1-12:風邪ひきました
タイトルのまんまです。
そして、作者も風邪ひきました。一日で治ったけど。
1-12
俺、リナ、シーナの三人が逆上せて一日が経過した。多分、大人たちは俺たちのことを叱りたかったのかもしれないが、三人ともお説教なんか聞ける状態じゃなかったので、先送りになった。これに関してはラッキー。一日経てば有耶無耶になってるだろ。さて、問題はそこじゃなくて、俺の現状の方。
え、今?今俺は寝込んでいます。逆上せた後、師匠に連れられて空を飛んだのがいけなかったらしい。完璧に湯冷めした。鑑定で「状態:風邪」になってたからね。湯冷めからの風邪コンボ、マジきっつい。
で、朝起きたら気怠すぎて、布団から出れずにいた。いつまでも俺が起きてこないので、さすがに師匠が起こしに来た時、俺の異変を察知したというわけだ。あー、ボーっとして頭が回らん。
当の師匠はと言えば、「大人しく寝ておれよ?」と言い残して、ベイジ村にすっ飛んでいきました。薬師を連れてくるとのこと。うぅ・・・そんな事よりも喉乾いたんだけどなぁ。あ、魔法で水出せるわ、俺。
えっと、口の前に手を持ってきて、と。えーと術式は小っちゃ目で、と。魔力を流して--
「あばばばば!ストップスト--ごふ、ごぼっ!」
風邪の影響か、術式のコントロールが甘かったのか、予想以上に水が出て鼻にまで入った。いったぁー。
「げっほげほっ!ぅえ・・・」
あーあー、びしょ濡れ・・・タオルは一階にしかないんだよなぁ。取りに行くしかないかぁ。うぅ、かったるい。
濡れたままだと悪化するのは目に見えてるし。はぁ、今の状態だと階段を下りるのも一苦労、というか命懸けだったりするんだけどなぁ。なぜかといえば、体が小っこいから階段の一段あたりの段差が地味に恐怖なんだよね。けども、降りるしかない訳で。
仕方ないので、部屋を出て階段を降り始める。けども、ある程度降りたところで弱音がついつい漏れてしまう。
「はぁ、はぁ・・・うぅ、師匠~・・・早く帰ってきてくださいよ~・・・」
ダメだ。弱ってると、精神的にも弱くなってる。あ~、喉痛い。濡れた服気持ち悪い。熱で暑いけど、なんか寒気はする。つらい。
そんなこんな考えてたら、急に襲う浮遊感。あ、やっべ。
「あいたぁっ!!」
ドスンと思いっきり尻餅をつく。
「う・・・しくった。最後の一段、踏み外した・・・」
めっちゃケツ打った~・・・まぁでも何とか階段は降りきった。あとは洗面所にタオルを取りに行くだけ。あ、部屋に戻るときもまた階段上んなきゃじゃん。えー、めんどい・・・
って言っても仕方ないので、洗面所まで・・・ってあれ?うーん?
あ、やばい。動いて熱が回りすぎたっぽい。クラクラして、尻餅着いた体勢から立ち上がれない。ぐ・・・ダメだ。力が入んない。はぁ・・・もう、ここで師匠を待とう。
「あ、壁が冷たい・・・」
頭を壁にくっつけると、ヒンヤリした感じが心地いい。あ、でも寒気はする。なんか眠気も出てきた。本格的に死にそう。それに服が体に張り付いて気持ち悪い。あー、意識も飛びそう。
・・・あれ?なんか物音が。
「ヒスイ!!なぜ、こんな所に居るんじゃ!?」
「んぅ?し・・・しょう?おかえ、んなさい」
「お前さん・・・いや何も言うまい。む、服が濡れておるのか?」
「のど、乾いて・・・それで・・・」
うあ、声も出なくなり始めた。喋るのにも体力って使うからか。何とか口を動かすけど、パクパクと口が動くだけで、声が殆どでない。
「ヒスイ?ヒスイ、しっかりせい!!モーガン!はよせい!頼む!」
で、急に体を襲う浮遊感。あ、師匠に抱き上げられたのね。なんかいつの間にやら階段を昇りつつ、後ろに中年くらいの男性がいた。あの人が薬師かな?気付いたらベッドに戻らされて、件のモーガンさんに緑色の液体を口に突っ込まれた。若干苦いような気がするけど、それを嚥下すると俺の意識は遠退いていった。
今回は短めです。
子供の急な風邪って驚きますよね。