私の魔力量
この五年に一回の儀式を行う代表者は、私が通うフィリパ学園の十六才から二十歳の学生の中から選ばれるのだが、立候補してはいけないという決まりはないので、立候補してみたところめでたく選ばれた。
今回選ばれそうな学生は他にも数名いたが、今までの成績と、昔、三歳の時、近年まれにみる魔力の多さが発覚した私はこの国でかなり話題になった上に、学校でも優秀な成績を残してきたので今回選ばれる自信があった。
レジネール王国では子供が生まれて三年経つと、自分の家の近くの神殿に行き、子供が三年間無事育った報告と感謝を神に捧げ、今後も子供が健康に育つようにと願う儀式とともに、魔力の有無と量が審判される。
お金持ちや貴族になるほどその儀式は豪華になり、王室だと一国あげての祭りになるが、私が生まれたエルランジュ伯爵家の場合は宮廷で文官を務める家系で、屋敷が王都シレジアだったので、王都の貴族の大半が判定してもらうという学問と芸術の女神ソフィアが祀られている神殿で行われた。
測定は、魔力を測定できる資格を持つ魔導士か神官が最低一人必要で、二つの聖杯に判定用に金剛石を聖杯の中に各五つ、計十個入れた後に水を入れた聖杯に、子供が左右の手の指の先をそれぞれつける。
すると、暫くすると聖杯の中の石が光るという判定方法だ。
石が光らない場合は魔力がない、一つだとほぼ使えないというふうに魔力量の判定基準があり、石が十個光る場合は稀な魔力量の持ち主となり、私の場合は、十個の石が光った上にソフィアに仕える聖獣である牛を模した聖像の目が輝き、七色の光が聖杯から虹のように天井に立ち上がった。
過去の記録には聖杯の水から七色に輝く虹が現れる現象は百年ぶりだったらしく、魔力の強さ多さも申し分ないと太鼓判を押されたおかげで、両親も親族も大喜びで、その儀式の様子が翌日の瓦版に載ってしまったほどだ。
そこまで騒がれた理由は、この国で両親の子供時代から魔力の量が少ない子供が増えてしまったから。
特に最近は生まれつき魔力がない子や、魔力が少ないだけでなく、魔力があっても魔法を使う基礎の基礎である魔法の詠唱を使ってもなかなか魔法が使えない子が増えてきて、国でも問題になっている。
魔力の詠唱は幼少時の魔力を魔法に変換する感覚がつかめない子供が行うもので、学校に通う頃には皆、無詠唱で魔法が使えるようになっているのが通常で、祖父母の代は元々無詠唱で魔法が使えていたらしい。
実際、妹のエロイーズや、私の婚約者のフィガロ様は祭壇の聖杯の中の石が四つほど光る程度で、魔法の詠唱をしなくても生活魔法には困らないけれど、彼らの魔力は多くなく、魔力量の違いで私とは別の学校に通っている。
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