亜空間にご招待
スキルの話になったけど、止められずになんとなく付き合っていた。
「マナちゃんは、従魔がいるんでしょう?見てみたいな」
「今は、家でお留守番してるよ?」
「え?従魔は影に入れられるから、いつも一緒じゃないの?」
「それに従魔はテイマーの言葉以外のいうことは聞かないそうじゃないか。家族が危険じゃないのか?」
うん。確かに授業ではそう習った。でも私の家族は全員元従魔で、眷属だからね。
「大丈夫。うちの家族はスカイよりも強いから」
「スカイっていうんだ。どんな魔物なの?みたいな」
「サンダーホークだよ。そんなに珍しくないでしょ?」
「うん。人気の高い種族だね」
「サンダーホークは収納庫持ちなんやろ?ええなー」
「主であるマナも収納庫を使えるんだから、意味なくないか?」
確かに狭いし、ガラクタしか入ってないからなー。
「見てみたいわー、マナ、何とかならんか?」
「うー。仕方ないな。みんなには内緒にしてよ?」
マナは亜空間に入り、スカイだけを呼んで、他のみんなには入ってこないように念話した。
(ちょっと待っててね、スカイ)
部屋に戻った。
「亜空間の魔法は知ってるよね?」
「ああ、担任がこの前自慢しまくってたからな。まさかマナも使えるん?」
「そうだよ。黙っててごめんなさいだけど、スキルはあまり知られたくないから」
「誰もそやろ。入れてくれるん?」
「うん。スカイに会わせてあげるには、これしか方法ないし」
いけない!キッチンセットだけはしまわないと!
「ごめん!ちょっと片づけてくるね!」
見られてやばそうな物は、収納庫に収めた。ついでにルードがいつも寝ている所に落ちていた生えかわりの鱗も回収した。
(どうしたの?マナ)
(友達にスカイを見せるから、大人しくしててね)
「お、お待たせ」
「何や、見られて不味いもんでもあったんか?ちょっと位散らかってても気にせえへんで」
「お邪魔します…おお!凄いな。家具が揃ってるじゃないか」
「あれが、スカイちゃん?可愛いね!近づいても怒らないかな?」
「大丈夫だよ。おいで、スカイ」
スカイはいつものように頭の上にとまった。
(マナ、何か怖いよ)
(大丈夫。触らせてあげて?)
頭の上はさすがにもうやめさせようかな…微妙だし。
「触っても?」
「大丈夫だよ」
「ピエッ?」
あらら。飛んでっちゃった。すぐに頭の上に戻ってくるけど。
「ごめんね、スカイは臆病だから」
「魔物なのに、臆病なのか」
「ペットは飼い主に似るいうやろ」
ええ!それは心外だよ。ちょっと人付き合いが
苦手なだけだし。
「ね、頭の所の羽根が赤いんだね。それと翼の外側の羽根」
「ほんまや。アホ毛みたいやな」
え!アホ毛知ってるの?こっちにはアニメないのに。
「魔物の色違いはたまに聞くな。けど、これは面白い」
「本当に、可愛いね」
ポーラがそっと撫でると、スカイも我慢しているみたいだ。怖がらなくても、何もしないのに。
「座って?ジュース出すから」
こっちの世界の果物だから、大丈夫だよね。
「そんな気い使わんでええて」
スカイにも果物を出してやると、つついて食べていた。
「どうやって従魔にしたの?」
「罠にかかってたのを助けてあげたら、従魔になってくれたんだよ。私が二歳頃の話」
「生まれつきテイム持ってたって事だよね?いいな」
「あはは」
ずるっこです。
「大きいベッドもあるし、寝泊まりもできるやん。ええな」
「家族で一緒に寝たりもするからね」
「なら今度、マナちゃんのお部屋にお泊まりしていい?」
「ええな!ベッドも広いし!」
「うん…分かった」
誰かがうっかり入ってこないようにだけ気をつけないと。
お泊まりか。楽しそうだけど、ボロを出さないようにしないとな。




