パルタの町ダンジョン 1
冬休み。結局初等学校は卒業する事にしたので、あと1年は学校に行く。
眷属達にその話をしたら少し残念そうだったけど、私の意志を尊重してくれた。
「それでね、パルタの町にダンジョンがあって、そこにジンギスカンがいるんだよ!」
「?ジンギスカンなんて魔物いたかな」
「あ、間違えた。モコモコ。もうゲートも開いたし、焼くためのプレートも用意してあるから、行こう?」
冬休みになったその日から、ダンジョンに向かった。
二足歩行の羊がパンチしてくるのはぬいぐるみみたくてすごく可愛い。でも目的はジンギスカンなので、心の中で謝りながら倒した。
この際毛布も新調するつもりなので、毛玉もたくさん集めた。
「マナ、いつにも増して気合い入ってるね」
一匹につきほんの少しの毛玉しか手に入らないので、可哀想だけどハサミで毛を切り取ってから倒した。
「お肉いっぱい集めて焼き肉パーティーするの!」
次の階層はスライムが出た。何もドロップしないけど、鉄鉱石が採れるから、冒険者の姿は多い。
うーん。スライムの中の核ってどうなっているんだろう?
スライムに手を突っ込んで、核をつかんで引き抜く。
「マナ!手は大丈夫?」
「ちょっとピリピリしたけど、もう治った」
「スライムの体は酸でできているんだから、そんな事しちゃだめよ!学校で習わなかったの?」
「常識すぎて、却って習わないのかもしれないな。そもそも手を突っ込んでみようと考えるなんてマナ位だよ」
魔石とは違うようだ。手で握ると簡単に粉々になる。
そういえば、赤ちゃんの頃にいたスライムは、いつの間にか居なくなってたな。
「手が溶けたら大変だから、もうやめてね?」
「やらないよ。ちょっと気になっただけだし」
次の階層は、グリーンキャタピラーで、芋虫のデカい感じの奴だ。糸を吐くけど、ベタベタするだけで強度はあまりない。
ドロップするのも糊だし、要らないかな。海苔なら嬉しいんだけど。
三階層はキラービーだ。よし!蜂蜜ゲットだ!
針とか羽根は要らないけど、きらきらしているから、スカイが欲しがった。
って、どんだけ拾っているの。そんなに要らないからね。
(沢山拾ったら売れるんでしょう?それで違うきらきらが買えるよね)
(こら鳥!勘違いするなよ。前のダンジョンの時はマナの好意だからな。ドロップアイテムは本来は全て主であるマナのものだ)
(いいよ。ルード。ただし、自分で倒したものね。みんなも欲しい物があったら遠慮なく言って)
(母さんはたまにつまみ食いさせてもらえればいいわ)
(にゃーはおもちゃがいいにゃ)
(なら僕は、ブラッシングがいいな)
(あとでね)
ルードは欲しい物じゃなくて、して欲しい事じゃん。
スカイが必死にキラービーをやっつけたので、蜂蜜も随分集まった。お礼にあとでいっぱいもふってやろう。
八階層には銅鉱石が出るので、人が多い。流石にギルドの国。ポーターの子供達も、仲間の冒険者がしっかりと守っている。
(マナ、そろそろご飯の時間だよ)
(じゃあ、九階層に行けるようにしてから、戻ろう)
早速ジンギスカンだ!独特の形のプレートは、鍛冶台で私がオリジナル作成したもの。通常よりもかなり大きいのは、勿論沢山焼くためだ。
野菜やキノコも置いて、火にかける。
眷属達はスカイを除いてお箸の使い方が上手だ。
勿論私が教えたんだけど、人化できるようになって日が一番浅いユキも、元々器用なのか、すぐに使えるようになった。ただ、折角魚の身を分けて食べても最後に頭から骨ごと食べちゃうけどね。
その辺は他のみんなも一緒だ。骨まで食べられないのは私位のものだ。
「そろそろ焼けたかな?」
一番に食べるのは、主の私だとみんな決めているのか、私が食べるまで待っている。
美味しい!思った通りダンジョンの魔物は余計なものを食べないから、マトンの味じゃなくてラム肉の味だ。
眷属達も、美味しそうに食べている。やっぱりまだスカイは玉葱に抵抗があるのか、食べようとしない。
甘くて美味しいんだけどな。
食べ終わったら、ルビー母さんに手伝ってもらって、新しい毛布作成。
ピュアで脱脂まで出来るので、楽々だ。それをルビー母さんの糸でまとめてもらう。
大人まで使える大きさに作ったので、子供の今では大きいけど、ゆったりと寝られる。
ユキも気に入ったみたいで、ふみふみしている。
ユキ用のクッションカバーをモコモコの綿で作ってもいいかな?




