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襲来

 神殿の玄関前に降りたつと、見習いの神官サミュエル様が慌てて出てきたところに出くわした。

 私もシャールから聞いたレオ君の状況で焦っていたが、まずは参拝者の休憩用に設えてある木陰に二つ並ぶベンチの一つにレオ君を抱きかかえたまま座った。


「ルジアダさん、ちょうど裏の沢の方で何か大きな気配がしたので見に行こうとしていたのですよ」


「そうですか!

 実はその裏の沢でこの子を見つけたんです」


「この子は魔族……、それに精霊様?

 なんと……。

 この度は精霊様と魔族様に……」


「うむ。

 緊急事態だ。ご丁寧な挨拶は良い。我は通りすがりの精霊で、この山に来てみたら、この傷ついた子供をこの娘と一緒に見つけた。

 この子はの治療を頼みたい」


 全然通りすがりじゃないのに、威風堂々といかにも正義の味方っぽい雰囲気を出しながら、シャールがいきさつをサミュエル様にかいつまんで説明する。


「なんてこと……」


 話を聞いてどんどん表情が強張っていくサミュエル様。

 シャールと私の腕に抱かれた子供、レオ君の折れた角の跡を見て再度固まる。

 白虎姿の精霊シャールの登場も衝撃的だったようだが、魔族の子供も見たのは初めてだったらしく「魔族……、初めて見ました」と若干話を聞きながら意識が飛んでいた。

 おそらく「うむ。我は高度な治療魔法が苦手でな。宝剣を守るこの山の神官ならできるだろう。とにかく至急手当を頼む」というシャールの督促がなかったら、暫く固まったままだったかもしれない。


 意識が覚醒した後は、慌てて奥の神官様を呼びに行ったが、途中で段差も何もない道のりで躓いたり、ものすごい動揺っぷりだった。


「レオ、痛みは耐えれるか?」


「あいっ、……痛いけどがんばりゅ!」


「よし、あとは……嫌かもしれんが怖い目にあった時の話を教えてくれんか?

 レオを攫った悪い奴をやっつけるには、レオに聞きたいことがあるのだ」


「悪いやちゅ、やっちゅける!

 あい、シャールしゃん、僕だいじょーぶー」


 悪い奴をやっるけるという言葉に目を輝かせたレオ君は、二歳にしてはとてもしっかりした話しっぷりで、シャールの質問に答えた。

 しかも角の痛みがどれくらいか分からないけれど、子供がずっと続く痛みを泣きもせずぐっと我慢しちゃえる耐久性に驚いちゃったよ。

 人間の二歳児とは違うのかしら。


 レオ君の話によると、どうやら母親と旅の途中で店に寄り、母親がお金を払って手を放している際に急に後ろから袋を被されて誘拐されたみたいだ。

 彼は馬車に乗せられる際に袋から出され、一瞬男が目を離したすきに逃げようとしたけれど、白い長い裾の服を着たおばあさんに頬をひっぱたかれ、強烈な魔法で角を折られ、声を封じられて、大きな布にくるまれて馬車の中に放り込まれたらしい。

 こんな小さな子に、なんてひどいことを。


 その婆、許すまじ!


 でも店で誘拐するということは、もしかしたら店自体もグルだったのかもしれない。


 さっき抱っこしていた時に額よりちょっと上には乳白色の角の跡らしい塊があったが、それ以外はレオ君は人間の二歳児と同じか少し小さい方なので、抱えてしまえばさっさと誘拐できてしまう。


 レオ君の話ではその人間の悪いお婆さんと、もう一人は太っちょな変なおじさんだそうだ。

 その車が停まって、中の人間が居なくなった時を見計らったように、中に知らない男の人が突然現れて、布にくるまれたレオ君を助け出し、そのまま先ほどの川まで連れ出して、声が出るようにして、擦り傷や叩かれて腫れていた顔を治した後、姿を消したという。


「ふむ。

 この山の向こうの西のウルジーヌ王国なら魔族は多いから、西から攫われてきたのか?

 しかし、山道を馬車で移動するには相当日にちもかかるし、この年の子供に対して転移魔法は使えないだろう。

 一体どうやって……」


「山を走ったのは馬車じゃないでしゅ。途中で馬車から降りましゅた。次はお馬しゃんいなかった。

 馬車じゃない動く箱に乗りましゅた。

 僕、……帰れましゅか?

 また変なやちゅに……」


「心配するな!

 必ずそなたの親の許に帰してやるし、悪い奴が来ても我らが守ってやるぞ。

 レオは我らに助けられてすごく幸運だと思うがよい。

 この山の精霊と我と、精霊に二回も助けられたのだ。そんな運の良い奴はおらんぞ。

 それに、もうすぐその角の痛みは無くなるからな」


 不安に打ちのめされそうな幼児に虎のシャールが前脚の肉球で優しく器用にレオ君の頭をなぜる。

 肉球に癒されたのか、レオ君の目に光が戻って、小さな手でこぶしを握って、シャールの瞳を覗き込む。


「しょ、しょうでしゅか!

 僕、じゃあ、おかーしゃんのところにかえりゅまで、虎しゃん、じゃない、シャールしゃんとジジしゃんと一緒にいたいでしゅ」


「うむ、一緒にいてやるぞ。怪我が治ったら美味しいお菓子も作ってやるからな。

 しかし……魔石で動く自動車か。途中乗り換えたのか。

 それなら馬車より数倍速いし、宙に浮くから山道も関係ないな。

 だが、車の所有者から犯人は絞れるか」


 十数年前に北のシュルツ王国で開発された魔石の魔力を動力に、馬車の車両部だけで自動でしかも数倍速く走る自動車は、近年富裕層が個人で所持し始めているが、高額な上、動力となる魔石に補充する魔力がかなり必要なので、所有者はごく少数だ。


「ねえ、シャール。この子を助けた山の精霊って、シャールが呼んだら神殿に姿を見せないかしら?これは誘拐事件よ。誘拐犯の詳しい特徴とか聞きたいわ」


「うむ。

 我も先ほど魔法を送ったが返事がないので、ちと心配なのだ」


「ここの精霊しゃん、きっとまだ戦ってる。

 僕をたしゅけてくれた後、悪いやちゅ、やっちゅけに行った」


「は?」


「戦う?

 そんな気配はこの山で全く感じないぞ。隣の山脈か?」


 妙な気配があったら、感じるはずだと首を傾げるシャールだったが、レオ君の話の続きを聞く前に神官のトーマス様が奥から小走りで現れたので、まずは治療が先決だと話を終わらせた。


 息を切らしてやってきたトーマス様は、おそらくサミュエル様から話を聞いてはいたみたいだが、シャールとレオ君を見てやはり驚愕の表情は隠せないまま挨拶をした。


「これはこれは精霊様と魔族様……」

 

「うむ、丁寧な挨拶は良い。

 まずはこの子の治療してやってくれ」

 

「畏まりました。

 すぐに状態を診て治療します。

 こんにちは、坊ちゃん」


「はじめまちて、神官しゃん。

 僕、レオ。二しゃいでしゅ」


 私の腕の中から降りて、よちよちとトーマス様の前に行って挨拶したレオ君に、トーマス様の表情が和らぐ。


「はじめまして。

 レオ坊ちゃん、上手な挨拶ができますねえ。

 痛い場所をを見せてくださいね」


「あいっ」


 折れた角の個所をこれでもかと見せつけるレオ君に、トーマス様が苦笑いを浮かべながら、腰をかがめてその個所を見つめる。


「これは、痛そうです。早く治しましょう」


「あいっ、お願いしましゅ」


「畏まりました。

 他の個所も悪い箇所がないか観たいので、ちょっと待ってくださいね」


「あい」


トーマス様がレオ君の服の上から手をかざし状態を診ている間、横からシャールがレオ君から聞いた話をかいつまんで話した。


「なんと。

 では、このヴェスパ山の精霊様がこの子を助けたと。

 魔族の子供の角を折るなど、人間ならよほどの魔力を持つ者でないと無理ですぞ。

酷いことを。

 しかし魔族の角を折るなど、失礼ですが、ルジアダさんくらい魔力があって、ものすごく修行しないと無理ですぞ」


 いきなり妙なところで私の名前を出すトーマス様。

 やめてくれるかなあ。

 

「え? ましゃかジジしゃん、僕のちゅの折る?」


 トーマス様の言葉を変に解釈したレオ君が、まるでを恐ろしい怪物か何かのような目で見て、慌てて頭に両手を載せて怯えた。


「折らない、折らない。

 というか、できるならその悪い奴やっつけてその角取り返してあげたいよ。

 トーマス様、確かに私は魔力が多いですけどそこで私の名前を出すのはひどくないですか?」


「はははっ、失礼いたしました。

 ですが、今日の儀式を半日で終わらせたルジアダさんなら、悪い犯人を捕まえて取り返してきそうですよね」


「ほおっ、ジジしゃんはちゅよいでしゅか。

 僕のちゅの、取り返してくっちゅけてくれましゅか?」


 まるで私をヒーローか何かのようにわくわくした目で見つめてくるレオ君には苦笑いするしかない。


「その前に、もし取り返したらくっつけれるんですか?」


「そうですねえ。この後を見る限り、折られた角が元のままなら可能です」


「ほお、そうか。確かやっつけに行ったと言っておったな。だとしたら角は戻ってくるか」


「そうですね。ただし、すぐにくっつけることは今の状況では無理です。

 お恥ずかしながら私がその方法を知らないのです。

 おそらくルジアダさんの婚約者のお父様のジルレ侯爵ならご存じでしょう。

 今はまず私が痛みをとり、魔力を回復させる魔法をかけ、体内の魔力の循環を元に戻るように促すよう私の魔力を流し込みますから、目を閉じてくれますか?

 その後、まだ手当てが必要でしたら、その手当ては、先ほど魔族の生態に詳しい方を寄こしてくださるようサミュエルにフィリパ学園に向かうよう指示しましたので、彼が適任者を連れて戻ってくるでしょう。

 さあ、レオ坊ちゃん。良いというまでぎゅっと目を瞑っていてください。出来ますか?」


「あいっ」


 レオ坊ちゃんと呼ばれたレオ君は、痛みが取れると聞いて、笑顔付きで元気のよい返事をし、ピンク色がかった銀色の髪を搔き分けた。

 レオ君が銀色の瞳を閉じたことを確認すると、痛々しい跡にトーマス様が手をかざし、治癒の魔法を施した。


「あったかーい」


「そうですか。……この子の魔力が……」


 レオ君は目を閉じたまま笑顔だが、トーマス様の表情があまり芳しくないのを察して、シャールの大きな虎の片手がレオ君の足元に触れた。


「うむ。やはり元気そうに見えたが……、そなたの魔力だけでは難しいか。

 我の魔力を分けてやるから流れを良くしてやってくれ」


「え? じゃあ、私も……」


 そんなにレオ君の魔力が足りないのなら、私の分も、と手を差し出したが、シャールの前足ではたかれた。


「ジジは午前中儀式を行っておるのだろう。

 我だけで大丈夫だ、なあ、神官殿」


「はい、精霊様の助けがあればそれだけで大丈夫かと思います。

 さすがは魔族のお子様。情けないことに、私だけでは難しかったようです。

 ありがとうございます」


 シャールがレオ君の足元に手を置き、トーマス様が角の跡に手を翳して数分後、神官様の顔に笑顔が戻った。


「……もう痛くないですか?」

 

 優しく問いかけるその声に、目を閉じたままのレオ君が驚きと笑顔で答える。

 その顔は天使のようだ。


「……あいっ、痛くない!」


 レオ君の痛みが取れたようで嬉しそうなシャールと神官様が、目を合わせて目を細める。


「じゃあ、目を開けていいですよ。

 角の跡は触ってもいいですが、残っている角を強く引っかいたりして無理やり取ってはだめですよ」


「あい。気をちゅけましゅ。

 ありがちょ、神官しゃま、虎しゃんじゃない、……シャールしゃん」

 

 痛みが取れた角の跡を「痛くない」と不思議そうに小さな手でちょっぴり触った後、再びにっこり笑ったレオ君だったが、神殿の方を見て不思議そうな顔をした。


「あのおじいしゃん、だーれ?」


「ああ、サミュエル様と一緒に来たのは村長さんです。

 おや、村長さんがお食事を持ってきてくれましたね。

 坊ちゃん、お腹が空きませんか?

 魔族の子は……精霊様と同じで必要ないでしょうか?」


「うむ……」


 シャールが口を開きかけたところ、元気な声で「お食事食べりゅ!」とレオ君が勢いよく返事を返した。


「痛みが取れてよかったですね。

 村長さんがご飯を作ってくださいましたので、良かったらどうぞ」


 先ほど「レオ君誘拐事件」の連絡を連絡しに行こうとした神官見習いサミュエル様が、レオ君が空腹ではないかと気を利かせ、まだ神殿にいた村長に食事の準備をお願いしたそうだ。

 話を聞いた村長さんは「可哀そうに」と急いでありあわせで食事を準備し、サミュエル様と一緒にお盆に持ってきてくれた。

 気遣いの出来る将来有望な神官見習い様である。


 外なのでお盆をベンチの上に置いた村長さんは、レオ君の銀の髪の隙間からのぞく角の跡を見て痛々しい表情を浮かべたが、顔を合わせるときは一瞬で表情を笑顔に変えた。

 お盆の上には、柔らかいパンと野菜のスープ、先ほど焼いていた鹿肉や野菜を細かく切ったものに、キャンディーサイズのチーズとホットミルクが置いてある。

 そのお盆の上の料理を無言で全てを平らげたレオ君は、最後にチーズを頬張り、村長さんとサミュエルさんにお手洗いに連れて行ってもらった。


 だが、問題はこれからだ。

 両親の許にどうやって送り届けるかとか、子供を攫われきっと怒り狂っている魔族を相手にどうやってこちらからレオ君をお返しできるかとか。

 もしレオ君のご両親がとても強い魔族で怒り狂っているなら……。


「うむ。精霊を怒らせた場合は、多くの場合はその国の土地が瘦せるとか天候があれるとか自然災害が多いが、魔族の場合は……、我もそう魔族に知り合いが多いわけではないが、犯人の一族郎党惨殺では済まぬかもしれぬ。

 はるか昔、この国が出来る前よりもさらに昔のことだ。

 親を殺され怒り狂った魔族が殺した相手が住む街を一夜にして焦土にし、廃墟にしたという話も聞いたことがあるからな」

 

「……こうなりますとまずは、陛下に相談しなくてはなりませんな」


 トーマス様の視線の先には、神殿のお手洗いから戻ってきて、ベンチに座り、村長さんから新たなキャンディチーズを貰ってご満悦な顔のレオ君の姿がある。

 そんなレオ君を見て痛ましそうに表情を曇らせるトーマス様。


「あんなかわいい子を攫うなど、

 魔族相手に、相当なつわものでしょうか。

 しかし、ひどい目にあったのに、……とてもしっかりしていますし、それに、二歳にしては大変流ちょうに喋りますね。

 種族の違いかもしれませんが、大変賢い良い子です。

 この子のことを思えば、なにより早く親さんの許に返して差し上げたい」


「うむ、そうだな。種族でも個体によって成長度合いは違うが、レオは確かに筋道立てて喋れる賢い子だ。

 きっと手塩にかけて育てたのだろう。

 こんなかわいい子を攫われた親はきっと悲しんでおるだろう。

 早く親を見つけねばなるまい」


「ええ。この度は精霊様やルジアダさんがいてくれたようでよかったです。

 あの子を早期発見できてよかった。

 あと、サミュエルの話では学園長が今動いていて人を手配して寄こしてくれるそうです」


「学園長が動いたか。それは良かった」


 そしてそのサミュエル様はというと、神殿からお供えに置いてあった熟れた柿が載った皿と果物ナイフを持ってきた。

 そしてレオ君が看ている横で横で「皆でお供え物の柿を食べましょう」と気を利かせて皮を剥いて切り分けている。

 そして種を取って小さく切った柿を見たレオ君が、なにやらサミュエル様と喋った後、チーズを食べたというのにすぐに手を伸ばして柿をもぐもぐし、そして村長さんに掴んだ柿を差し出して「あーん」と食べさせて、その後また小さく切られた柿をもぐもぐしている。

 うーむ、食欲旺盛な子だ。


「レオ、あまり食べ過ぎるとお腹が痛くなるぞ」


「あーい、シャールしゃんもたべりゅ?」


「うむ。では食べさせてくれ」


「あい」


 ベンチからゆっくり降りて、サミュエル様が剥いた柿が載った皿を持ったレオ君が、ゆっくりシャールの側にやってきた。


「神官しゃんも、ジジしゃんもどうじょ」


「ありがとうございます」


「ありがとう、レオ君」


 レオ君が運んできた皿の上には食べやすいサイズに切られた柿が三つ載っていた。

 その一つを掴んで口に含むと、柿独自の甘さが広がる。


「うー、シャールしゃんに食べしゃせるには……」


 小さいレオ君が両手で持っているお皿に残った一個の柿を見て「ううむ」と首をひねっていると、シャールがその前まで移動して、柿を大きな口に咥えた。虎の大きな口に「うひゃあ」と驚くレオ君をしり目に柿を食べ終えたシャールが「ありがとう、レオ」と声を掛けると、はにかんだような笑顔を浮かべ、空になったお皿を手にサミュエル様の許に戻っていった。


 楽しそうによちよち歩きであたりを回るレオ君の様子を見守る。


「ところで精霊様。

 先ほどこの子に魔力の半分ほど分け与えていらっしゃいましたが、大丈夫でございますか?」


「うむ。あの子を治すためだ。我の魔力は半日も経てば戻る。夜には全快しておる」


「それを聞いて安心いたしました。

 しかし、わがヴェスパ山の精霊様が戦うような相手とは、よほどでございます。

 もし、万が一のことで……村や神器は大丈夫でございましょうか?」


「ああ、村もまず心配なかろう。先ほどからこの山の周辺の気配を探っておったのだが村におかしな気配はない。村にはな。

 だが……、どうやらおかしな輩が来たことは分かった」


「え? まさかこの神殿に?

 シャール、バアルの剣は大丈夫なの?」


「ジジ、今日おぬしが儀式を成功させておるのだ。

 神殿の神器は心配無用。

 ここの神器は絶対決まった者以外の手には渡らぬ。あのフィリパの術は誰にも破ることはできぬから安心してよい。

 まず不可能だ。

 この山の精イラリオンが敗れようが、例え我が敗れようが、バアルの剣は貴様の手に渡ることはないっ!

 こそこそ隠れず出てこい!

 血の匂いをさせる者よ!」


 ムクッと立ち上がったシャールが咆哮を挙げた途端、神殿の横の巨木に落雷が落ちた。


「シャールッ?」


「精霊様?」


 驚きのあまりレオ君が戻っていったベンチからたたたっと走ってきて私の黒のズボンにギュッとしがみついて隠れた。


「ジジしゃん、あのおばあちゃん、来たっ!」


読んでいただいてありがとうございます。

気に入っていただけましたら、ブックマークと応援よろしくお願いします。

また、お恥ずかしながら、誤字脱字ありましたら、報告よろしくお願いいたします。

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