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3-10:追っ掛け騎士

ちょいちょいストーリーが動きます。

3-10


さてさて、武器の作成を依頼してからも、相変わらずの生活を続けている。いや、マジで変わり映えしない。娯楽が少ないからね。精々がボードゲームやカードゲームばっかだからなぁ。相手も師匠とかばっかりだし。一応、ベイジ村の面々ともやったりするけど、あそこに住んでるわけじゃ無いから、いつでも相手してもらえるわけじゃ無い。それとベイジ村に行くと、ユリーさんやリナ、シーナが構い倒してくるから、最近はちょっと行きたくない。冬の間に会えなかった反動だとかなんとか。


あとは魔法で遊ぶって言うのも、新しく覚えれば目新しさがあって楽しいんだけど、冬の間に覚えた『氷結』以来新しく習得した魔法は無い。あ、当然毎日練習はしてるよ?基礎練大事。


農作業もいっつもやってると飽きるし。それと疲れる。武器が出来るまでは危険だから、魔獣狩りも禁止されてるし。俺もそれくらいは分かるので、散策の時も遠くから観察はするけど、ちょっかいを出すことは無い。そういう事前の危険予防や獲物の探索で『索敵』が大活躍しております。ただ師匠としては、散策もあまりやらせたくはないみたい。心配性だなぁ。


まぁ、取り敢えず暇なので、ベイジ村に連れてってもらったり、散策するのが最近の暇潰しである。けど、以前に比べたら体力もだいぶ付いてきたように感じる。いや、相変わらず物理面のステータス低いから、すぐに息は上がるけどね。けど、気持ちちょこっと散策できてる時間が日に日に増えてるかなぁ、って感じる。


ってなわけで、今日も新鮮な肉の確保のためと暇つぶしのために散策中である。木々の隙間からの木漏れ日と、そよそよと吹く風が気持ちがいい。平和な森の昼下がりって感じだ。ふんふんふーん♪と手ごろな枝を振り回しつつ歩いております。童心に帰るのも大事。


あ、当然師匠には言ってから出てきてます。黙って出て行ったら後が怖いしね。取り敢えず、いつも通り『索敵』をオンにして獲物を探知する。使い続けた結果、ちょっとだけ効果範囲が広がった。多分60nくらい?・・・いや、ちょっと見栄張った。ほんとは55mくらい。ま、まぁ、成長はしてる!背もちょびっと・・・うん、ちょびっと伸びた。自室の柱にナイフで目印付けて定期的に計測してるし間違いない。それに飯はちゃんと食ってるし、栄養バランスも師匠だけで料理してた頃とかよりは絶対にいいはず。成長期すらまだだしね。っと、獲物獲物は、と。


・・・あー、ここら辺の動物は流石に少なくなってきた?野鳥は居るけど、野鳥って陸上型哺乳類より捕まえるのが難しい。ってか、逃げたかな?縄張りを移した?なんやかんや師匠が設定した安全地帯って広いからなぁ。森の奥は怖いから行きたくないし。今日はベイジ村でも森の奥の方角でもない方を散策してみるか。ってことで、『索敵』を維持したまま移動していく。素の速度だと遅いのでちょいちょい『魔鎧』を挟んで移動する。帰りは獲物を運ぶ体力も考えないといけないから、無理に早く移動はしない。途中途中に休憩も挟みつつね。


そうして移動すること1時間くらい?いや、30分ちょい?まぁそこそこの時間を移動したら、いくつか『索敵』に光点が引っ掛かった。野生動物を示す黄色いマーカーがいくつか。多分ウサギか、シカかな?ネズミじゃありませんように。そこそこの頻度で反応するんだよね。さすがに食いたくないし。


ん?あれ?なんか人間の反応である緑色のマーカーが一つだけ出てる。うーん?確かここら辺まではベイジ村の人もあまり入って来ないって話な筈なんだけど。迷い込んだ?旅人とかの余所者?行き倒れ?むむむ・・・


離れてればこっそり見えるかね?取り敢えず30mくらいの地点まで行って判断する、かね?そのまま歩を進めていく。当然足音とかには気を付けつつ、細心の注意を払ってである。よく物語であるあるの焦って枝を折ってパキッて音で気付かれないように足元には特に警戒しておく。


さて、一体どんな人なんかね?ある程度まで近付いたら、木に登って少し高い位置から見える様にする。向こうから姿が見えないように反対側から登って、太めの枝の上で木の葉に身を隠しながら様子を窺う。・・・なんか森とは場違いな装備をした人がうつ伏せで倒れているのが見えた。


えっと、こう騎士?っぽい装備をした人だ。青いマントに金属製の鎧を身に纏ってる感じ。ってか、あの倒れ方ってさすがに野宿してる寝方とかじゃないよな。もしかしなくてもやっぱり行き倒れっぽくない?取り敢えず今俺が乗ってる枝の近くの枝をそこそこな長さの大きさに折って、それを持って近付いていく。


それを少し遠くから、彼が持つ剣の射程範囲外からツンツンと--あ、端っこ持つと結構重くて『魔鎧』があってもキツイ。ゴンっと頭に直撃してしまった。


・・・ちゃうねん。ワザとやないんや。不可抗力。そう、これは不可抗力やねん。


「うぐ・・・」


騎士(仮)が呻き声を上げる。俺は急いで離れて身を隠すが、彼は起き出す様子すらない。念のため、放り出した枝でもう何回かベシベシと叩いてみる。もうツンツンは諦める。細かい操作無理。


「う、ぐ、うぐ・・・」


叩かれるたび呻き声を上げるだけで一向に起きない。流石に悪いなーと思って、近付いて顔を覗き込んでみるが、相変わらず眠っている。額に手を当ててみても、いたって平熱だった。風邪で倒れたんじゃないのか。じゃあ、なんで?


「あのー、大丈夫ですかー?起きれますかー?」


「・・・」


返事がない。ただの屍の様だ。いや、生きてるんだけどね。これは様式美的なやつです。


取り合えず『水』を少量生成して顔にぶっ掛けてみる。


「ぶっ・・・み、水・・・?」


「あ、起きた。あのー、大丈夫ですか?」


「・・・こ、ども?・・・み、水、を」


「はいはい」


乱暴と思ったけど、容れ物なんかないし急を要するほど喉が渇いてるみたいだから、ザバザバと『水』を頭の上からぶっ掛ける。すまん、自分で飲んでくれ。


「がぼぼぼ!」


「あ、もういいです?」


手をバタバタし始めたので、止めてやる。そしたら次は、ぐるるると大音量が彼の腹から響いてきた。空腹で倒れたんか?なんか格好のつかない騎士(仮)だな。


うーん、一応手持ちのものでドライフルーツが少しあるから分けてあげるか。俺は腰の後ろ側に付けてあるポーチからドライフルーツの入った袋を取り出して、差し出してみる。


「私のおやつで悪いですけど、要ります?」


「す、すまない。恩にきる」


起き上がって、俺の差し出した袋を受け取る騎士(仮)。正面から見てハッキリ分かったけど、やっぱりTHE騎士って感じの装備だった。フルプレートメイルに、青いマント、腰には帯剣している。顔はよくある西洋風の顔立ちで、ブラウンヘアを短髪に揃えてある。見た目からすると実直な騎士って感じの見た目だな。パッと見は悪い人じゃなさそう。


ってか、そもそも『鑑定』使えば良かったのか。犯罪者なら状態の所に表示されるって師匠が言ってたし。ちょっと悪いけど勝手に見させてもらおう。



ヒース・ガガーランド(23歳)

Lv:48

種族:人間

性別:男

状態:空腹

HP:508

MP:201

Atk:611

Def:525

Int:255

Mnd:301


スキル:

『挑発』-『魔獣や動物の注意を引きつける』

『物理耐性』-『種族値×Lv分の数値をDefに加算する』

『魔法:土』

『ユースティナ式剣術』


前に鑑定した門番やってるフォージさんの方がレベル的には強かったけど、『物理耐性』の効果がやっべー。めっちゃ硬くなるじゃん。パラメーターが4桁超えるじゃん。あ、袋逆さまにしてザラザラと一遍に食いやがった。まぁ、自宅にはまだあるからいいけどさ。


「助かった。この森で迷ってから何も口にしてなかったんだ。川もなかったので、水も確保できていなかったのだ」


「あれ、川って結構近くに・・・」


「そ、そうだったのか?お、おかしいな。ここら一帯は探したはずなんだが・・・」


・・・森で迷ってる事からも、まさか方向音痴か?川自体は方角的にはコッチの方じゃないけど、それほど離れては無い。ってか、ベイジ村もここからなら1時間とかそこらの時間歩けばたどり着けるくらいの距離だと思うんだけどな。まぁ、こっからだと俺も詳しい行き方は分かんないだけどさ。けど、およその方角は分かるんだから、多分辿り着けるとは思う。


う~ん、この後どうすべ?


「あの、ここには一体何をしに?」


「ん?あ、あー・・・まぁ、子供であればいいか。実は人を探していてな。ケイリュオン領から王都を経由して、ここグランドル領まで来たのだ」


「人探しですか?」


騎士っぽい位の人間の人探し、ねぇ。貴族位の家出娘の捜索とか?なんか関わると面倒な気がする。他に投げるのが一番か。うーん、ベイジ村にでも--あ、いや騎士の位って一応貴族位になるのか?そうなると貴族に慣れてないあの村じゃ迷惑かけるかな?・・・あれ、今の俺の振る舞い大丈夫?ま、まぁ、こんな子供相手に権威を振るうことは無いだろうし、大丈夫と信じたい。いきなり不敬罪とか言われませんように。


最悪この人を実力でも抹殺--あーと誤魔化せるような人がいいか。ってなると、自ずと一人しかいないわ。面倒事は師匠に押し付ける。いや、俺じゃ力になれないだろうし、このまま放置して野垂れ死にされても後味悪いし。


「と、そうだった。すまないが、君・・・あー」


「ヒスイです」


「ヒスイか。まずは改めて食料を恵んでくれた事に礼をいう。私はユースティナ中央騎士団所属のヒース・ガガーランドという」


「騎士団の方でしたか」


ホントに騎士だった。呼び方ってどうすれば?さん?様?


「ああ。ところで、君のような子供が一人でなぜここに?」


「散策と狩りです」


「散策はまだ分かるが子供一人で狩りだと?危険だろうに。君のご両親は一体何を考えているんだ」


「両親はいないです。あ、でも魔法士の師匠に拾われて、今は一緒に暮らしてます」


「そう、か。すまないことを言った」


「大丈夫です。別に不幸とか思ってないですし」


「ふむ。しかし魔法士の弟子、か。そうだとしてもやけに受け答えがしっかりしているというか、大人びているというか。そういう事もあり得る、か・・・?」


うん、魔法士の弟子って言っときゃ勝手に相手が納得してくれるの便利だわ。これからもこれでいこう。


「しかし、魔法士・・・ふむ。つかぬ事を聞くが、その魔法士の師匠。リガウス、という名であったりするか?」


と、目の前の騎士(仮)もといヒースさんが視線を鋭くして尋ねてくる。おや?師匠をご存知?この国で魔法士の位を得ているのって30人もいないって話だったし、有名人といや有名人なのかも?で、この人がリガウスって師匠の名前を口にした。つまり探し人は俺がさっき想像してた家出令嬢とかじゃなくて、魔法士である師匠?ここで素直に答えるべき?けど何で探してんだろ?んー、師匠が何かの恨みとか買っててその復讐のために探してるとかが目的だったら、俺の身が危ないな。なぜか、眼光を光らせて視線が険しいし。こわ。


え、マジで師匠とこの人の関係が分かんない。ってか、そもそも魔法士って位を持ってる師匠が何でこんな辺鄙な森に暮らしているのか知らないな、俺。んー、最悪のケースを考えて行動すべきだよね。もし襲ってくるような事があればすぐに対応できなきゃ、俺の身が危ない。


よし、一旦ベイジ村の方に・・・って、師匠が指定した範囲を越えなきゃならない。そうなると、いざとなった時助けてもらえないし、ベイジ村が危険に晒される可能性もある。くっそ、結局師匠に押し付けるのが最適解か!でも、この騎士と一緒っていうのは何か嫌だな。何と言うかこう・・・眼光が怖いんですよ。元々そういう顔つきなんかね?


一応指に『水』『氷結』の術式を複数構築しとこ。それと足元にも同様に遠隔術式でセットして、と。もしもの時はひるませた瞬間に全力で逃げる!それと水を凍らせて足止めしたる!名前言った瞬間に襲われたらひとたまりもないし。・・・よし、準備完了。


「えっと、そうですね。確かに師匠の名前はリガウス・ドミ--」


「やっぱりか!!!一体どこに、どこにいる!!?」


「いった!な、--」


ちょっと!?腕にコイツの指が食い込むくらい力を込められてる!!痛い痛い痛い!!


「君の家か!?それともさっき言ってた村か!?」


「あ、ちょっと!いた--」


「案内してくれ!」


「あの、ちょっと落ち着--」


「どこだ!?」


「い、っつ・・・あーもう!!喰らえ、このやろう!!」


制止の言葉も届かず、ガシッと肩を掴まれてすごい勢いで近付いて揺さぶってきたので、チャージしておいた『水』と『氷結』を全力解放する。向こうはめっちゃ驚いたが、知ったこっちゃない。続けて準備しておいた通りの行動を起こす。


「がぼ!?な、何を--こ、凍る!?」


「ち、外した!!ならコッチだ!」


「あ、足が!?」


さすが騎士。初撃の顔面に放った魔法は『氷結』で水が凍る前に躱された。だが、遠隔術式の方の足元トラップは成功した!師匠には躱されまくった手だけど、上手く行った!この隙に逃げるんだよおぉぉ!!


「な、ま、待ってくれ!ちっ、逃がすか!!『ウォール』!」


「わ」


逃げようとしたところで、俺の目の前の地面が隆起して壁として立ち塞がった。ってか「逃がすか」って言ったな、コイツ。捕獲する気満々ですか。目の前にはうず高い土壁。が、こんなものどうって事はない。


「『ディグ』」


「な!?私の魔法を!?」


『落とし穴』って命名してた俺の魔法だけど、別に落とすための穴以外も開けられるから、この前魔法名を変更したんだよね。なので、『掘る』って意味の『ディグ』って命名した。最初は『穴掘り』とかにしてたんだけど、師匠が変更しろって五月蠅かったから、こうなった。まぁ、今はそれよりもとっとと逃げる!またあんな力で掴まれたら堪ったもんじゃない!


空けた穴から『魔鎧』も使用して全力疾走で逃げる。冬の間にキッチリ鍛えたからね!逃げるだけなら、普通の大人になら捕まらない自信がある。


「く、仕方がない」


チラッと後ろを見ると、剣で速攻氷を破壊して足枷を解いていた。そうでしたね!騎士でしたね!普通じゃなかったわ!!あいつが通れないように俺が通れるだけの大きさにしか空けてなかった穴だが、土壁ごと消されて意味がなくなった。ちくしょう!!!んでもって、剣を抜き身のまま持って走って来てるーーー!!大の男が剣持って走って来るとか、恐怖でしかねぇよ!怖ぇーー!!


「待てぇぇ!!」


そんなんで素直に待つバカはいない。ヤバいヤバいヤバい!走りながらだと足止めに有効な魔法が殆ど使えないものばかりになる。『ディグ』も人一人を落とす大きさのものを構築するにはどれだけ頑張っても4秒かかる。ってか、やっぱり向こうも速い!ステータスの暴力!何せ筋力に影響するAtkの数値が向こうは俺の40倍である。俺の今の数値?素の状態で15ですが?一応、種族値×Lv/4の数値を上げてくれる『物理補正』のおかげで95までは上がってるけど、それでも6倍違う。今も距離を徐々に詰められてるし。ヤバいヤバい!!それと息も切れ始めた!ホントにマズい!


「師匠ーー!!助けてくださーい!不審者ですーー!助けてーーー!!」


「ち、違う!私は--」


「不審者は皆違うって言うんですよーー!師匠ー!師ー匠ーー!!」


男に追っかけられるの怖ぇ!!シャレにならん!しかも向こうはロングソードを装備している。刃物怖い!


「ぜっ・・・ぜっ・・・」


お、大声出しすぎた・・・走りながら叫んだのはミスった。


「あと、少し・・・」


ま、まず・・・ホントに追いつかれる。もうすぐ後ろまで手が迫っているのを感じる。そして捕まったらどうなるかって嫌な想像が幾つも浮かぶ。・・・いやだ。いやだいやだ!




「何しとるか、貴様ーーーー!!!!」


「な!?」


「おじい様!」


ドゴンという音がして俺のすぐ後ろに突如土壁が発生した。俺の方は走っていた勢いそのままに突如空から現れた()()()()に突っ込んだ。




いつも読んでくださり、ありがとうございます。

感想、ご指摘等々もありがとうございます。いつも目を通させていただいております。


刃物持った相手に追っ掛けられるの怖いですよね。ブルブル・・・



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― 新着の感想 ―
[一言]  さすがに必死過ぎて、信用するかしないか以前の問題ですわ~((( ;゜Д゜)))  しかも必死さからか、礼儀も忘れて完全に恫喝や脅迫としか受け取れない、横柄で傲慢な言葉遣いになってるし。 …
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