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1-2:とある救出劇

いきなりですが、視点が変わります。

1-2


儂は・・・ふむ、リガウス・ドミナンス。辺境の森に隠居した爺だ。60も手前になり、今までの生活に疲れ、家を抜け出し悠々自適に生活しておる。家の者らには迷惑をかけるであろうが、まぁ仕方あるまい。いつまでも老人が上に居るべきではないであろうしな。あとは、若い連中に任せた。


さて、森に越してきてから既に約1年。そこそこ今の生活にも慣れてきた。


それに、ここであれば趣味の魔法も極められる。今日もいつも通りに、日の出前に庭へ出て、水魔法で水を出し畑に水をやる。


「ふんむ?芽が出始めたか?うーむ、これで合ってるかのう?農業は専門外だからのう」


今まで魔法しかやってこんかった弊害じゃな。いやはや死ぬまで勉強とはよく言ったもんじゃ。さて、今日はどうするか。昨日は畑弄りで一日費やしてしまったからの。今日は散策でもするか?


この森は基本的には危険度がそうは高くない魔獣共が生息しているが、時折変異種共が出おる。そうなると、儂も少し本気を出さねば対処しきれん。そのため、武器である長杖を必ず携行せねばならん。


まぁ、普通に悪路を進むための支えにもなるので、便利ではあるが。


「さて、行くとするかの」







--☆





家を出て森へと入り数分。異変に気付いた。


ふむ?何かがおかしいの。今日の森は少し空気が異なる。そういえば鳥も飛んでおらぬ。何かが現れた?もしくはその前兆かの?近場の村には知らせておくべきか?


いや、先に原因調査か。村の冒険者ギルドもそうでなくては動けまい。うーむ、こういった時に『索敵』のスキルがあれば便利だったんじゃが。まぁ、経験と勘で探るしかないの。


近場の木を風魔法のエアカッターで伐採し、そして連続のエアカッターで木板に加工する。その上に腰かけ、風魔法で浮かす。身一つで飛ぶこともできるが、アレやると姿勢を制御しようとして、稀に腰をやってしまうからの。故に、今では何かしらを媒介にして空を飛ぶようにしておる。やれやれ、年は取りたくないもんじゃ。


木に引っ掛からん高度まで浮かし、ざっと周囲を見る。うーむパッと見では分からんな。こういう時は勘で進むに限る。ふむ・・・村とは反対の方角でよいか。村の方は冒険者も自警団もおるし。決まりじゃな。


儂は木板を村とは反対の北へと向けた。







--☆







「すんすんすん・・・うえ・・・うぅぅぅうぇぇ~~~・・・・」


子供の泣き声が聞こえ、その近くへと降り立つ。なぜこの様な森の奥に子供一人が?いや、先に調べねばならぬ。


過去に子供の暗殺者を差し向けられたこともあったからのぉ。ありゃ後味最悪じゃったわ。差し向けた者らには相応の報いを受けてもろうたが。


さてと、近くの茂みから子供の様子を観察する。念のため『気配遮断』を発動させておくか。では、あの子供には悪いが、鑑定させてもらうかのう。


・ヒスイ(4歳)

Lv:1

種族:人間

性別:女

状態:正常

HP:19

MP:211

Atk:4

Def:6

Int:80

Mnd:121


スキル:

『鑑定』

『危機察知』

『物理補正』

『魔法補正』

『成長補正』

『魔法:火』

『魔法:水』

『魔法:治癒』


こりゃ驚いたわ。4歳で既にこのスキル数。しかし、ステータスにかなり偏りがあるな。魔法系統のステータスは下級程度の魔法使いのステータスであるにも関わらず、物理系統のステータスが異様に低い・・・


随分とちぐはぐな・・・


これでは、体力なども少ないじゃろうに。しかし、この齢にして既に3系統の魔法スキルを獲得しておる。鍛えれば大魔法士になるやもしれぬな。ぬぅ、これは・・・


そして当の子供はしばらく泣き続けていた。しっかし、よく泣くのぅ。子供の宥め方なぞ他に任せっぱなしにしてきたから、儂知らんぞ。


どうすべきじゃ?一応鑑定の結果では、害はなさそうじゃが。出て行って保護しとくべきか?この子供ならばもしや・・・いや、しかし・・・う~~む・・・



「ひっぐ・・・うぅっ・・・すん・・・すん・・・ずびっ」



と、儂が頭を悩ませ、子供が泣いている内にいつの間にか昼前になっておった。しまった、考え込み過ぎたわい。お、さすがに泣き止んだかの?

と思ったら今度は虚空に向けてしばらく指を伸ばして動かしておったが、しばらくするとボーっと中空を眺め続けていた。


何をやっとるんじゃ、あの子供は?まさか、もう『鑑定』を使えるのか?ということは、字を読むことは出来るという事かの?それとも、急に出てきた鑑定結果を眺めているだけか?4歳でものを読むことなど出来るかのう?うーむ、子供なぞ育てたことがない故、分からん。儂の子供のころはどうだったかのう・・・思い出せん。


さて、しばらくボーっとしとったみたいじゃが--ぬっ!!?


こりゃマズイ。あやつ気付いとらんのか!?動くでないぞ~・・・

儂の祈りは届かず、あやつ立ち上がりおった・・・


「け、毛深いね、君。は、ははは・・・」


アホな事言っとらんで逃げんかい!!


「GoAhaaaaaa!!」


「ひやあぁぁぁぁぁ!!?」


ええい、言わんことではない!!


「伏せよ、童!!」


「ふへ?」


ええい、間の抜けた声じゃ!

おっと、魔獣がこっちに気付きおった。しかし遅いわ!


「喰らえい!」


風魔法のブロウで魔獣を吹き飛ばす。吹き飛ばしたことで魔獣の全貌が良く分かる。赤茶毛の熊型で足が6本ある魔獣--バーサークベアじゃな。体長は4m弱ほどか。でかいのぉ。


まぁよいわい。吹き飛ばせたことで、飛び火の心配は少なくなったしの。


「Gu・・Guhooooooo!!」


「ひぇ・・・」


「下がっとれ」


「は、はい・・・」


子供を儂のローブの後ろへと隠す。その間相手から視線を外すことはせん。今にも飛び掛かるつもりの様じゃしの。が、遅いわ。


「させぬわ」


火魔法のスパークを相手の目の前で弾けさせ、視界を遮り目を潰す。


「Gy…gugyaaaa!」


おーおー、激高して吠えて来とる。まったく、るっさいのぉ。まぁ、目が見えておらんはずじゃから、本当に威嚇して近付けんようにしとるだけじゃろうな。好都合じゃ。返り血を浴びずに済む。


「そんな大口開けるでない、ほれ」


エクスプロードを仕込んだ極小の火球を奴の口へと放りこむ。次の瞬間、バーサークベアの頭部は下顎だけ残して吹き飛んだ。うむ、火は偉大じゃな。敵を焼くため、必要以上に血が飛び散ることがない。


ズゥン・・


バーサークベアの亡骸が後ろへ倒れた。ふむ、魔獣の討伐など久々じゃったが、上手くいくもんじゃの。あ、いや。2週間前に他の魔獣を討伐したの。忘れとった。


「うわぁ・・・」


今まで隠れ取った子供が、儂の後ろからヒョッコリ顔だけ出して、前方の様子を伺っておる。


「これ。子供が見るものではない」


「うあ」


子供に死骸など見せるべきでないことくらい、儂にもわかる。子供の頭を押さえて再び儂の後ろへ下がらせる。はぁ、まったく。


あ~・・・この子供、どうすっかのぅ?


救助完了。

戦闘描写は何度やっても慣れない・・・努力はします。(多分)

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