温泉
ギルドに戻り、魔熊を出したら解体場の人が引いていた。ギルマスは喜んでいたけど、次に人間の骨やギルドカード、装備品を出したらしんみりとして、良くやってくれた。と、一言だけ言った。
領主に報告するから待っていて欲しいと言われたけど、ここの領主がスカイを欲しがったあの人か、その関係者だと思ったから、学校があるからと断った。
「そうだよな…信じられんが、魔熊を倒したのは、初等科のおチビさんだもんな」
「チビは余計だから。またスカイの事を言われるのが嫌なので、家に戻ります」
「分かった。学校の方には連絡しておく…そういえば、猫獣人のお嬢さんと、従魔のユキの名前が一緒だが、何か関係あるのか?」
「別にないですよ。では」
アルビノのユキの事は、覚えているかもしれない。そしてアサシンキャットのユキはもういないから、出す事も出来ない。
流石にケットシーをアサシンキャットだと偽る事は出来ないだろう。
亜空間移動でツリーハウスに戻り、まったりと過ごす。
お寿司も作りたいし、今日は釣りをして過ごそうかな。
みんな学校で勉強しているのに、まったりと過ごしているのは気が引けるけど、亜空間移動ができる事を知られない為には仕方ない。
戦争に利用されるなんて、絶対に嫌だ。
人間卒業するつもりはないけど、スカイの事も気になる。ルビー母さんとかルードと比べちゃだめだと思うんだけど、スカイとしては気になるのかな。
ミスリルで、首輪を作り直してあげよう。錬成を丁寧にして、付与に使える割合を増やす。魔力で良くこねて、付与は速度向上大と、斬撃強化大と、魔力操作向上。これ位かな。
私の付与も上手くなっているし、前のと付け替えてあげよう。
うん。デザインセンスは上がらないけど、いいよね。キラキラしてるし。
ルードには長剣一本しか作ってあげてないけど、何か作ってあげたいな。腕なら、サイズ自動調節大の範囲に入るかもしれない。
ミスリルを、針金のようにしてルードの腕に巻く。
「人化してみて」
よし、変化のうちに入っている。
「何か作ってくれるの?」
「腕輪をね。ルードにだけ何も作ってないから。どんなデザインがいい?」
「シンプルな方がいいかな。スカイみたいに凝ったのは要らない」
ルードらしいな。
「どんな付与が欲しい?」
「マナが学校にいても喋ったり出来ないの?」
「そういう付与は、ないかな」
「じゃあ、何でもいいや。こういうアイテムで能力を上げるのは、違うと思うから」
むう…ある意味正論だ。
「なら、後で考える」
スカイは、新しいネックレスを喜んでくれた。でも前のも気に入っているからと、二本かけている。
(これ、素早さがすごく上がるね!)
(攻撃力も上がる筈だから、少しは強くなれたと思うよ)
(ありがとう!マナ)
今できるのはこの位しかないからね。
そのあと、スカイと一緒に飛んでみた。
(あれ?小さい池?)
(あそこはね、熱い池なんだよ)
え?それって温泉?
降りて、触ってみたら本当に熱かった。
岩場にある温泉は、ちゃんと入れる温泉で、美肌効果もあるようだ。あとは、魔力の流れを良くしてくれる?
「みんな!温泉に行こうよ!」
「温泉て、何?」
「天然のお風呂の事だよ!すごく気持ちいいから、みんなで入ろう?」
「にゃー、お風呂は嫌にゃ」
「ちょっとでいいから!」
亜空間移動で温泉まで来た。
服をぽいぽいっと脱いで、ザブンと入る。みんな人化して入ってくるけど…。
「ちょっと待ってよルード!腰に布を巻いてよ!恥ずかしいじゃん!」
「んー?あれ?普通は逆じゃない?」
「そうだっけ?どっちでもいいじゃん」
ルビー母さんは、セクシーな裸体を惜しげもなく晒している。ユキも、そろそろと入ってくる。
「熱いにゃ!」
うーん、やっぱりユキは無理か。
スカイは端の方でちょっとずつ水浴びしている。
いつものお風呂のお湯より熱いからかな?
「はぁー。暖まる」
「マナはお風呂大好きね」
「温泉は格別だよ。ね、ルビー母さんは雄と一緒に入って恥ずかしくない?」
「んー?眷属だから恥ずかしくないわね。種族も違うし」
そういうものなのかな?ルードが竜の姿の時は恥ずかしくないもんね。
雄といえばスカイもそうだけど、人化できないから恥ずかしくないし。
まあ、いいか。
ユキがちょっと可哀想。帰ったらたくさんもふってあけよう。




