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模擬戦と挑戦状

あれ?戦闘シーン書くと一瞬で五千超えてしまう...。

戦闘シーンは要改善ですね。

ついでに日常の部分も...。トホホ


※今回は徹夜明けで書いた文章なので

たくさんのおかしな所があると思います。

許してください...

「朝か......」

部屋についてある唯一の窓から差し込む光に、暦の目が覚める。

そして、そのつぶやきに反応し、続々と残り七人が起き上がる。


「おはよぉ」

「──」

「おーす」

みんながそれぞれ適当な挨拶を交わしていく。


暫くぼーっと全員の姿を眺めていた暦が、優香と勝、智の変化に気づく。

優香の肌が妙に色艶があり、勝と智は少しぐったりしたような顔色を出している。


三人の間に何かがあった。それを暦は確信したが、それ以上は興味が無く、無視することにした。



「で、改めてみんなに聞くよ。今のカーストを壊さない?」

朱里が、昨晩と同じ内容の質問を投げかける。

その言葉に、七つの首が同時に上下に動く。


「勝と智だっけ?いいの?」

昨夜とは違う回答をする二人に朱里が疑問をもつ。


「いいんじゃない?昨夜は混乱してて、寝たらスッキリしてしっかり判断できるようになっただけなんじゃないかな?」

そこに優香が口を入れる。


「なるほどね。つまり、これでここにいる全員の意思は揃ったね」

朱里が笑う。


が、今の朱里の行動に暦はまた疑問をもつ。

(優香の言うことを素直に受けすぎじゃないか?)

朱里をトップにした女子グループ。それが目の前の女子達だ。

が、今の状況はまるで──。


「勇者様方、朝食の用意ができました」

メイドが呼びに来る。

そして──いつも以上に空気の重い食堂に通される。


「おう、遅かったな」

目だけが笑わない笑みを幸弥は浮かべ、手招きをする。

その日の朝食は──酷かった。


幸弥の横暴がいつも以上に酷い。それに加えて、昨日の恐怖から幸弥の行動に茶化しを入れる声や、野次、行為を止めるよう呼びかける言葉も飛ばない。

口を出したら殴られ、下手したら死ぬ。

死のリスクを背負って意味の無い注意をするくらいなら今の状況を耐えた方がいい。そうCランク勇者以外の顔に書いてあった。




「よし、訓練を始めるぞ」

幸弥とカースト上位陣の空気が悪くなった以外、日常では変化が無かった。

いつも通りに訓練が始まり、重苦しい空気の中昼食をとり、午後の訓練をして寝る。

その繰り返し。毎日の違いは時折優香と誰かが夜にいなくなる程度だった。


そんな生活が続いて1ヶ月。

「今日は模擬戦を行う!」

ラリが突然そう言った。

当然暦達は何も知らされておらず、困惑するしかない。

「S対C、A対Bで戦う」

その困惑の最中にも話は進んでいく。


「模擬戦中はDランクが訓練をみっちり行う。決して邪魔をするな」


「武器は各自が所有している武器を使え。ただし、殺しはダメだ。殺す為に剣を振る、その素振りが少しでも見えたら俺が打突を放つ。幸弥以上の威力だからな?下手したら全員殺せる威力だ。注意しろよ」

不敵な笑みを浮かべ、ラリはそう言った。


「S対C戦は1:2、A対Bは1:1勝負する。勝ち負けにはこだわるな。下のランクの勇者は技術を盗め、上のランクの勇者は油断するな。では、そうだな...幸弥!」

説明をし終え、ラリが幸弥を呼び出す。


「そして、暦と朱里で行こう」

Cランク勇者からはその二人が選ばれた。


暦が蛇腹剣を直剣サイズにして、朱里が槍を脇に構えながら前に出る。


「暦、わかってるでしょうね」

小声での朱里の質問に暦は頷くだけで返事をする。

(ここで手も足も出ないのであれば、幸弥を自分達だけで引きずり降ろすのは先の先、もしくは不可能になる)


これは模擬戦でもあり、これからのことを左右する天王山の戦いでもある。


ラリが手を上げ、なんの合図も無く振り下ろす。


次の瞬間、幸弥が二人の目の前にいた。

反射的に暦は蛇腹剣を、朱里は槍を幸弥と自分の間に差し込み、幸弥の振る西洋剣を防ぐ。


「「ぐぅ、」」

が、それでも衝撃は殺せない。

二人仲良く吹き飛ばされ、砂塵を巻き上げながら体勢を整える。


「強いな......」

「中距離で戦おう。暦、前線任せた」

「任された」

暦は、見てるだけと実際に受けるのでは大きく違いがあることに驚いた。

それこそ、思わず相手強さを認めてしまう発言を零す位に。


朱里がバックステップで暦の背後に回る。

暦は蛇腹剣の鞭の性質を解き放つ。


二人を吹き飛ばしてから棒立ちの幸弥に二人の視線が注がれる。


「へぇ、まさかCランクにいるとはなぁ朱里」

幸弥が下卑た笑みを浮かべる。


「朱里、耳を塞げ」

精神攻撃だと察した暦が朱里に聞かないよう注意を促すが、遅い。


「その程度の強さかよ」

低レベルの煽り。が、カースト上位にいた朱里のプライドを傷つけるには十分だった。


「なんだってーー!!」

憤怒の形相を浮かべ、槍を持って朱里が疾駆する。


「朱里!」

暦もその勢いに突撃していく。


朱里は訓練では見せたことの無い速度で左右、揺さぶりをかけ、幸弥目掛けて進んでいく。

金髪が風に揺れ、分身する。


速度を一切落とさず幸弥に接近した朱里は、その目にも止まらぬ速度のまま、音速に限りなく近い速度の三段付きを放つ。

狙った箇所は眉間、喉、鳩尾。人体の急所が集まる正中線だ。


間違い無く決まる。そう見えた朱里の三連撃は、いつ振られたのかわからない幸弥の剣によって弾かれる。

予想外の抵抗に朱里の姿勢が一瞬崩れる。

そのタイミングで幸弥の蹴りが炸裂。

朱里の体は地面を派手に転がって行く。


その朱里の姿に嘲笑を浴びせようとした幸弥に、斬れ味抜群の鎖が襲いかかる。

「ちぃ!」

幸弥は意識外からの一撃にもしっかりと対応をとる。

蛇腹剣が弾かれ、衝撃が暦の右手を撃つ。


「っぅ」

小さく苦痛を漏らし、蛇腹剣を呼び戻す。

そのタイミングで影が飛び出す。朱里だ。


「生温いんだよ!」

が、その高速の突撃を完全に幸弥は見切り、身を躱して剣の柄を朱里の伸びきった腰に打ち下ろす。


「あぁっ!」

朱里の口から血と呼気が零れ、地に伏せる。


その光景を見ても、ラリは模擬戦を中止しない。

「ふぅーぅ」

避けて通れない道を通る時が早まっただけだと暦は自分の心に言い聞かせる。


空気を斬り裂いて幸弥に無数の刃が迫る。

が、幸弥はそれを一刀のもとに叩き落とす。


内心で舌打ちしながら二撃目を放つ。

これも弾かれる。


三撃目、弾かれる。

四撃目、弾かれる。

五、六、七──


「なあ、いい加減いいか?モブはどう足掻いてもモブなんだよ!」

幸弥の西洋剣が光を放ち始める。


幸弥の姿が陽炎のように揺らぎ、光り輝く剣が暦の頭上に出現する。


「これが、モブと勇者の違いだ」

幸弥の剣が振り下ろされる──。


が、暦に想像していた痛みは来なかった。

代わりに到来したのは耳をつんざく轟音。


何かが爆発したと勘違いする程の音が暦の頭上で鳴った。

ラリがすぐ横で蹴りの姿勢で止まっていることから暦はすぐに察した。

今のは幸弥が蹴られた音だと。


「明確な殺意を持った攻撃は禁止だと言ったはずだ」

視線を幸弥に固定しながらラリが呟く。


「暦、だったか?下がれ。お前の今日の模擬戦はこれで終わりだ」

そう言ったラリの目に警戒の色が浮かんでいる。


暦は無言で蛇腹剣を仕舞い、みんなの元に戻っていく。

そして暦が戻った直後、爆発的な殺気が発せられる。


ラリですら冷や汗を流すほどの殺気は容易に低ランクの勇者の意識を刈り取る。


「お前......いい加減にしろよ......」

絶大な殺気に幸弥の体が歪んで見える。

「俺を虐めるのもいい加減にしとけーー!」

その状態から破壊の力を伴う咆哮が飛ぶ。

それをラリは殴って消し、

「全員部屋に退避!今日の訓練は中止だ」

全員に避難を命令する。

それほどまでに危険な状態だということなのだろう。


「さて、幸弥。お前は何をそんなに怒っている」

普段の口調とは全然違うラリの口調に幸弥の目が細められる。


「わかんねえのか?いつもいつも、俺をひたすら殴りやがったことに俺はイラついてるんだよ」

言って幸弥が駆け出す。


「ほう」

ラリは今まで見たことの無い幸弥の洗練された動きに感嘆の声をあげる。

「強さの中にある美しさではないな......美しさの中にある強さか」


「何言ってんっだ!」

ラリが見せた隙に高速の正拳突きを繰り出す。


「強さとは、それだけで一つの芸術だ。一つの美だ。

だが、君のは違う。完成された美しさの中に強さを求めた。そういった珍しい芸術だ」

幸弥には訳の分からない言葉だった。

が、褒められているような感じがして、拳の速度が緩む。


「そう、そこが君の弱点だ」

途端、ラリの声が極低温になり、

幸弥の腕が動かなくなる。


「なっ!」

唐突に動かなくなった右腕を見て幸弥は驚く。


「今まで恐怖の対象でしかなかったお前は、褒められると途端に弱くなる」

普段の幸弥への視線、幸弥の態度から考察したラリの言葉は、見事に的中していた。

今まで恐怖の対象とされていた幸弥は、褒められた経験が少なく、褒められれば三歳位の知能にまで低下する。

その分、相手に負の感情を向けられると短気も相まって色々なものが爆発する。


「なぁ、お前はこのままじゃ今の状況から落ちるぞ?」

暦達の考えを知ってか知らずか、ラリがそう言う。


「落ちる?別にいいさ。その時はまた支配するまでだ」

狂笑。それが今の幸弥にピッタリだった。


「なあ幸弥、俺と手を組まねえか?」

ラリの目は真剣だった。

「俺と?どんなメリットがあんだ?俺にも、あんたにも」

「お前は強くなる。いや、俺が今よりも早く強くなれるようにしていく。そうすればお前が今の状況から落ちることはほとんだ無いだろう。

そして、俺には......。

今言うべきことではないな。まあとにかく、お前にとって悪い話ではないと思うぜ?」


「──」

その提案に、幸弥は答えなかった。




「朱里、一人で出て行くな」

Cランク勇者の部屋では暦が朱里を叱っていた。


「ごめんって、私も突っ込む気はなかったんだけどほら、挑発されちゃって......」

次第に声が小さくなっていく。

それにつれて暦の目尻も上がっていく。

「挑発されたから一人で突っ込んで行ったか......。

死にたいの?」

いつもの絶対零度の視線が朱里を射貫く。


その視線から逃げるように朱里は縮こまる。

「ま、まあまあ朱里も反省してるんだからさ、許してあげてよ」

優香が間に入る。彼女の視線は、勝と智に向いていた。

「今回は、模擬戦だったからよかったが、実戦だったら死んでた。それを忘れるな」

暦は朱里をもう一度睨みつけ、優香に意識を向ける。


「それと優香、お前に少し話がある。夜、中庭に来てくれ」


「あいよ〜暦君」

妖艶な笑みで優香はそう返す。

それ以降、暦は口を閉ざした。


「そう言えば、暦と朱里、幸弥はどうだったんだ?」

勝が思い出したように聞く。

が、それに対する返答は──

「見たものが全てだ」

「見てたでしょ?」

二人の責めるような視線付きでの見たからわかるだろだった。


それに勝も口を閉ざす。


それからも、また同じ様なものだった。

晩御飯に呼ばれ、幸弥が暴れ、部屋に戻って寝る。

昨日と表面上は何も変わらない。



「で、暦君、話って何かな?」

月明かりの下、ネグリジェ姿の優香が中庭に現れる。


「いや何、お前ら、転移初日何をした?」

優香の眼を見て暦が昨晩のことを問う。


「転移初日?ぐっすり寝てただけだけど?」

笑って優香はそう答える。


「いや、それは嘘だ。俺は転移した日の深夜、3つの気配が部屋から出ていくのを確認した。それ以降も何度もあったが。

それが誰かまではわからなかった」

へー、と優香は他人事だ。

それで?と続きを促してくる。

「それからのお前ら......勝、智、お前。三人の様子を見て確信した。三人で何かあったと。そして確信を持ち、確証を探そうと疑り深く見てたら、あの二人の視線がちょくちょくお前に向いているのが分かった。」


「それが何?私の体に二人は見惚れてたんじゃないの?」

優香が自慢の双丘を殊更強調してくる。


「そこまでは分からない。そこで優香、お前に聞く。二人、いや、俺以外の全員に何をした?」

暦が優香を威圧するが、優香は何処吹く風だ。


「知りたい?」

そして、反応したと思えば妖艶な笑みを浮かべてそう聞いてくる。


優香から醸し出される雰囲気に暦は何をしたのか悟り、質問を変える。

「何故そんなことをする?」


「理由なんて簡単だよ?楽しいからと、簡単に支配できるから」

言葉の最後にハートマークがつきそうな言葉に鳥肌が立つ。


「お前、カーストトップでも狙ってるのか?」

その暦の問いかけは、ドンピシャ。

「そうだよ?幸弥みたいに恐怖で支配しない、快楽で支配する。

私も楽しくて、みんな楽しい。最っ高じゃない?」

そう言った優香の顔は最高に可愛い笑顔だった。


「そうか......」

聞きたいことは聞けたとばかりに暦はその場を去ろうとする。

が、その手を優香が掴む。


「当然、暦君も対象だよ?」

見るものを魅了する笑顔が至近距離で暦に襲いかかる。


「悪いが、興味無い」

それを暦はバッサリと切り捨て、優香の首筋に蛇腹剣の刃を当てる。

「次は斬るからな」

優香の白い首筋から真っ赤な血流れる。


暦は身を翻し、部屋に戻っていく。


優香は首から流れる血を指で撫で、舌で舐める。

その仕草は、優香が突きつけられた挑戦状を受け取ったという合図だった。




また夜が明けていく。

あれ、R指定大丈夫だよね...?ひっかからないよね...?

メインは戦闘だし、これ以上アレを深くする気もないから大丈夫だよね...(汗

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