おまけ3 ロリコンと神様と………
私は、包丁でリズムを刻みながらふと疑問に思ったことを口にしてみた。
「この野菜って何処から持ってきてるんですか。ここ月ですよね。まさかこれも月の一部を変化させて作ってるとか言いませんよね」
「んー?それー?それは地球から持ってきてるやつだよ。ただの野菜、ただのキャベツさ。味だってただのキャベツだろう?」
ソファで寝転がり雑誌を読み漁りながらイカネ様は言った。見た目も臭いも味もただの変哲のないキャベツ。しかし、ここは地球から離れた衛星、月の上だ。
最近まで当たり前のように冷蔵庫の中に入ってたから疑問に思わなかったが、よくよく考えると意味不明だよな。
「まぁ………ただのキャベツですけど(キャベツを頬張りながら)」
「あはは。何その顔ウサギみたい!」
「私にウサギなんて愛らしい動物は似合いませんよ。………あと、もう一つ。どうやって地球から持ってきてるんです?」
「それはもう私の神様パワー………」
「神様パワーは聞き飽きました」
「空間魔術で地球と繋げてるんだよ。君を引っ張りだして来たのもこれね」
さらっと言ってるが、それは物凄いことなのである。空間魔術は自身の魔力を使い、空間を操ったり、もしくは作ったりすることができる。
しかし空間魔術には膨大な魔力、そして技術が必要なのだ。しかもここは月。地球とは近そうに見えて実際にはとんでもない距離がある。距離が伸びれば伸びるほど、空間魔術というのは使用する魔力が増えていく。
多分人間には一生かけてもできないだろう。
それを難なくやってのけてしまうのが、神たる由縁なのだろうか。
「あははは。やっぱジ○ンプは面白いなぁ。お、新連載のやつあるじゃん。ランス君お茶持ってきてー」
前言撤回、こんな人に家事を押しつけて一日中ごろごろしてる人を自分が信仰していた神様だとは思いたくない。
私は茶葉を茶筒に入れながら、
「というか、地球から私や物を引っ張り出せるんならさっさと自分で地上に戻ればいいじゃないですか。なんで何百年以上も引き籠もってるんです?」
「引き籠もってるとか言わないで、アナさんと同じみたいになるでしょうが!………あぁ、で?なんで自力で戻らないんだって?それができたら苦労はしないよ。お偉いさんとの『盟約』でさー、来るべき時が来るまでここにいろって言われたんだよ」
「来るべき時とは」
「知るか馬鹿やろぉ!まぁいいよ。お陰で好き勝手できるし。ジ○ンプ面白いし」
「そのいつも読んでるジ○ンプってなんですか。地球では見かけなかった言語ですけど………しかも、まるで動いてるかのような絵。何言ってるか分からないのに、なんとなく動きは掴めてしまいます」
「これはね、漫画っていう絵と文字だけで表現する小説みたいなものさ。神様パワー………と空間魔術を組み合わせて異世界とこの世界を繋いでるんだよ。腕が通るくらいのサイズしか作れないけどね。アナさんなら人一人分くらいのサイズなら作れそうだけど」
異世界………異世界かぁ。全くもってピンとこない。もし幼い少女達が溢れるパラダイス、天国、楽園がある異世界があるのなら行ってみたいものだが。
あ、けど確かレクレスの奴が愛読してた異世界戦士イキリマンとかいうやつ。あれは異世界に転生した少年が、絶大な力を振るいながら世界を旅する長編小説ならあったな。
「異世界なんて文字通り星の数だけ存在するんだよ。ピンとこないかもしれないけど。もしかしたら別世界の人間がこっちに来るかもしれないよねぇ」
「そしたらあの小説の主人公みたいになるんでしょうか………。じゃあ、あのテレビ?でしたっけ。あれも異世界の産物でしょうか」
「気付くのおっそ。そうだよ。―――そうだ、読むもん読んだしテレビでもつけてみよっか。つっても繋がるものなんてないんだけどねぇ!というわけで地上、もといカツジくん達を除いてみようか」
イカネ様がテレビのスイッチを押す。
すると突然薄型の水晶に動く写真が写り、地上の風景をしみじみと伝えさせてくれる。
そこには4人ほどの少年少女、と………なんだあれ。に、人魚?小さい人魚が頭に乗っかってる!頭生臭くなりそう………。
「おー頑張ってるね。流石は主人公。うんうん、感心感心」
「…………なんだかよく分かりませんが、凄いですね。おお、デカイなんだあのウツボ。あんなの今したっけ」
「あれはそうだねー………秘密!だってネタバレになっちゃうしね!」
「ネタバレ…………?」
「これを見る限りどうやら次の話は海が舞台のようだね。あーけど水着はなしか、ちっ。他にも……ふんふん、なるほど。ほー………見応えがありそうだね」
「あの、勝手に話進めないでください。何言ってるか分からないです」
「いいんだよ分からなくて。メタ発言ができるのは神様の特権!君までこっちに来ちゃったら色々面倒だしね」
「はぁ………もういいです。あ。そろそろお茶できるかな」
「というわけで次の話もこうご期待!しーゆーねくすとたいむ!」
「あ、やべこぼした」
「え?って熱い熱い熱い!ちょっとランス君ー!君ねー」
というわけでこの章は終わりです。次章は海行ったり雪ふったり転校生が来たりの盛りだくさんの予定(質は置いといて)




