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12.寮の自室にて

 ホームルームも終わり、私は学園の寮の自室に来ていた。魔法学園は、全寮制の学校である。私は、今日からこの部屋で過ごすことになるのだ。

 魔法学園は、生徒達の自立心を養うために、親元から離して生活させることにしている。それは、親に保護されてきた貴族の子供にとって、いい経験になるだろう。そういう意図があるのだ。

 ただ、その意図とは裏腹に、多くの生徒達にとって、この寮生活は楽しいと感じることであるらしい。

 ここに通う生徒の多くは貴族だ。その貴族達にとって、親元から離れるということは開放感を与えるものなのである。


「かくいう私も、その一人だものね……」


 私も、今日から寮で生活するということには開放感を覚えていた。私にとって、セントルグ公爵家での生活は素晴らしいものではなかった。はっきりと言って、息苦しいといえるものだったのだ。

 私は、父親からも母親から嫌われている。この赤髪によって、父は自分の子か疑い、母はそのことで私に恨みを向けていたのだ。

 そんな二人に囲まれた生活は、苦しいものだった。だからこそ、この寮で生活できるのは、かなり嬉しいことなのである。


「赤髪……赤髪か」


 私は、部屋の中にある鏡に映る自分を見つめながら、ゆっくりと考えていた。この赤髪は、アルフィアに対してどのような影響を与えてきたのだろうかと。

 ゲームの中の彼女は、この赤髪とその地位を誇りと評していた。それが今の私にとっては、不思議で仕方ないのである。

 彼女は、この赤髪で色々な不利益を受けてきたはずだ。私と同じような境遇だったなら、これを誇りだということなんてできないはずである。


「確かに、立派な赤髪だけど……でも、あんな扱いをされて、どうしてそれを誇りに思ったの?」


 私は、鏡に映る自身に問いかけていた。正確に言えば、私と同じ顔をしたアルフィアという一人の女性に対してどうしても聞いてみたかったのである。

 当然のことながら、アルフィアは答えてくれない。私の大きな疑問の答えは、まったく返って来ないのである。


「まあ、返って来たら、それはそれで怖いのだけれど……」


 私は、鏡を見るのをやめて、ベッドの上に寝転がった。今日は、色々と神経を使った。そのため、とても疲れている。このまま眠ってしまいそうなくらいだ。

 別に、ここで眠ってもいい。自室なのだから、それはまったく問題ないことである。

 ただ、食事などの時間帯はきっちり決まっているので、それまでには起きなければならない。このままぐっすりと眠ってしまいそうなので、そこは少し気掛かりだ。

 そう思っていても、眠気には勝てない。私はゆっくりと目を瞑り、そのまま眠りにつくのだった。

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