断罪ロボgo!
ややギャグ寄りです短編です。
肩の力を抜いてスマホをツーシームに握って外角低めにお投げ下さい。
「今日男爵令嬢がワシの所に来て、公爵令嬢のイジメから救って欲しいと訴えてきた!おかしいじゃろ!」
「おかしい?それは一体どこがおかしいのでしょうか。もう少し正確にお伝え下さいロボ。マスター」
私を創造した偉大なるマスター、王国第二王子キャベツ様は顔を真っ赤にして怒っていました。
「よいか断罪ロボよ、本来男爵令嬢ごときが王子であるワシに直接話しかけちゃ駄目なのっ!それなのに、話しかけたって事は」
「その男爵令嬢が非常識なのですねロボ?」
「それもそうじゃが違う!一番ムカつく点はこうなるまで誰も助けてくれん事じゃ!この国の奴らはワシがどうなっても無視しおる!確かにマトモにコミュとってこなかったワシも悪いが、これは本当に酷い!」
「マスター、人間と話すの苦手ロボですからね」
マスターキャベツは前世の記憶を持っています。前世の彼はレタスサンド・バルサミコスという科学者でした。
彼はこことは別の世界で人型ロボットの研究をしており、その頃から他人が苦手で自分の作ったロボットが話し相手だったそうです。そんな人生を送った老人が全く文化の違う世界の王子に転生して上手くいく訳がありません。下級貴族や護衛にも舐められてるのも仕方なしといった所さんでしょう。
「そんな訳でこの状況を打破する為にワシはお前を創造したのだ!断罪ロボよ、お主はお喋りが出来ないワシの影武者として、王国の奴らを見返してやるのじゃ!」
「具体的に何をすれば良いのでしょうかマスター。命令は正確にお願いしますロボ」
恐らく男爵令嬢や配下や家族に舐められない様な言動をして来いという所さんですが、ここの確認は重要です。
「ウム。ワシがお前に命じるのは以下の5つじゃ。その1!王子であるワシに話しかけて来た男爵令嬢を捕まえ衛兵に引き渡す事!その2!ワシが真に愛するのは婚約者である公爵令嬢ただ一人だとはっきり告げよ!そのさぁん!イジメがあったというのは男爵令嬢の自作自演であると主張せよ!その4!皆はワシの話を基本聞こうとせんから常に大声でハッキリ話せ!その5!命令の実行は明日の卒業パーティーじゃ!ワシは徹夜続きでしんどいから、今からこの自室兼研究室で寝る!終わったらここへ来て起こせ!」
「命令内容を整理しましたロボ。明日の卒業パーティーにマスターのフリをして出席、ハキハキと大きな声で婚約者公爵令嬢への愛と彼女のイジメへの関与が無い事を主張、同時に無礼で卑劣な行為をした男爵令嬢を確保し近くの衛兵に渡す、それらが終わったらこの部屋に戻りマスターと入れ替わるで良いロボですか?」
「うむ、頼んだぞ。グガー」
命令内容確定。明日はマスターの為に頑張らねば。
■ ■ ■
「公爵令嬢ー!私はお前と婚約してるが、その関係を終わりへと向かわせたいロボー!」
私は公爵令嬢。自他共に認めるこの国で一番頭の良い女です。私はその優秀さ故に愚かな第二王子の婚約者にさせられておりました。よよよ。
しかし、今日の卒業パーティーの最中、普段は大人しい殿下が突然婚約破棄を言い出したのです。やったぜ。
「私はこの男爵令嬢と会い、お前が彼女を虐めていると聞かされたロボ!そして、私は真実の愛を理解したロボ!彼女から受ける印象はお前のそれとは全く違った!どちらが罪人かは語るまでも無く明らかだロボ!」
そう言い、殿下は男爵令嬢をがっしりと抱き寄せます。
「男爵令嬢!私はお前を何があっても離さんロボ!」
他国のお偉いさんが見ているこの場で王命を無視した浮気行為。そして、証拠も無く私に冤罪を突きつけ。もうこのアホは完全にアウトですね。空気を読んだ衛兵が即座に殿下を取り押さえようと近づきます。
「お前達にハッキリ言っておくロボ!悪いのは男爵令嬢だロボ!この女は私を騙そうとしたロボ!これにてノルマ達成、マスターの部屋に帰還するロボ!」
うわ、最低ですね殿下。状況が不利と見るや手のひら返して逃亡ですか。男爵令嬢を衛兵に向かって投げつけた殿下はパーティー会場を飛び出し、愚かにも逃げ場の無い自室へと入っていきます。顔を真っ赤にした国王陛下を先頭に、関係者一同が部屋の前に立つと眠そうな顔をした殿下が悪びれもせず出て来ました。
「ふぁ~、もう終わったのか?あ、父上」
「一生幽閉パンチ!」
「なんでじゃー!」
自分のやらかした事の大きさを理解していない殿下の顔面に陛下の鉄拳がめり込みました。スッキリ。
その後、殿下は私との婚約を解消し本当に幽閉されました。部屋からは時々ぶつぶつと誰かと会話している様な声が聞こえるそうです。
私を嵌めようとした男爵令嬢さんは「よっしゃ新エンド到達、次!」と叫んで衛兵の槍に自分から飛び込み亡くなりました。あの殿下と恋に落ちるだけあって意味不明です。
そして私は以前から付き合いのあった隣国の王子様と縁談の話があり、あの卒業パーティーから半年後に元気な娘が生まれました。
人人人人人
<めでてえ!>
YYYYYY