学校
シャドーオウルの羽根を集めて、棒の先にくくりつける。
やっぱり猫といったらこれだよね。
自主勉強の合間に、ちょっと休憩。
(ユキ、ちょっと来て!)
亜空間の中で呼ぶと、ユキが走ってきた。
「何かにゃ?」
「用事って程じゃないんだけど」
ユキの目の前で羽根をふりふりしてやると、ユキの瞳孔が開いて、四つ足の態勢になって、尻尾を振る。
「にゃっ!」
お、乗ってきた。
羽根を捕まえようとして、ユキが走りまわる。
「ごめんなさいにゃ、ボロボロにゃ」
あっという間だった。紐でつけただけなので仕方ないけど、ボンドとかないのかな?
「いいよ。仕方ないよ。また作ればいいし」
どの道、どれだけ頑丈に作っても、すぐ壊しちゃうんだよね。前に飼っていた猫もそうだったし。
落ち込んでしまったユキをもふもふして慰めてあげた。
もうすぐ学校だし、そうしたらなかなか帰る事も出来ないから、今のうちにたくさんもふっておこう。
眷属達に抱きついて、帰れる時は、必ず帰る事を約束した。
とはいえ、あと三ヶ月半だ。入学してから半年以上も別れなきゃいけなかった時とは違う。
米も小麦粉も、野菜も沢山収納庫に入れておいたし、ユキも小麦粉を捏ねるのを気に入ってしまったから、ちゃんと食べてくれるだろう。
町からはちょっと離れた位置に亜空間移動して、そこから歩いて行く。
着替えの服もちょっと買い足して、長い髪をしばる為のグレルフロッグの皮入りのシュシュも買った。
入寮して久しぶりに会った友人達と、夏休みの話題で盛り上がった。
親戚の人に会った話もしてたけど、私には親戚はいない。家族の家族なら、辛うじてルードのお母さんがいるけど、会ってはいない。ルビー母さんには兄弟は沢山居ただろうけど、自分で巣を作って独り立ちしてからは見たことはないらしい。
生き残っているかも分からないそうだ。
というか、元々孤児なんだから、いるわけないし。
私は、ダンジョンに潜った話をした。そうしたら、この国のダンジョンと話が一致しなかったので、不思議がられたけど、何とか誤魔化せた…と思う。
「この国のダンジョンは、どこにあるの?」
「教えてあげるけど、絶対に無理しちゃだめだよ?ここから北に馬車で三日位で行けるパルタの町にあるよ」
「どんな魔物が出るの?」
「一階層は、モコモコの魔物だよ。肉と、毛玉がドロップされるって」
おお!羊の魔物か!ダンジョンの魔物だから草は食べていないから、ラム肉が採れる!今すぐ行きたい!
私のジンギスカンは、こんな近くにあったんだね!
「うちはモコモコの魔物肉はなんや臭うから好きやないけど、マナは楽しみみたいやな」
「そうだな。学校がなかったら、今すぐ出ていきそうな雰囲気だ」
テストは、先生が黒板いっぱいに書いた問題を、個人の黒板に書いて提出する。
特に難しい問題はなかったので、さっさと提出して、外に出た。
テストは午前中いっぱいなので、時間が余った。
こっそりと農園に入って大きなジンギスカン用のプレートを作り、収穫と種まきもやった。
余った果物は出荷箱に入れて、農園を出た。
丁度お昼前で、いい時間だ。
午後はマナー問題なので、悩んだけどそれなりに出来たと思う。
休日はみんなと冒険者の仕事を受ける事にした。
学校のある町は、低ランクの依頼が殆どない。学校側が冒険者を推奨している為だけど、薬草や食肉採取等の常設依頼はいつもある。
あと、ランクフリーであるのがゴブリン退治だ。
マナはCランクなのでEランクまでの依頼しか受けられないが、学校のある町は、Fランクの依頼が極端に少ない。
Fランク依頼は、町中で出来る戦闘無しの依頼だ。
だから大概寮のみんなと行動する時は、ランクフリーの依頼を受ける。
今日は、肉と、ゴブリン退治だ。ゴブリンは放っておくとどんどん増えちゃうので、見つけ次第倒す。
魔の森にはゴブリンはいない。ごく浅い所ならいるけど、ツリーハウスの近くは周りの魔物が強いので、住めないのだ。
マナはいつものようにとどめは友人達に刺させている。
もうこの辺の魔物では、マナのレベルは上がらない。
友人達に自分のレベルは教えていないけど、普通は教会でスキルボードを取らないと自分のレベルを知る事は出来ない。
あとは、魔眼を持つ人は、自分を鑑定する事が出来る。
「よっしゃ、規定数クリアや。どないする?プラスアルファを狙うか、戻って町をぶらつくのもええな」
「ごめんね?勉強したい。私このままだと進級危ないの」
「…耳が痛いな」
「なんや、金勘定なら教えたるで」
「じゃあ、ギルドに戻ろう」
視線を感じて振り返るけど、姿が見えない。
「どうしたの?マナちゃん」
「たまに視線を感じるんだよね。みんなも気を付けた方がいいと思う」
「男かもしれへんで」
「だとしても、まだ小さい私達を狙うんだから、変態さんだと思う」
「そうか…分かった。気を付けよう」
この中ではジーナが一番年上に見える。でも前と同じ人なら、私だよね。
でももしかすると、不特定多数を狙っているかも知れない。




