1-15:素材が足りない!
前からそうだけど、風景が完璧に休日のお爺ちゃんと孫・・・w
1-15
森の探索に入って少し経った。相変わらず物理系統の低いままの俺です。はい、速攻で息切れを起こしました。もうね、『物理補正』入れても速攻で体力が切れるのよ。で、休憩→探索→休憩・・・って繰り返してたら師匠が「日が暮れるわい」って肩車してくれました。
あ、探索するときはさすがにズボン履いてきてます。そりゃね、あんなヒラヒラしたスカート履いてたら、俺の場合100%どっかに引っ掛けてダメにするわ。ってなわけで、師匠に肩車されても問題ないという服装なわけです。
「あ、師匠、ちょっとストップです。左の方、あっちに丸い葉をつけた植物見つけました。あっちです」
「うむ」
師匠に頼んで俺の指さす方へ向かってもらう。今回は匂いとかは関係ないので、とにかく目に付いたやつの木の枝を数本切ってもらって師匠の背負っている籠へ入れていく。籠の中はしっかり仕切られていて種類別にできる。取り敢えず、どの植物が有効かの検証がしたいわけだしね。
「師匠、ついでにマクリウも見つけて持って帰りましょう!そろそろ、シャンプーの予備を作っておきたいのと、ベイジ村の皆に作り方を教える用に、2本は確保したいです!あ、ついでにマクリウってどうやって増えるんですか?やっぱり種?多分、皆が一気に乱獲しちゃうと、無くなっちゃうと思うので、増やし方も知っておきたいです!」
「分かった、分かった。分かったから一つずつ喋らんかい。一気に言われても追いつけんわい」
仕方ないので、1個ずつ説明しつつ要望を伝えていく。環境保護の概念なんか無いだろうし、予防線張っておかないとね。マクリウが取れなくなっちゃうから。んー最悪、接ぎ木を試してみよう。蔓植物に接ぎ木が有効なのか知らんけどさ。まぁほら、異世界の植物だし?何とかなるんじゃないかなー。
「師匠、次あっちです」
「お前、人使いが荒すぎんか?」
「応援してあげますから!頑張ってください、師匠!」
「・・・はぁ、儂の腰が悪くなる前に帰るからの」
「はーい。師匠、頑張ってくださーい」
俺と師匠の森探索は続く!具体的にはあと7種類見つけるまで。籠に入れられる種類があと7種だけなんだよね。って、ことで師匠。あと7種類お願いします!
「・・・もう帰らんかの?」
「いやです!お願いします、師匠!!頑張ってください!」
--☆
さて、帰宅して一夜明けた。今日も魔法の修行して、午後は自由時間。よし、ということでいざトイレットペーパー作り。ロール状とかの贅沢は言わないから、せめて柔らかい物が出来て欲しい。トイレ事情改善のために。
さて、ただここで問題が一つ。植物をドロドロに溶かすためにはお湯で煮ないといけなかったはず。それと、今さら気付いたけど今の枝の状態って、生木状態なんだよね。加工するには乾燥させるとか、水で事前にふやかすとかの工程が必要だった気がする。
で、調べると、乾燥の方は建築で使用するとき用だった。必要なのは事前に水に漬けておくことらしい。まぁ植物の繊維を細かくしないといけないんだから、水に漬けて柔らかくしないとダメって事か。
あと、アルカリ性の液で煮ないといけないらしい。アルカリ性アルカリ性・・・一番に思いつくのは重曹。だけど、師匠はその存在を知らなかった。あとは海藻からもアルカリのミネラル系統が取れるんだっけか。あ、そうらしい。けどここは森林地帯。海なんかない。
あ、そういえば、酒造りの一環だと殺菌に灰がどうのって・・・よっしゃ検索!えーと、灰とアルカリで、と。・・・やった、ビンゴ!
拝啓、清酒学の先生。こんな授業何の役に立つんだよって、寝てばかりでゴメンナサイ。今、すっごく役に立っております・・・
それはともかくとして、色々と物が足りない。足りなさすぎる!
よし、足りないならば調達あるのみ。いざ行動!
「師匠師匠!トイレットペーパー作るために色々なものを土魔法で作ってほしいです!」
「・・・何が必要なんじゃ?」
「まず、木を煮るための鍋ですね。煮れればいいので、正直材質は何でもいいです。それと、木材を丸一日くらい漬けておきたいので、それを漬ける用の大き目の鍋みたいなやつを!あ、こっちは煮ないので、大きければ甕とかでも問題ないです」
「はぁ・・・まぁよい。とりあえず、鉄鉱石を倉庫に入れてある故、取りに行くぞ。ヒスイ、お前も手伝いなさい」
「はい、もちろん!」
って事で師匠の土魔法で、鉄鉱石を製錬して成形してあっという間に鍋が出来た。複数個欲しいって言ったら、5個作ってくれた。持ち手部分は家の周囲の木を加工して、火傷をしない様にして完成。で、さらに俺がスッポリ入ってしまいそうな大き目の甕も作ってくれた。木の枝を水に漬けておく用である。・・・師匠、一瞬俺の事を甕に入れてみようとか思いましたね?やめてくださいね、ホント。
で、早速甕の中に俺自身の水魔法で水を張って一種類ごとに、木の枝を放り込む。あ、さすがに甕の高さまで手が届かないので、師匠に踏み台を作ってもらいました。師匠が便r--ゴホン、頼りになります。
「ヒスイよ、これで一通り良いのか?」
「はい!あとは多分1日以上?待てばいいかと。あ、そうだ。師匠、あと灰が必要でした」
「灰?ふむ、その辺の木でも燃やせば手には入るが、森に燃え移ればコトじゃからな。明日、ベイジ村にでも行って場所を借りるかの」
「あ、じゃあついでに、ベイジ村の人にシャンプーの作り方を教えてあげましょう!えっと、薬師の・・・モーガンさん?とかなら、改良とかしてくれるかもしれないですし」
「そうじゃの。モーガンに完治したことに礼も言わねばならんしの」
明日はベイジ村に行くことが決定して、夕食の準備をしに師匠は家に入っていった。俺はもうちょっと外で遊ぶと言って、庭に居ることに。師匠には庭より外に出るなと、厳重に命令された。
それは置いとくとして、俺が足を踏み入れたのは師匠の畑だ。たまに師匠と一緒に畑の中を歩くんだけど、この畑広いんだよね。多分50m×25mくらいのプールと同じ面積位ある。師匠に聞いた話だと、今は春らしくって、畑からは芽が出始めた程度。雑草を抜くのをたまに手伝ったりはするけど、畑の世話は師匠が全部やっている。
で、俺が気になったのは畑の肥料だ。師匠は畑弄りは趣味だって言ってるだけあって、ド素人だ。だから、もしかして肥料はあげずに水だけで育ててるんじゃないかなと疑って観察しに来たわけだ。まぁ、今のままだと分かんないんだけどさ。芽が出始めただけだしね。それでも、今のところ枯れたりしてないから、まだ大丈夫って事だろう。
ただ、農業に関してだったら連作障害とか、必要な栄養素のN、P、Kを教えるとかのアドバイスはできる。ベイジ村にもその知識を広げておきたいところ。女神からも世界を発展させてくれって言われたし。
1次産業から改革していけば、人口が増えても対応できるだろうから、まずは農業改革を進めよう。俺自身、できればもうちょっと文明的な生活をしたいし。それと美味しいご飯が欲しいです。問題は見た目幼女の俺がどう皆に知識を広げるか・・・
うん、師匠に教えてそれを伝播してもらおう。師匠、よろしく。
と、師匠が家から出てきて大声で呼びかけてくる。
「ヒスイ!夕食じゃ!」
「はーい!」
今日の夕食は何じゃろな?
大学の授業って、たまに講義名が謎のものありますよね。・・・学生の頃にもどりたひ・・・