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野外戦闘

「実戦訓練を明日から始める」

優香と暦の夜の話し合いから2ヶ月。

ラリがそう言った。

この2ヶ月、幸弥の訓練は更に過激なものとなり、骨折などが可愛く見える程の重症を毎日負っていた。

その度に治癒士の下に行き、治療を受け、また怪我をして、強くなるためとはいえ、やり過ぎ感があった。

だが、それを止める者はいない。

ラリの地獄の様な訓練でボロボロになる幸弥を、いいざまだと見下す人間が多くなったのが原因だ。

この2ヶ月で幸弥による暴力行為が行われたことは無い。

が、幸弥の代わりにトップに立つ者もいなかった。

幸弥が大人しくなっている事にCランク勇者は疑問を持ちながらも喜んでいた。

これで簡単に幸弥を引きずり下ろせると。


幸弥をトップとするカースト制度はこの世界に来てから暴力による支配体制へと姿を変えた。

要するに恐怖による強制支配。それが今のクラスカースト。

当然、その支配は上、頂上に座る者の絶対的な強さが成功の鍵だ。頂上に座る者が弱いと判断された時点でその体制は内部崩壊が起こる。

今の状況はまさにそれ。毎回毎回訓練でボコボコにされる幸弥の姿は、雑魚そのもの。

その上、訓練を積んで実力が上がってきたことによる自信もプラスされ、既に幸弥の実力を超えたと思い込む者がちらほらと出始めた。恐怖は薄れ、自分の方が綺麗に戦える。あんなボコボコにされない。そんな根拠の無い自信が優越感を生む。


「場所は王城から東、悪魔の迷宮だ。今回は我々が同行する。準備、注意事項、その他諸々は明日全て聞け。では、解散」




「ねえねえ、これ幸弥のカースト崩れてない?」

部屋に戻るなり朱里が元気一杯にそう言い始める。

「崩れてると思うよ」

「目には見えないけど確実に全員の心が幸弥から離反してる」

崩れていること自体は全員感じ取っていたのか疑問や、否定の声は無い。


「つまり、チャンスじゃない?」

朱里の目に一つの作戦が浮かんでいた。


「明日迷宮行くじゃん?」

迷宮とは、この世界に現れる魔物の巣窟のようなものだ。

地下に降りる形状が多く、何層にも別れている。

その上、各層によって出現する魔物は異なることがある。

当然、そのまま放置しておけば中の魔物が外に溢れ出すため、これを防ぐことを仕事とする者がいる。

それが利益主義の集団、狩人(ハンター)だ。

狩人は主に迷宮内の魔物の討伐を仕事としている。

彼らには等級があり、F,D,C,B,A,Sで分かれている。

Sは最高峰、今暦達の教官となっているのは全員S級の狩人だ。


「迷宮で私らの有能さを見せつければ......」

「上にあがれる?」

朱里の言葉を優が継ぐ。


「そう、トップとは言わなくても上の方には行けると思う」


Cランク勇者の目標、幸弥のカースト崩壊。

既に内部で破壊が起きているカースト制度を目に見える形で完全な崩壊へと変える。

それが、今の彼らがしようとしていることだ。


「明日は私らで固まりながら、他のやつらの手助けもするの」

そうすれば恩を感じてくれるんじゃない?朱里の目はそう言っていた。


「任せる」

暦はそう言って布団に潜った。

すぐに寝息が聞こえ始める。


みんなが暦の行動にため息をつき、布団に入っていく。


その後、晩飯だと呼びに来たメイドが全員寝ているのを見て何も言わずに去っていった。




「で、僕を呼んだのはどうしてなの?暦君」

深夜、中庭に2つの影が相対している。


「なに、少しだけ言っておきたい事があったんだ。あの中じゃお前が一番まともそうだからな」

月が二人の姿を照らす。


「優、お前には優香の監視となってほしい」

月明かりに照らされたのはCランクの優と暦の姿。

「優香さん?何故彼女を監視しなければいけないんだ?」

この反応から、優はまだ優香の毒牙にかかってないことを暦は悟る。


「あいつは他のやつらと手を組んでる気がする」

暦は最近部屋を出ていく気配が一つしかないことに疑問を抱いていた。

だが、一度優香を否定したため、暦がついて行くと面倒な事になりそうだということで

代わり......優を選んだ。


「なるほど。優香さんを僕達だけで独占したいんだね」

優は理知的な眼で見当違いな解答を導きだした。


「彼女、上手い(美味い)もんね」

その言葉で優も毒牙の餌食になっていることを暦は知る。

「違う。そういうことじゃない」

その暦の返事に優は首を傾け、

「じゃあどうして優香さんを監視しろと?」

(ダメだこいつ)

「いや、いいよ。なんでもない」

暦はそう言って部屋に戻っていく。

夜空に浮かぶ満月が雲に隠れ、三日月型の何かが闇の中で広がる。




「今日は昨日言った通り、悪魔の迷宮に行くぞ」

ラリが城門の前でそう叫ぶ。

天気は快晴、士気は上々。

意気揚々と開け放たれた門を幸弥達が出ていく。

途端湧き上がる歓声。

世界の救世主を初めて見る人達からの精一杯の応援だ。


それを受けたまま、王都の門まで行き、そこから魔物の洗礼を受ける。



「ぜやぁ!」

剣が体長130cm程度の緑の体を2つに割る。


「せぇ!」

音速を超える刺突が喉を貫き、相手を絶命させる。


「「はぁぁ!」」

上下左右から襲いかかる4本の短刀が四肢を切り飛ばし、眼球を抉り、小柄な体躯を無数に傷つける。


王都の外にでて数分。

暦達はゴブリンと呼ばれる、小柄な体躯で緑色の肌を持つ敵と戦っていた。

ゴブリンは個々の力は弱いが、集団でいることが多いため、

雑魚であるにも関わらず注意しなければならない相手をだ。

だが、ここにいるのはチート能力集団。

ゴブリンに注意しなければならないのは3,4人のパーティでの場合。ここには39人プラス4人。ゴブリンごとき敵ではない。

戦闘のプロに毎日鍛えられた能力は僅か数秒でゴブリン十数匹を血の海に沈めた。


「よし行くか」

異世界定番の魔玉だとかいうのはこの世界には無い。

そのことに少しだけ暦が失望した。


そのあとも、ゴブリン、オーク、コボルト......異世界と言えばこれ!という魔物のオンパレードだった。

だが、それをなんなく捌き、殺し、また歩く。


生物を殺めることに対し、誰も、何も感じていなかった。



「ここが、悪魔の迷宮だ」

草原にポツンと佇む岩の中央をだけを抉ったようなそれは、

禍々しい気配を放っていた。

快晴だった空はいつの間にか曇り、雨が降る。


「行くぞ」

その中に、ラリは躊躇なく入っていった。


みんなも少しづつ躊躇いながら入っていく。

思ったのですが、僕の文章で何が言いたいのか、どういう展開したいのかわかる人っているんでしょうか...?

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