スカイを強くする為には?
モコモコの毛玉の中にオリジナル作成した鈴を入れて、周りを硬く丸めた。毛玉のお陰で軽く弾む。
(ユキ!ちょっと来て!)
亜空間内に入ってきたユキが、軽やかな音を立てるボールに目を光らせる。
「うにゃっ!にゃー!」
すぐにボールで遊びだしたユキを見て、鱗用のブラシを手に持ち、寝そべっているルードに近づいた。
頭の方からブラッシングしてやると、首を伸ばして気持ち良さそうな表情を浮かべる。
(ルード、また大きくなってない?)
(成長期だからね)
だから食べる量が半端ないのかな?…羨ましい。
人化した姿は変わらないのに、本来の姿は成長するんだ。不思議。
(マナも微妙に大きくなっているよ。大丈夫)
(それってフォローのつもり?却ってムカつくんだけど)
(マナだって成長期なんだから、そんなに気にする事ないのに)
分かっているけど、周りが大きいから気になるんだよね。
(会った頃と変わってないよね?人化した姿は)
(多分、そろそろ少しは変わるかな?マナは随分大きくなったよ)
そりゃ、5歳前の頃と比べて大きくなってなかったら泣くよ。
尻尾の方まで丁寧にブラッシングしたら、お腹を出した。
(この辺もう少し)
甘えるのはいいんだけど、体が大きいから結構な重労働なんだけど。
問題は、スカイ。比べちゃいけないけど、比べるつもりもないけど、どうしてもドラゴンとかアルケニーに比べたら、弱い。魔法でもユキに抜かれちゃったから、余計にかな。
ユキの精霊魔法は凄い。ユキによると、下位精霊を従えているのだとか。
精霊そのものが魔法を使うのだから、どうしたって敵いっこない。
むしろスカイは私が守る位で丁度いいんだけどな。
プライドって面倒だね。
あとはレベルを上げる位しか思い付かないけど、経験値はみんなにシェアされるから、結局は同じ。
とすると、あとはアクセサリーを作り直す位しかできる事がない。
根本的な解決にはならないけど、私にしてやれるのはそれ位しかないよね。
スカイを狩りに誘った。他の眷属達には今日は遠慮してもらって、私が瀕死の重傷まで負わせて、スカイにとどめを刺させる。
(申し訳ないよ、マナ)
「私はいいよ。できれば全部の経験値をあげたい位なんだけど」
何とかならないかな?倒した時につながりは…切れないな。なら逆に、ラインを意識して。スカイのラインは…何かもう少しあれば、スカイにだけ経験値入るようにできるのかもしれないけど…難しい。
スカイから私を通してみんなにも経験値が入っているのか。
これをどうにか出来ないかな。せめて私の分だけでもスカイに渡したい。
眷属なんだから、もっとスキルも共有出来ればいいのに。
ルードなら、何か知らないかな?おばあちゃんの知恵袋的なもの。
(ルード、経験値をスカイにだけ入るようにする方法知らない?)
(多少レベルが上がったところで、あまり変わらないよ。種族の限界は超えられないからね。そんな事の為にスカイだけ連れて行ったの?)
(スカイは強くなりたいんだよ。ルードも本人が気にしてる事、煽るような言い方するから)
(マナはスカイの事、気にかけすぎだと思うな。スカイも、マナに頼りすぎ)
あ、ルード、ちょっとすねてるな。別にスカイだけ特別扱いしてる訳じゃないのに。本当に切実な願いだから、叶えてあげたかったんだよね。
(ね、ルード、本当に何か知らない?スカイはまだ進化するのかな?)
(それは何とも言えないかな?進化は主の力による所も大きい。マナの場合特にね)
(特に…何?)
(僕はユキが進化するならブラッディーキャットだと思ってた。実際ケットシーになったし、それはマナの影響力だから)
(私は、何か変なのかな?)
(変というか、普通なら四匹も眷属なんて持てないよ。主側の負担になりすぎるから)
(うーん。何とかしてあげたいんだけどな)
(とりあえず今は帰っておいでよ。お土産のミノタウロスも食べたいし)
そっちが目的なんじゃ?…ていうか、良く分かったな。
(はいはい。じゃあ、牛丼にでもしようか)
結局は良く分からなかったな。
(ごめんなさい、マナ、無理ならいいんだ。僕のわがままだから)
只の勘だけど、ルードはまだ何か知ってる気がする。言えないのは、私にも何かデメリットがあるのかもしれない。




