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1-14:復活と次の目標

1-14


「完全復活ーー!!」


熱を出して寝込んでから2日。熱もすっかり下がって、元気になったヒスイちゃんです!



・・・今のなし。あれだ。治ったのが嬉しくてテンションが変になってた。だから忘れてください、お願いします。


熱を出して寝込んでいたところ、薬を飲まされたのが一昨日。で、師匠に看病されて丸一日寝込んで、昨日には結構熱も下がってたんだよね。けど、師匠に「絶対にベッドから出るな」と、若干殺気が漏れ出しつつ命令されたので、大人しくしてました、はい。


どうやら、勝手にベッドを出て階段の下で倒れている姿を見たときに心臓が止まる思いをしたらしくって、その後も意識は混濁してるし、弱っている姿を見て気を揉んだらしい。あーでも、地球の歴史を紐解いても、子供の死亡率が改善されたのって、割と近代の方になってからだっけ?


それにこの世界は発展が遅れてて、総人口がヤバいって女神が言ってた。もしかしなくてもこの時代は、「子供は死にやすいもの」って認識なのかもしれない。


ってか、前世からカウントして、殺気と言うのを初めて感知しました。あれがニュー〇イプとかが感じ取っていた世界か・・・あれ、ちょっと違う?まぁ、細かいことはいいや。とにかく、昨日の師匠は怖かった。それが重要なんだ。


あ、でも言いつけ守ってれば、結構こっちの我儘は聞いてくれた。「ポムの実食べたい」「スープ飲みたい」「喉乾いた」「汗気持ち悪い」などなど。要求しまくりました。・・・うん、どこまでやってくれるか気になったっていう好奇心もあって、やり過ぎた自覚はある。はい、あとで謝ります・・・


まぁ、それはともかくとして。今日も今日とて一日の始まりです。窓から外を見れば、庭では師匠が畑弄り中みたいだ。いつもの日課通りだな。さてと、腹も減ったので、師匠に朝飯を要求しに行くかね。


ってわけで、俺は階段を下りて靴を履いて扉を開ける。師匠がすぐに気付いたみたいで、俺の方に歩んできて俺の目の前で中腰になった。


「師匠、おはようございます。もう元気になりました!大丈夫です」


「ふむ」


師匠は水魔法で自分の手を洗うと、俺の額と首筋に触れて熱を測ってきた。ちょっとくすぐったいので、首を竦めてしまう。


「うむ、本当に大丈夫の様じゃな。熱も平熱とみても良いじゃろう」


「あの、師匠。昨日はワガママばかり言って、すみませんでした」


師匠は少し驚いたような顔をして、俺のことを見ていたが改めて俺を見て表情を緩めてくれた。


「気にするでない。あの程度であれば大した問題でもないしの。それよりは、お前さんが完治して良かったわい」


「はい・・・ところで、師匠。私はお腹が空きました」


「まったく。まぁ良いわい。ヒスイ、飯にするぞ」


「はーい」


今日のメニューは何じゃろな?










--☆











朝食後、いつものように師匠が監視のもと『魔鎧』を訓練し、水魔法の訓練もする。そういえば俺の水魔法の名前はどうしよう。ってか、今のままだと用途的に『ジョウロ』とかしか浮かんでこない。どうせなら、攻撃魔法っぽくしたいよなぁ。んー、どうしよう?


「師匠ー、私の水魔法なんですけど、今のままだと垂れ流しじゃないですか?」


「まぁ、そうじゃの」


「これって勢いを強くするためには、どうすればいいですか?」


「まぁそもそも、お前さんのその魔法は攻撃用ではないからと言うのも要因であろうが・・・ふむ、一般的なのはステータスの魔法攻撃力であるIntの数値を上げるのが一番手っ取り早いが、これは自身のレベルを上げねば上がらん」


「レベルを上げるには、魔獣狩りですか?」


「うむ。じゃが、ヒスイよ、お前さんはダメじゃぞ?」


「分かってます。私もあんな熊・・・えっと、ばーさーくべあ?みたいなのは怖いから戦いたくないです」


あんなのと戦ったら、間違いなく死ぬ。そもそも体の大きさが違うし。


「そういうことではなく、大きくなっても戦うことはなるべく避けよ」


「えーと、まぁできるだけ避けたいですけど」


「お前さんの場合、ウッカリで死にそうじゃからな。もう少し警戒心を持てれば考えんでもないが・・・できるだけ危険に合わせたくないというのもあるがの」


もしかして、熱出した一件で、師匠の過保護度上がりました?


「・・・師匠は心配し過ぎじゃないですか?けど、身を守るすべは必要ですよね?」


「まぁそうじゃが。ただ、これから教えるのは、あくまで身を守る術であり、戦うための術ではない事を忘れんように」


「はい」


まぁ、これに関しては全面的に同意する。そもそも俺は平和な日本生まれだ。争いごとは嫌いだしね。


「さて、勢いを強くする方法じゃが、まず術式を小さくする。そしてその術式に必要な魔力以上の魔力を満たすのじゃ。ただ、術式には耐久がある。およそどの術式でも2倍以上の魔力は充填できないのじゃ。無理に充填をしようとすれば魔力が霧散する」


なるほど?って言っても、今の俺ができる最小の術式はMPが4のもの。で、2倍以上は無理だから、注げるMPは7が限度か。試してみるが、若干注ぎ辛い。だー、こなくそ!入れオラー!


そしたら、ジャバッと普通より確かに勢いよく水が出た。ジョウロみたいにジョロロロ・・・って感じでなくて、バケツで水を飛ばすみたいにジャバッと!


けど、もっとこう、ねぇ?せめて水鉄砲みたいに飛ばせないものか・・・


「師匠、確かに勢いは付きましたけど、もうちょっとこう・・・」


「ふむ、ならば全く同じ術式を幾つも重ねよ。そして、その全ての術式を発動させる寸前まで魔力を込める。それが済んだら、すべての術式に『同時』に『等量』になるまで一挙に魔力を充填し、発動するんじゃ」


えっと、難しいけどなんとなく分かった。術式を重ねてブーストを掛けるって感じ?難しいから2つから始めよう。えっと、まずは術式を重ねて、MP4消費の術式を発動ギリギリ、つまり3まで貯める。で、2つを同時にMP7まで・・・!あ、無理だコレ!ずれた!


ジャバっ!ジャバっ!と2連撃になってしまった。・・・ま、まぁ、攻撃手段としては使え・・・使えると思う。使えると良いなぁ。


「まぁ、何事も反復じゃ。それとこれらの魔法技術はあまり他言せぬように。手の内を自ら晒すようなものじゃからな。そら、何度かやってみよ」


「はい、師匠」


と、いうことで何度もトライ&エラーである。が、結局昼までに習得は出来なかった。はぁ・・・









--☆









さて、昼食後。俺は自由時間だ。師匠は家事を片付ける。師匠の場合、何でも魔法で済ませちゃうから、俺が下手に手伝う方が時間がかかるんだよね。・・・役立たずって思わないで。ほら、シャンプーは作ったし?


さて、シャンプーはベイジ村の人たちに--あ、しまった。お裾分けはして、使い方も教えたけど、作り方教えてなかった。これじゃ、勝手に改良してもらって楽をするという目論見が・・・


まぁ、次に行ったとき誰かに教えよう。そうだ、俺の事助けてくれた薬師のモーガンさん?だっけ?に教えよう。薬師なら植物の扱いとかお手の物だろうし。よし、シャンプーの件はこれでいいとして。


じゃあ次はトイレ?うん、トイレ事情も不満部分は多いからね。師匠の家のトイレは和式のボットン。日本でもないのに和式とは?まぁそれはいい。で、地下には少し傾斜がつけてあるらしくて、そこそこ先の森のどっかに流れ着くようにしてるんだと。で、トイレの排泄物は師匠が使用するたびに水魔法で押し流す形態になっている。


まぁ、匂いとかその辺はそこまで大きくは気にならない。俺の田舎の親戚の家も未だにボットンだったからね。さて、じゃあ何が問題なのかと言えば、紙である。うん、ケツ拭く紙。つまりトイレットペーパーである。


今はどうしてるかって?なんか、フィッチって木の葉っぱを塩水に1日浸けて、水洗いした後に天日干しすると、繊維が柔らかくなって使えるようになる。ただ、硬さが藁半紙よりちょっと柔らかいくらい。まぁ、うん。汚い話で悪いんだけども、思いっきり拭くと痛い。


このままじゃ、俺のケツから血が出る日もそう遠くは無いだろう。・・・リナとかシーナ、ユリーさんとかどうしてるんだろうね?


まぁ、いいや。ということで、次はトイレットペーパー作りだ!


毎度お馴染み『ネットワーク』カモン!


で、分かったこと。まぁ、ね。分かってたさ。結局こういうのって、ガチの原材料から作る方法なんて探しても見つからないって!んー、特許とか見た方が早いかな?けど、あのフォーマット?すっごい見辛いんだよね。いや、必要な情報なんだろうけども、俺にとっては要らない情報の方が多すぎる!!マテメソだけくりゃれ!


ってなわけで、どうにかこうにか何とか見つけました。手順はお湯で煮て漉して、成形して天日干しで固める、と。昔に和紙を作る授業でやったのと似てる。まぁ、要点は


繊維をドロドロにする→漉す→成形→天日干し


ってのを押さえておけば何とかなるっぽい。あとは配合の比率とかは試していけばいいか。この時重要なのが使う植物の繊維の長さらしい。


針葉樹:繊維が長いため、紙にした際水に溶けづらい。

広葉樹:繊維が短いため、紙にした際水に溶けやすい。


とのことなので、使うのは広葉樹。ってか、今使ってるフィッチを使えば早いんじゃない?今でも使えてるってことは、使えるのでは?あ、でも使ってるのって葉の部分なわけで、枝部分とかは使えるのか?それに、他のサンプルも欲しいよな。よし、ってなれば、いつも通りだ!


俺は部屋を飛び出して、畑弄りをしてるであろう師匠の元までダッシュ!


「師匠!また、森に行きましょう!また色んな植物の木の枝とか葉っぱが欲しいです!」


「・・・一応聞くが、今度は何が欲しいんじゃ?」


「はい、トイレットペーパーです!」


「といれ、っと?あー、トイレの何かか?」


「正解です!今のフィッチの葉で作ったのだと、ちょっとまだ硬いので、柔らかいのが欲しいんです」


「・・・まぁ良かろう。また今から行くのか?」


「はい!思い立ったが吉日って言いますから!」


「聞いたことないんじゃが?」


「『ネットワーク』で見ました!」


「・・・あまり外でそのことを吹聴せんように。聞いたことのないスキル持ちと言うのは得てして狙われやすいからの」


・・・こっわ!


「分かったら、見知らぬ地にもし行くことがあれば、儂から絶対に離れんように。森の中でも同じじゃ」


「はい、師匠」


「うむ、よろしい。では行くぞ」


「はーい」


ってなわけで、第二回ペップスの森探索、いくぞー!



いや、本当に原材料から物を作るのって大変なんだなって思います。

そして、調べるのも実はそこそこキツかったりします。


※用語解説・・・「マテメソ」:Material&Methodの略。要は素材と手順

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