だという話にもびっくりしたけど、まさかルジアダが戦って、しかもあの大きな蛇の精霊様を抱き上げてたとか想像もしなかったよ。

 治療しているイラリオン様に会ったけど、すごく大きな白蛇じゃないか」


「まあ、確かに大きかったね。

 あれは多分、……異常事態だったから思わぬ力が出たんだと思うわ」


 まあ、火事場のなんとかという言葉があるように、思い出せば、結構重かった気がする。

 腰がギクッといかなくて良かったよ。


「正直、いくら精霊様でも……僕はひるんだよ」


 そりゃあ、大半の人はあのイラリオン様の姿を見たらびっくりしますわ。

 私も、普段と変わらない精神状態だったら、抱っこして運ぶとか……多分無理だと思うし。


読んでいただいてありがとうございます。

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