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1-18:失敗と醗酵

その内設定とか、人物紹介的なものをUpします。


もう少々お待ちください。

1-18


皆さま、今日はご報告があります。


・・・失敗した。地味にショック。


何に失敗したのか、ぜひ聞いて欲しい。逃げずに聞いて欲しい。たとえ面倒くさくても聞いていってほしい。さて俺が失敗したもの、それはトイレットペーパー作りだ。


ベイジ村から灰を持ち帰って、それを用いて俺は早速トイレットペーパー作りに取り掛かったんだ。結局3日間水に漬けることになった枝の類を、甕から出してくる。で、灰を溶かしこんだ熱湯で煮た。これは火を使うので、師匠にやってもらう。この時、多分繊維の間にあったゴミとかも浮いてきたので、ひたすら取って柔らかくする。そして、取り出した枝の類を水洗いして灰を洗い流す。


皮を剥いでから、師匠の風魔法で一気に乾かす。・・・これ、中身の枝の芯も勿体ないから、粉々にして混ぜれば嵩増し出来るんじゃ?少し触ってみても、ふにゃふにゃしてるし。やってみるか。


んでもって取り出してきた繊維状になったものを角材でひたすら叩く。これも『魔鎧』の修行の一環って事で、全部やらされた。いや、作りたいって希望したのは俺ですけど・・・


文句を言っても仕方がないので、とにかく叩く。これでもかってくらい叩く。欲しいのは細かい繊維だけなんだ。それ以外はいらん!てことで、少し大きめの塊は邪魔だ、オラー!!みたいな感じでガンガン叩きまくって、時にはすり潰す感じで、とにかく細かくした。はい、この作業だけで疲れ果てて、その日は終了してしまいました。・・・でも、10種類もバラバラにしたんだから、めっちゃ頑張った。ホントこの世界に転生してから一番頑張った。それだけは間違いない。おかげで、その後から翌日まで冗談抜きで腕が上がらなかったけど。


夕飯はどうしたかって?師匠に「あーん」してもらいました。・・・お願い。バカだろとか、尊厳どこ行ったの?とか思わないで・・・私のライフはもうゼロよ・・・




腕の上がらない原因は『魔鎧』の使い過ぎだって師匠に言われた。『魔鎧』を長時間使うと、体内の魔力の通り道の魔力耐性をゴリゴリ削っていくのだそうだ。そして魔力耐性を超過すると、通り道を傷つけてしまう。これを魔力痛って言うんだと。筋肉痛の魔力版かな?いや、多分筋肉痛も起こしてるけどさ。あれだけ非力な腕を何度も振り下ろしたからね。


「師匠。魔力痛、メチャクチャ痛いです。あと多分筋肉痛です。すぐに治る方法ってないですか?」


「・・・耐えよ」


「そ~ん~なぁ~・・・」


筋肉痛とはまた違ったベクトルの痛みなので、俺の腕の中では別々の種類の痛みが踊り狂っています。痛すぎて泣きそう。


仕方がないので、魔力痛が治まるまで、作業は中断になった。腕が上がらないので、師匠の「あーん」は継続中です・・・お願い。やっぱりバカだろとか言わないで・・・


はい、この放置がいけなかった。


ここ、異世界。地球の常識、異世界の非常識。俺にとっての非日常は、世界にとっての日常です。


うん、2日置いただけなんだ。置いただけなのに、トイレットペーパーの材料になるはずだった植物繊維たちはサラサラと風化して消えていった。持とうと触った瞬間、サラサラ~って感じで。


・・・なんで?


師匠も初めて見る現象らしくって、原因は分からんって言ってた。


あれだけ・・・あれだけ苦労してこの結果はキッツイ。メチャクチャ痛い魔力痛にもなったのに、完璧に損しかしてない!!せめて少しでも残ってくれても良くない!?一体何なんですかね、この現象は!?


「まぁ、人間だれしも失敗することはある。あまり気を落とすでない」


「・・・」


師匠がポンポンと頭に手を置いて慰めてくれるけど、俺のダメージはでかい。

どのくらいデカいかと言うと、その日俺は初めて不貞寝をしました。








--☆









俺の不貞寝から一夜明けて、今日。いつまでもへそを曲げても仕方がないので、通常営業に戻りますとも。はぁ、今日も一日が始まってしまう。憂鬱・・・


まぁとにかく、いつも通り魔法の修行して午後の自由時間である。と言っても大してやる事もないので、師匠の畑の手伝いですが。異世界の謎現象ショックの爪痕はデカい。


で、当の師匠は早速灰と堆肥を試すらしい。俺は灰を水に溶かしこんで、それを作物の芽とかには直接かけないように、芽の間にちょこちょこ撒いていく。堆肥は師匠が直接作物の近くに埋めている。そんなこんなしてたら、いつの間にか夕方になっていた。


さて、昨日のトイレットペーパー作りは失敗に終わった。トイレットペーパーは・・・うん、諦める。もう、ね。心が折れました。


冒険者ギルドに依頼書はあったから、紙を作る技術はあるはずなんだよな。だったら、どっかで紙職人でもみつけて、作り方を伝えて依頼しよう。うん、この世界の人の技術向上にも繋がるだろうし。問題は現在幼女な俺がどう職人を説得するかなんだけど・・・うん、それはきっと未来の俺が考える!任せた!


さて、同時並行で進めていた天然酵母の話に移ろう。


数日前から醗酵を進めているアレです。作り方は果物の皮とか芯を軽く洗って、それを土魔法で作ったミニ甕に入れて水を満たす。当然ミニ甕の中は煮沸消毒して、水は水魔法で出して、雑菌が入らないように注意しながら行う。因みに使ったのはリンゴに見た目が似ているポムの実である。美味しいしね。本当はレーズンとかあれば、酵母液を作るのと生地に混ぜ込んでレーズンパンを作りたいところなんだけどね。


あ、因みに水魔法は純粋な水が出るらしい、って師匠が言ってた。それを信じてそのまま使いました。これは!これだけは成功させたい!もう、かったいパンをバリバリ食って顎を鍛えるのは疲れた!なんで回復方法である食事で体力を削られなきゃいけないんだ!!


酵母が出来たら速攻でパンを作ってやる!捏ねる部分なら火も使わないから、師匠も文句を言わないだろうし。


ただ、一つだけ問題がある。


「これが最後の一個かぁ・・・」


「残りの4つはダメじゃったの」


そうなのだ。取り敢えずお試しだからって事で、5個だけで作ってたんだけど、残りの4個は途中でダメになった。これに関しては俺の説明も悪かったんだけどさ。初回のミニ甕を振った後に、師匠に早速穴をあけてもらったんだけど、頂上部分に開けちゃったんだよね。5個とも。


で、多分その時に運悪く4つには雑菌でも入ったのか、翌日辺りから腐った匂いがし始めたり、なんか膜が張り出したので廃棄した。まぁ今残っている1個は上方の側面に穴を開けてもらって、ガス抜きをしたから大丈夫だとは思うけど。


「ほれ、ヒスイ。貸してみよ。穴を開けよう」


「はい、お願いします、師匠」


振っていたミニ甕を師匠に渡したら、穴を開けた瞬間にプシッと音がしてガスが抜ける。それと同時に中の液もちょっとだけ漏れ出すけど、問題ない。で、匂いを嗅ぐと、果実臭に混じって若干アルコールチックな匂いもしてくる。


もう丁度いいかもしれない。


「師匠、多分コレは成功です。今日はもう間に合わないですけど、今のうちに生地に練りこんで一晩寝かせましょう」


「ふむ?焼かないのか?」


「焼く前に醗酵させないといけないんです」


「腐らんのか?」


まぁ、腐敗と醗酵の根底は同じものですけどね。人の都合で呼び分けているだけ。


「うーん、その辺に放置だと不安なので、こう・・・形を整えてから鍋の中とかに入れて蓋をして雑菌がないようにしたいですね」


って訳で、夕食後にパン生地を作ってその際、普段なら水を使うところ、酵母液を混ぜこむ。といっても、量が少なめだから不足する分は普通に水を入れる。で、捏ねる。台所の上に手が届かないので、師匠に台を作ってもらいましたが・・・


その後成形してキレイに洗った鍋の中に放り込む。


「これでヨシです。あとは明日の朝に生地を見てみて、大体2倍?の大きさに膨らんでれば完了です」


「膨らむ、のか?それは本当にパンになるのか?そもそも食べ物なのか?不安なのじゃが」


「腐りさえしなければ大丈夫です!・・・でも念のため、地下に入れといて良いですか?そっちの方が温度が少しだけ低いので」


これからやるのは1次醗酵だ。この時過醗酵に気を付けないといけないから、醗酵スピードは遅めでいいんだよね。だから、常温よりも少し低いくらいで、慎重に行う。


「低い方が良いのか?」


「一気に醗酵させちゃうと、焼いた後パサパサになっちゃうみたいなんです」


「うーむ・・・この歳になっても知らぬことというのは多いのう」


うん、そうですね。現代日本でも全部の知識を持ってる人なんか居なかったし。人生死ぬまで勉強だと思います。


「まぁ、私も成功するかどうか分からないんですけど。けど、成功したら、パンが美味しくなります!」


「では、期待しておくことにしよう」


てなわけで、明日のパンを楽しみにしつつ今日は寝ます!おやすみなさい!





お気に入り登録など、ありがとうございます。



この前、近所の大型犬が突撃してきたんですけど、やつら・・・ヤバいですね。パ、パワーが違い過ぎる!?って感じました。

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