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規格外の魔力を持つご令嬢は、恋を楽しんでいる暇がありません。  作者: なえまう


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天は二物を与えず

「フィガロ、おぬし、ジジという存在がありながら浮気か?」


「待った、ちょっと待った、二人とも!

 濡れ衣だよ。

 さっき王太后様のところに寄ったときにエロイーズ達に会ったからだと思う。

 最近学生も香水を付けだしてるし、僕は浮気なんかしてないから!」


「ああ、確かに私も夏に実家帰った時にお母様が近くに来た時、香水の匂いがきつくてびっくりしたわ」


「さっき宮殿の回廊で、エロイーズがいた集団とすれ違うことになったんだよ。

 いくらなんでも彼女を通りがかりの挨拶だけで無視するわけにもいかないから、声かけたんだけどさ、その集団がすごい香りだったから、側にいただけで移ったんだよ」


 妹のエロイーズは小さなころからフィガロ様が大好きで、ルーという王子様的イケメンのルーという婚約者ができるまでは「お姉さまズルい、シャールと結婚すればいい」と家でも外でも言い張りはじめ、おじい様が慌てて「シャールにも遠くに住む婚約者がいるのだから、そういうことを言うものではない」とあたりに言いふらさなくてはならなかったほどだ。


 確かに妹も両親もシャールの正体を知らないし、エロイーズには大人の護衛の騎士と常に付き従う侍女はいたのだけれど、シャールのような同じ年の子が側にいなかったので、私にだけ「母親の親戚の子」が側にいたので羨ましかったのだと思う。


 そんな妹は、フィガロ様に徹底的にべったりしていた時期の名残からか、そろそろ男女の距離感を考えなくてはならない年だというのに、私や彼女の婚約者がフィリパ学園に通学しているので、王都に居るフィガロ様に買い物の付き添いを頼んだりしているみたいだ。

 だが、フィガロ様も困った顔はしながらも、どこかエロイーズに会えて嬉しそうに見えるのは私の僻みだろうか。


 妹は今年十三歳で、美貌の母がかつて「王都の薔薇」と呼ばれていたので、彼女は「王都の薔薇の再来」と言われている。

 私と言えば、父譲りの金髪と垂れ目の瞳、母方の祖母譲りの紫色の瞳を持つが顔の造りは若干お惚け顔。子供でも国内で国内有数の魔力の保有量だともてはやされたが、残念ながら顔は美女名高い母には似なかった。

 そして妹は魔力が少なくても、色彩はお父様と同じ金髪碧眼、顔立ちは母親そっくりで猫のような丸い瞳にくっきりとした二重瞼、瞳を縁取る長い睫毛、すっと通った鼻筋に、ちょっと厚めの唇が愛らしく幼いながらもどこかセクシーで、髪と瞳の色は違っても最近めっきり母に似てきた。

 そして私とは姉妹というにはかなり似ず、よく言えば可愛らしい動物系の顔、まあ、正直に言えばもう少し鼻が高くて、眉が優美な形だったらと思わなくもない。

 どうせなら私も妹みたいに美人顔に生まれたかったわ、まさに天は二物を与えてくれなかった。


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