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131/132

131.再びの別れ

 暗黒の魔女は、完全に滅びた。ということは、私が『Magical stories』の世界にいる理由がなくなったということである。

 という訳で、私は元の世界に帰ることになった。これは、決まっていたことである。暗黒の魔女があちらの世界に干渉する可能性がなくなった今、私もあるべき場所に帰らなければならないのだ。


「……この穴を通れば、お前は元の世界に戻ることができる」

「はい……」

「私達が魔力で探知していますから、安心してください」

「うん、ありがとう」


 ディゾール様とメルティナが開けてくれた穴の前で、私は皆と一緒にいた。皆、私を見送りに来てくれたのである。


「シズカさん、どうかお元気で」

「まあ、向こうの世界でも達者でな」

「シズカ様、私達は離れていても友達です。またいつかお会いしましょう」


 バルクド様、リオーブ、ファルーシャの三人は私にそう声をかけてくれた。

 三人とは、幼少期からアルフィアとして知り合いだった。その日々が蘇ってくる。


「シズカ嬢、君のことは忘れない。君のおかげで、俺は前を向くことができた。本当に感謝している」

「僕も、シズカさんのことは忘れないよ。二つの世界は繋がっている……また必ず会おう」

「ふっ……二人に続いてしまうが、俺もお前のことは忘れない。お前は、誇り高き女性だった」


 ドルキンス、キャロム、ディゾール様の三人も私にそう言ってくれた。

 三人とは学園で出会って、一緒に魔法の訓練を行うようになった。その日々も、また私の中に蘇ってくる。


「シズカさん、またお会いしましょう。二つの世界がまた繋がった時に、私達が迎え異に行きますから」

「あなたはもう一人の私……本当に今まで、ありがとう。あなたのおかげで、私は変われた。こうやって、まともな人間になれた。本当に感謝しているわ」


 メルティナとアルフィアも、私にそう声をかけてくれた。

 ゲームの主人公と悪役令嬢。まさか、彼女達とこんな風に話すようになるなんて、思ってもいなかったことだ。

 この世界にアルフィアとして転生してから、本当に色々なことがあった。本当に、楽しい日々だった。苦しいこともあったけど、今はそう思う。


「皆、またね!」


 私は、最後に笑顔でそう言った。

 こうして、私は皆と別れることになった。長かった『Magical stories』の世界での日々が、終わりを告げたのである。

 以前は、皆との別れが辛くて仕方なかった。だが、今回は少しだけ違う。もちろん辛いが、それだけではないのだ。

 また会うことができる。その希望が、私と皆を心からの笑顔で別れさせたのだ。

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