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102.重い空気

 私は、自室にメルティナとアルフィアとファルーシャを集めていた。

 リオーブから、アルフィアとファルーシャが色々と落ち込んでいると聞いた私は、一度皆で集まって話すことにした。

 といっても、二人には何も話していない。今回、私は女子会という名目で、二人を集めたのだ。

 一応、メルティナにはその旨を伝えている。彼女は、快く協力してくれると言ってくれた。


「……」

「……」

「……」

「……」


 しかし、私は困り果てていた。なんというか、思っていたよりも場が盛り上がっていないからである。

 せっかく集まったというのに、私達は何故か会話を交わしていない。重苦しい空気が、辺りに流れているだけだ。


「えっと、本日はお集まりいただきありがとうございます……」


 私は、思わずそんな風に切り出していた。だが、それが間違いであるとすぐに気づいた。友達同士が集まって、こんなことから話が始まるなんてあり得ない。もっと気さくな挨拶をするべきだっただろう。

 というか、よく考えてみれば、このメンバーというのはそんなにいい集まりであるとはいえないのかもしれない。特にアルフィアなんかは、メルティナがいて楽しそうに話すのは難しい可能性がある。罪悪感などがあるからだ。

 もしかして、私は人選を間違えたのだろうか。個々で話した方が良かったのかもしれない。


「……何よ、その始まり方」

「え?」


 そんな私に助け舟を出してくれたのは、意外にもアルフィアだった。

 彼女は、私の訳のわからない挨拶に突っ込みを入れてくれた。これは、ありがたい。ここからなら、話が広がりそうだ。


「違ったかな?」

「ええ……とも、いえ、なんでもないわ」

「あれ?」


 しかし、アルフィアは何故か言葉に詰まってしまった。それにより、辺りにはまた沈黙が流れていく。

 ああいうことを言えるのは、アルフィアだけだ。メルティナもファルーシャも、奥ゆかしいのでそういうことは言えないタイプである。


「ええっと……その、皆さん、最近はどうですか?」


 そこで、メルティナがゆっくりと口を開いた。それは、なんというかとても微妙な質問である。

 ざっくりとしているし、どう答えればいいかわかりにくい。彼女は、こんなに喋りが下手だっただろうか。


「げ、元気に過ごせていますよ……」


 メルティナの言葉に、ファルーシャがそう答えた。

 こちらも、あまり広がらない答えだ。というか、ここで会話が終わってしまった。


「えっと……」


 私は、この状況にとても動揺していた。個々で話す時は、もっと話が弾むはずだからである。

 どうして、こんなに空気が重いのだろうか。もっと楽し気な集まりになると思っていたのに、もう滅茶苦茶である。

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