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パルタの町ダンジョン 終了

 ダンジョン10階層。普通ならボス部屋で気を引き締める所だけど、出てきた魔物にマナはキラキラ笑顔で抱きついた。

 出てきたのは、身長3メートル以上はありそうな巨大モコモコ。

「ふわふわだよー。ああ、愛が痛い」

「それ、愛じゃなくて只の攻撃だから」

「もふもふしたいなら、ユキにやるにゃー!」

(あんなのテイムされたら、僕のもふもふの立場が)

「マナ、ダンジョンの魔物はテイムできないから。ほら離れて」

 ルードがマナを片腕で引き剥がし、剣を一閃させる。


 ルビー母さんは、ダンジョンに吸収されていく巨大モコモコの毛を糸でざっと刈り取った。

「ああ…私のもふもふが…」

「マニャ、私達だけじゃもふもふ足りないにゃ?」

「そんな事ないよ。ごめん。ユキとスカイは私の癒しだよ」

「じゃあ、私達は?」

「ルビー母さんとルードは頼りにしてる」

 ドロップされた大きな肉の塊を収納庫へしまって、先に進んだ。


 11階層から早くも罠が出現しだした。まだ浅い落とし穴程度だけど、魔物は大したことないのに、やっぱりダンジョンは油断ならない。

 ここの階層はブラックウルフだけど、魔物は罠にかからない。

「痛っ…やっぱり罠回避は難しいわね」

 蜘蛛の下半身の方が有利だけど、まだ冒険者の姿が見えるので、二人共人化したままだ。


 次の階層は、壁から槍が出てきた。でも地上から130センチ位の所。丁度大人の胸の位置に出現するので、私には当たらない。頭の上を通過するだけだ。

 いいんだけど、それはそれで悔しいのさ。


 次の階層は魔鉄が採取できる。

 とはいえ、グリーンスパイダーに対処しながらでないと、命を落としかねない。

 そう強い魔物ではないとはいえ、天井も壁もお構いなしに襲ってくるから、注意が必要だ。


 15階層で、面白い物を見つけた。石がプカプカと浮いている。これは授業で習ったけど、実物を見るのは初めてだ。因みに浮いているのはダンジョンの中だけで、外に持ち出すと浮かない。魔力を流すと浮くけど、すぐに落ちてしまう。

 よし、幾つか採って行って、ユキ用のおもちゃが作れないか試してみよう。


 16階層では、銀鉱石が採取できるけど、ここまで降りてくる人は少ない。魔物はシャドーオウル。

 家の近くにもいるけど、隠密性が高いから気をつけてないと、知らないうちにざっくりやられかねない。


 探知能力の低い冒険者では、あっという間にやられかねない。

 今の人達も、子供の混じったパーティーに驚いていたけど、失礼だと思う。

 下の階層に進むにつれて、罠も嫌らしくなってくる。

 念のためにルビー母さん達には人化して戦ってもらってたけど、そろそろ大丈夫かもしれないな。


 20階層のミノタウロスの集団を倒して、21階層に足を踏み入れたけど、人の気配はない。

 ここまで来るのにも三日かかっているし、鉱石を採取するのが目的なら、ダンジョンよりも鉱山に行くだろうし。

 ルビー母さんとユキは、人化のスキルを解いた。

 ルードならブラッディーハウンド位は余裕だろうし。


 嬉々として獲物を狩りだしたルビー母さんだったけど、次の瞬間、すっぽりと大きな落とし穴にはまった。

 糸を天井に付けて脱出した母さんだったけど、穴の中にはご丁寧に毒までついている。

 因みに毒の類はルビー母さんには効かない。自分で毒を使うのだから当然だけど、他のみんなにはちゃんと注意するように言った。


 そしたら私が一番に注意するように逆に言われてしまったけど、私にも毒は効かない。

 この前のゴブリンロードとの戦いは眷属達には言ってないけど、言ったら騒ぎになりそうで嫌だな。

 それじゃなくても眷属達は過保護なんだから。


 それにしても、ここまでの階層で一番に時間がかかったのが一階層だっていうのが私達らしい。

 

 22階層では、アサシンキャットとの戦い。ユキとは何の関係もない、ダンジョン産の魔物だから躊躇っちゃだめだけど、戦いたくないと思ってしまったのも事実。

 私が甘いのかな?つい戦いを眷属達に任せてしまった。

「マニャ、マニャは優しいけど、これは違うにゃ。にゃーはマニャに危害を加えるなら、例え親兄弟が現れても殺すにゃ」

「戦いに躊躇っちゃだめよ。母さんだって同じよ?今はマナが一番大事」

「うん。ごめんなさい」

「それにどうせ、ダンジョンの魔物は、地上のそれとは違う。マナが自分で説明してたじゃないか。ダンジョンのモコモコは草を食べていないって。もう、存在自体が別物だと思うな」


 確かにダンジョンの魔物は自分達で争ったりしない。食べる物がなかったら本来なら生きていけないはずなのに。


 リルみたいな存在が、ダンジョンコアが生み出しているのだとしたら、それは本当の生き物とは違うんじゃないかな。


 23階層まで降りてびっくりした。人の気配だ。

 慎重に進むと強そうな冒険者達が金鉱石を掘り出していた。

 うーん。まだ人はいるのかな?

 ブラッドパンサー相手に、人化したユキが苦戦している。

「この辺が潮時じゃないかな?ユキと、全然役に立っていない鳥をしまえばもう少し先に行けるかもしれないけど」

「うん。まだ人がいるかもしれないし、仕方ないか」

「うにゃ…ごめんなさいにゃ」

 残念ながらこのダンジョンは、25階層で終わりにしておこう。もう少しユキが人化しての戦いに慣れたらまた挑戦してもいいし。

(マナ…僕、強くなりたいよ)

「スカイは強くなったよ。眷属になってから特に」

 強い魔物からも逃げなくなったし、積極的に私を守ってくれる。けど、スカイには眷属化の恩恵が少ないと感じていたのも事実。

 眷属化の恩恵が少ないのはルードも一緒だけど、元々強いから、私では役に立てないだろうな。



 

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