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冒険者実習 2

 実習二日目。夕べ煮込んでおいたスープを温めて食べた。他の子はボア肉も食べていたけど、マナは朝はあまり食べられないので、スープだけだ。

「そんなんやから小っさいままなんやで」

「酷い、ソーニャ」

「そうだな。一つ年上なのに、ポーラに身長を抜かされたな」

 あ、気にしてたのに。ポーラも小さかったから、クラスで一番…うう。

「大丈夫、マナちゃんは可愛いから」

「そうだな。華奢なのに、強いし」

「成長期…だもん」

 朝は無理だけど、これからは肉をいっぱい食べるようにするもん。


 他の班の子達は硬パンと塩スープのみの所も多い。

 ちゃんと見つければ、アオナなんかはその辺に生えているのに。


 薪はまだ残っているけど、多いにこした事はないだろう。


 朝食後のまったりとした時間を過ごしていたら、にわかに辺りが騒がしくなった。

「みんな逃げろ!ヘルハウンドだ!」

 マナは短刀を手にとり、みんなとは反対側に走る。

 冒険者達と先生が応戦している中に突っ込んで、5匹いるヘルハウンドにまずは雷魔法で麻痺効果を与える。

 そうしておいて、短刀で首を一撃で落とす。

 動きの鈍くなったヘルハウンドに、冒険者達もとどめを刺している。

「先生、ヘルハウンド位で手間取らないで下さいよ」

 言いながら、ヘルハウンドに噛まれた冒険者にハイキュアとピュアをかける。

「魔の森の固有種に一撃で対処できるのは、野生児位だな」

「蹴りますよ…じゃなくて、警戒して下さい。何か来ます」


 森の木が、大きく揺れている。現れたのは一つ目の巨人、サイクロプスだ。

 厄介なのが出てきたな。動きは遅いけど、硬い上に再生持ちだ。

 先生が斬るけど、浅い傷しか与えられないから、すぐに再生してしまう。

 サイクロプスは構わずにヘルハウンドの死骸を拾って食べている。


 私もホーリーが使えたら一撃なのに。

 言ってもしょうがない。ダークソードを短刀の先に出して足首を切り離す。再生する前に収納庫にしまったから、再生出来ない。

 バランスを崩して倒れたサイクロプスの頭側に素早く回り込んで目を突き刺して、脳みそぐりぐりかき回してやると、やっと息の根を止められた。

 う…レベルアップ酔いだ。サイクロプスが森から出たのは、餌にするつもりだったヘルハウンドが逃げたからか。普通はこんな森の浅い所にいる種族じゃないのに。


「いやー、今回ばかりはダメかと思った。お前がいてくれて助かった」

「私だって、ギリギリですよ」

 眷属達から貰った能力は隠しておきたい。その上での戦闘だったから。


「驚いたな。こんなちっちゃな子供が、Cランク冒険者の俺達より強いなんて」

「私もCランクですよ?」

「あー、こいつは年齢的な縛りがあって…」

「そういう個人情報漏らさないで下さいよ。私は只の8歳の子供ですから」

 どこが只の子供だ。


「俺もそのうちお前に稽古つけてもらうかな」

「先生って、ランクは何ですか?」

「元Bランクだ。死なない程度に頼む」

「なら半殺しですね」

 にっこり笑って言ってやったら、思いっきり引いていた。

「だってこういう危険から身を守る為に先生がいるのに、生徒に倒させちゃだめじゃないですか?」

「おっさんに無茶言うな」

 まあそうなんだけど、生徒を守れないのはだめだよね。

 そのうち日頃の恨みも込めてしばいてやるのさ。

 血の匂いに釣られた豚肉がやってきたので、サクッと倒した。昼食ゲット!


 本当は、収納庫の事はクラスのみんなには知らせたくないんだけど、仕方ない…ていうか今更か。あんなデカいの倒しちゃったんだし。先生も視線で頼むって言ってるし。

 マナは、サイクロプスとヘルハウンドを収納庫にしまい、辺りにクリーンをかけた。


 オークを引きずりながらテントに近づいたら、さすがにみんな引いていた。

「マナちゃん、力持ち」

「お手柄だな、マナ」

 あれ?大丈夫そう?

「驚かないの?」

「そんな訳ないよ。凄く驚いた。怪我はない?」

「そんな事よりマナ、収納庫使えるやろ?商売の話しよか?」

 良かった。みんないつも通りだ。

「とりあえず解体をしないと。みんなに分けていいよね?」

「当然。あたし達だけで食べきれる量ではないからな」


 みんな驚いてはいたものの、肉自体は喜んでくれた。

 変に目立つと虐められるって思ってたけど、大丈夫なのかな?まあ、レベルがある世界だから、反撃の方が怖いのか。

 私、どうしたらいいのかな?偽装は続けるけど、もう強いのはばれちゃったし。


 

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