3-8:師匠の許可
もう少し涼しくなって欲しい今日この頃。
3-8
さて、冬の間に起ったことは少ない。殆ど籠ってばっかだったしね。ひたすら魔法の修行して、勉強して、鬼ごっこして、狩りして、そのたび寝込んで。まぁ、でも取り敢えず収穫も大きかった。百聞は一見に如かずという訳で、どん。
ヒスイ(5歳)
Lv:8
種族:亜人
性別:女
状態:正常
HP:226
MP:2637
Atk:15
Def:22
Int:1702
Mnd:1787
スキル:
『@*/*m』
『m@埜k5』
『@hぃr*』
『ネットワーク』
『鑑定』
『索敵』
『危機察知』
『偽装』
『物理補正』
『魔法補正』
『精神補正』
『自己治癒補正』
『成長補正』
『毒生成』
『薬生成』
『魔法:火』
『魔法:水』
『魔法:風』
『魔法:地』
『魔法:氷』
『魔法:治癒』
『魔法:空間』
魔法関連のステータスが化け物じみてきました。師匠には相変わらず敵わないけどね。けど、アンバランスすぎる物理関連のステータス。スキルは『魔法:氷』だけしか増えなかったけどね。スキル数は多過ぎるくらいなんだけど、もうちょい生存確率上げられるスキルとかないかね?HPは上がってきてんだけど、AtkとDefが相変わらず貧弱です。HPである程度耐えられるだろうけど、Def貫通してHPゴリゴリ削られる未来が見える。ってか、当たり所悪ければワンパンされる未来が容易に予想できる。なんか攻撃無効的なのとか、HP1で耐えるとか、そういうのないかね?
あ、それと年齢だけど、めでたく5歳になりました。俺の誕生日はどうやら1月1日だったらしい。この世界にも誕生日を祝う風習はあるらしいんだけど、如何せん師匠と二人きりなので、誕生日を祝うイベント的なのはなかったです。まぁ、精神年齢がアラサーの俺からすると誕生日を祝われても恥ずかしいだけなので、別にいいんだけど。「そ、そうだったか。今日が誕生日だったか・・・うむ。そうか・・・」ってな感じで師匠は少し気にしている風だったけど。別にいいですって言ったんだけどね。
さて日付としては1月14日。昼間はポカポカ陽気が心地いい今日この頃。はい、ポカポカ陽気なんです。いやね、俺もおかしいなーって思って師匠に事情を聴いたんですよ。そしたら、この世界の暦が関係していた。この世界の暦って地球とは違って1年が365日じゃないんだよね。336日でした。つまりですね、1か月が28日で、それが12か月。で、季節がくっきり分かれてて、3か月でキッチリ次の季節に移る。1~3月が春、4~6月が夏、7~9月が秋、10~12月が冬。ってなわけで、実は今は春なんだよ。元々日本の記憶がある俺としては違和感が半端ない。1月に春の陽気って・・・ま、郷に入っては郷に従えってね。そのうち慣れるでしょ。
それと春が来たって事は俺と師匠が出会ってからおよそ1年が経ったってことだ。早かったような遅かったような、微妙な時間感覚だ。子供特有の時間感覚なのかね?
それはそれとして、雪も降らないし暖かくなってきたので、今日は師匠の畑の種蒔きを手伝うことに。なので今日は魔法の修行は免除で、農作業である。師匠からは少しでも体を鍛えておけとの事。ステータスなんて便利機能があるのに鍛える必要なんかあるんですか?って聞いたら、「ある」とのこと。その人の行動次第でステータスの伸びが少しだけど変わるらしい。それと上がったステータスの数値をしっかり体に慣れさせる必要があるんだってさ。要は動きを常に確認してステータスの数値に振り回されないようにするわけだ。俺の場合は物理のステータス低すぎて、あんまり意味がないらしいけどね。でも体を鍛えれば多少は物理関連のステータスが少しは伸びたりせんかね?
ってなわけで、俺は等間隔に種を蒔きつつ、雑草があれば引っこ抜いていく。ずっとしゃがみっ放しで、いくら子供の体とはいえ腰が痛くなってくる。
「おじい様~、休憩しませんか~?」
「まだ始めて30分も経っとらんじゃろうに・・・」
「私の体力の無さを舐めないでください」
「胸を張って言う事ではないんじゃが」
「あー、もう辛いですー。しゃがみっ放しで足が痛いです。腰がツライですー。もうダメー」
「・・・まったく。ほれ、ではそこの畝だけでも終わらせい。そしたら一旦休憩してていいわい」
「はーい」
休憩許可が下りたので、今やってる分の畝を速攻で終わらせる。終わらせて顔を上げれば師匠がジトッとした目で俺を見てた。
「・・・元気ではないか」
「・・・あー、足がさらに痛くなってきました!もう無理です!歩けませーん!」
これ以上農作業をしたくないのは事実なので、その場にしゃがみ込んで駄々をこねる。ほら、今の年齢5歳ですし?明日はちゃんと手伝うから。多分。
「これ、畑の上で座り込むでない。折角耕した土が固まる」
そう言うと、ヒョイと俺を抱え上げて庭のウッドチェアに降ろしてくれた。さて、このまま師匠の農作業を眺めるだけでは暇なので、改めて『魔鎧』と術式の構築の制度を上げるために何度も反復する。こういう基礎の技術ほど大事だって師匠も言ってたしね。
それと、俺の場合は特に重点的にこれを練習しないと、マズイんだ。その理由はレベルアップの弊害にある。何がマズいって、Intが上がったことによって魔法の出力が上がってしまったんだ。いや上がり過ぎてしまったと言った方が正しい。なにせ数値が1000の大台をとっくに超えてるからね。1000を超えた辺りから目に見えて威力が上がっちゃったんだよね。
殺傷能力のなかったはずの俺の魔法は軒並み、攻撃魔法と言っても過言ではないレベルまで出力が上がった。ただし、『魔鎧』で体を保護しながら使わないと俺自身にダメージが来る。具体的に言うと、例えば俺が最初に覚えた魔法である『水』だが、最初は頑張ってもジョウロで垂れ流しにしているくらいの勢いしかなかったが、1000を超えた今の状態での全力だと消防車の放水ばりに威力が出る。『魔鎧』が無ければ、肩が外れます。あの時は流石に泣いた。師匠がすぐにポーションを持ってきてくれて治ったけどさ。因みに、遠隔術式使えばノーリスクで打てるって気付いたのは、昨日だったりします。まぁ遠隔術式だからちょっとタイムラグがあるけど。俺の肩の痛み・・・
そんなわけで俺の現在の魔法修行は『魔鎧』と術式の構築と反復のみに逆戻りしてしまったわけだ。うーん、まさかこんな落とし穴があるとは。進んでんだか、後退してんだか・・・まぁ、決して退化してるわけじゃないからね。前向きに行こう。ほら、攻撃手段は増えたんだし。諸刃の剣ばっかだけど。次は防御だな。いや、逃走手段か?
一応、『魔鎧』発動して全力疾走すれば、大人と同じくらい?もっとかな?の走力は出せる。ただし体力が相変わらずなので、100mも持たない。100m超えた辺りから目に見えて速力が落ちる。マラソンは苦手です。でもいざという時は、走って逃げるしかない訳なので、毎日全力疾走する特訓はしてます。
まぁ、俺には最終兵器規格外師匠が居るので、最悪泣きつこう。他力本願って楽でいいヨネ。
にしても・・・
「平和過ぎて、飽きた」
平和は尊いもの。えぇ、それは分かっとります。でもね、退屈は神をも殺すって言うじゃん?ホント師匠と二人だと、生活パターンが1パターンで、こう・・・起伏が、ね?取り敢えず師匠に相談するか。
「おじい様ー、暇なので森の散策に行きませんかー?」
「・・・今、農作業中なんじゃが」
「でも暇ですし。あ、そうだ。マクリウがそろそろ尽きそうですし、補充しに行きましょう」
「しかし、畑がのぅ」
「じゃあ、一人で行っても良いですか?冬の間に周囲の魔獣は狩り尽くしましたし、一昨日師匠が冒険者ギルドの依頼で、森の奥まで掃討したから、今なら家の周囲は安全ですよね?」
「まぁ、そうじゃが。うぅむ・・・これも成長させるため・・・?いや、しかし5歳の子供ではあるし・・・狩り尽くしはしたが、うむぅ・・・(ブツブツ)」
「それにほら、私にはスキルの『危機察知』っていうのがありますから。危なければ分かりますよ、多分」
「・・・・・・」
師匠は長考モードに入ったようだ。暫く悩んだ末に、師匠が口を開く。
「良かろう。しかし、条件がある。少し待っておれ」
師匠はそう言うと、『フライ』の魔法で飛び上がって、どっかに行ってしまった。あの魔法便利だよなぁ。俺も空飛びたい。20分ちょいくらいしたら、師匠が戻ってきた。
「まず森の奥へは行かんこと。それとこの家を中心に、森の浅い方面に少し低めの土壁を出しておいた。そこより外へは出るでないぞ?そこより外じゃと、儂の血液魔法で探知できる範囲を超えてしまうからの」
「え?血縁を探せるってアレですか?あの魔法、有効範囲とかあったんですか?」
「当たり前じゃ。およそ街一つ分ほどの範囲じゃ」
へぇ、あれって有効範囲があったのか。そういやそんな事言ってたような?うーん、よく覚えてないわ。なんか有効範囲内だと俺に迷子紐が付いてるみたいな感じだな。プライバシーの侵害とかも思うが、まぁいっか。安全のためには仕方がない。それに今更な感じがするし。
ってなわけで、一部地域のみとはいえ森の散策許可が下りた。今から少し出て、ちょっと散歩でもしてくるかね。よし、行くか。
「おじい様、私早速森に行ってみたいです」
「まぁ、良かろう。ただし--」
「分かってます。森の奥にはいかない。土壁の外には出ない、ですよね」
「・・・分かっているのならば良い。念のため、武器と防具を装備していきなさい」
「はーい」
師匠に言われた通り、一旦家の自室に戻って武器と防具を装備しに行く。冬の間に一人で装備できるよう練習もしたので、師匠の手を借りることもない。前世だとこんなの装備する機会無かったからね。最初は手間取ってたけど、今では練習の甲斐あって一人でできるって訳です。
家を出て早速、ってそういえば・・・
「おじい様ー!壁を開けてくださーい」
そう、過保護師匠によってこの家はグルッと岩壁に囲われているのだ。師匠に穴を開けてもらって、以降はそこを出入り口にしてもらうことにした。早めに扉を取り付けるとのこと。日曜大工も出来る、相変わらずの万能師匠ですわー。
「じゃあ、行ってきます!」
「うむ」
師匠は軽く手を振って見送ってくれた。さて、周囲の散策である。
いつも読んでくださり、ありがとうございます。




