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7-11:森神?

設定なんかも入っちゃいますが、100話です!


いつも本当にありがとうございます!!

7ー11


グイグイと頬を濡れたクッションで押される様な感覚で目が覚める。


「ん~……誰ですか、こんな起こし方するの?」


むくりと身を起こして目を擦りつつ、欠伸をする。寝ぼけ眼で周囲を見渡すと、随分広い空間に居た。下を見れば、藁のようなものがあり、ここで寝かされていたらしい。


…おかしいな。私室のベッドじゃない。うーん?えっと、待って。何でこんな所に居るんだっけ?


えーと、確か犬族の集落で『獣士隊』は断られたけど、何とか林業と交易の件は承諾してもらって、崇められて…あれ?その後どうしたっけ?記憶がない。ん~?



取り敢えず、周囲を見渡そうと後ろを向いて固まった。


…………えっと。





『ヴォウッ』


「………」


目の前にデカワンコが居りました……


あ、死んだ…
















--☆















ヒスイが巨大な狼の様な獣に連れ去られた。私はすぐに隣に居るルゥに視線を送る。


「ルゥ!飛んで追って!場所を報せて!」


ハッとしたようにルゥは飛び上がって、高速で翔んでいく。私も追いたいけど、あのスピードに着いて行けない。


「お、おぉ……森神様…」


「森神様だ…」


「あぁ、久方ぶりにそのお姿を…」


周囲の犬族達が恍惚といった表情で、あの狼みたいな獣が消えた先を拝み始めた。犬族達はあの獣を知っている?


いや、違う。そんなことは重要じゃない。今は動かなければ。


…どうする?追跡はルゥがやってくれている。でも、ルゥだけで取り戻せるか分からない。あの速度に追い付いて、完璧に対処出来るとしたらここではリガウス様くらいしか頭に思い浮かばない。


「…騎士の方々!今すぐ、森の中で探索をお願いします!あの獣の足跡を追ってください!ここは森が深いので、ルゥの上空からの追跡が失敗する可能性もあります!私は犬族達から情報を得て、リガウス様をお呼びします!早く!」


「「「「はっ!」」」」


半ば叫ぶようにして、騎士達に指示を飛ばす。本来なら私が指示を出せないけど、今はそんな場合じゃない。


騎士達は森の中へ踏み入って行った。私はすぐ側に居たゴアとかいう犬人の胸ぐらを掴んで引っ立たせる。


「うおっ!?」


「さっき、お前は森神と言ったな!?あの獣は何だ!?どこへヒスイを連れて行った!?あの獣の巣、目的、存在、知っていることを全て話せ!!…それと、そこの犬族!今すぐあなた達の族長の元に走ってリガウス様をお呼びしなさい!早く!!」


「は、はい!」


「わ、分かった…は、話す…」


怯えるような目をしたゴアが話し始めた。森神というのは、昔からこの森に住む犬族達の崇めている存在であること。強力な存在らしく、あの獣の縄張りであるこの集落は魔獣から守られることも多々あったらしい。そのため、犬族はあの獣に昔から供え物を捧げてきたらしい。


基本的に犬族が害された事はなく、今回ヒスイを拐った理由も分からないらしい。今までこんなことは無かったので、ゴア達にも理由は分からない。


「なるほど…儂の孫娘を拐った獣は崇められとる存在ということじゃな?」


後ろから聞こえた声に、振り返るとリガウス様が立っていた。強い力で長杖を握り締めているからか、ミシミシと音を立てている。


「リガウス様、申し訳ありません。姫様を拐われました。罰は後程、如何様にでも。しかし、今は姫様の--」


「よい。ヒスイが無事だった時、お前たちを罰した事を知っては、あの子は烈火の如く怒るであろうからな。……ルゥや騎士も居らんということは、追跡はしておるということか?」


「はい。ルゥには上空から追うように指示を出しております。念のため足跡を追うように、騎士に指示を出しました」


「…うむ、良かろう」


「リガウス様、宜しいですかな?私は立場上、進言させて頂きますが、姫様の捜索は我々騎士にお任せいただき、お待ちいただけないでしょうか。何卒お願いいたします」


騎士団長のユリウスさんの言葉を聞いた途端に、リガウス様の立っている足元の地面がビキビキとひび割れ、地割れを起こす。


リガウス様から漏れ出す魔力がピリピリと肌を刺し、その迫力と重圧から呼吸まで重くなる。犬族達も腰を抜かすか、失神している者までいる。


「…ユリウス、貴様、儂に指示を出す気か?のぅ?」


「……」


リガウス様が殺気交じりの視線を飛ばして、ユリウスさんは跪いて頭を垂れた。


「ユリウス、先に森へ入った騎士を指揮し、足跡を追え。お前たち騎士がヒスイを護衛しておきながら何という体たらくじゃ。無能の烙印を押されたくなくば、今すぐヒスイを見つけ出せ…分かっておるな?」


「…はっ」


ユリウスさんは走って森の中へ消えた。先行している騎士と合流するのだろう。


「ララァナ、ルゥを追うぞ。方向だけ指示を出せ」


「はい」


「お、お待ちくだされ!」


制止する声が掛かり、振り返るとモンが杖を付きながらこちらへ向かってきていた。


「森神様も何か考えがあってのこと…何卒、何卒、寛大な処分を…」


「…あの獣次第じゃ」


リガウス様はそれ以上言うことは無いと、岩板に乗り飛翔する。私もそれに乗り遅れないよう飛び乗る。


ヒスイの無事を祈りつつ、私達はルゥの後を追った。




ジジイ、ブチギレ中。くわばらくわばら・・・

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