表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/242

飛翔

 夏休みの課題も、やらなければならない。

 課題と言っても、紙はそれなりに高い物なので、石板で文字を書く練習だ。言語理解があるので読むだけなら問題ないけど、何かの暗号みたいなこの世界の文字は、書きにくい。

 算数は今の所足し算と引き算、お金の計算の仕方だけなので、余裕。


 ユキに簡単な罠を作ってもらって、ルビー母さんは今、特訓中だ。スカイは嫌がっていたけど、強制参加。飛べるから必要ないって言ってたけど、上から槍が降ってきたりとか、どんな罠があるか分からない。


 あとは難しいマナーの問題だ。目上の人との接し方とか、食事の仕方。

 うん。超面倒。最初に会った貴族があれだったから、いい印象なんて持てるはずないし。

 

 ちょっと休憩。広場で寝そべっているルードによじ上ると、ルードが顔を上げた。

(もういいの?マナ)

「あんまり良くないけど、ちょっと休憩」

 まだ日差しは暑いけど、亜空間の中よりは健康的でいいかもしれない。


(マナはもう、空を飛べるようになったんだよね?僕と飛ばない?)

(確かにスキルでは覚えたけど…ちょっと怖い)

 高い所と、ジェットコースターは苦手だったから。

(マナと空を飛びたいな)


 そういえば前にもそんな事言ってたっけ。

(ゆっくりでいいなら…ちょっとだけ)

 スキルは使わないと上手くならないしね。


 反重力で浮かび上がると、ルードも翼を大きく羽ばたかせて飛び上がった。

(ちょっと待っ…!)

 まだ飛翔スキルが発動していなくて、浮いただけだったので、風圧で飛ばされた。

(マナ?ごめん!大丈夫?)

 木に引っかかってそんなに飛ばされずに済んだ。

(平気。まだちょっと怖いから、待ってて)


 補助魔法の翼と、反重力の魔法の両方を使って、ゆっくりと移動してみる。スカイから高速飛翔のスキルはもらったけど、全く使いこなせていない。

 本当に飛べるなら、反重力の魔法は要らないんだけど、切るのは怖い。


(ゆっくり飛ぶから、僕の手で掴んで飛ぶ?)

(私が今移動してる位の速度で飛べる?)

(無理。ていうか飛んでないよね?浮かんでるだけだよね?)

 その通りなんだけど、怖いのさ。


 意気地無しの私は、木の上まで浮かぶのがやっとだ。ここからなら落ちても立体機動で何とかなるから、怖くない。


(マナ!僕も一緒に飛ぶ!)

 スカイが来て、私の周りをくるりと一回りする。

 スカイだと風圧が来ないから一緒に飛べるけど、下でルードが苛ついている。

 一番やきもち焼きで、子供なのはルードかもしれない。

 一番年下なのにユキは甘えっ子ではあるけど、そんなにやきもち焼きじゃない。


 仕方ないので、反重力を切って飛翔を使う。うん。ちょっとは飛べる。

(マナ、飛べた?)

(うん。何とか)


 ルードが羽ばたく。風圧に負けそうになる私をルードが掴んだ。スカイは飛ばされている。

 

 前にルードのお母さんに掴まれて飛んだ時よりは怖くない。ルードだからかな?

 そのまま魔の森をくるりと一回りして、中心にある大きな木を見る。

 ルードは凄く楽しそうだ。

(あれは、黒竜さんの所にあった木?)

(そう。世界樹だよ。師匠はあの木を守る役目も担っているんだ)

 へえ。お話だと、世界樹のある所に住んでいるのはエルフが多いけど。

 

 魔の森は本当に大きいんだな。中心にいても果てが見えない。

 やっぱり中心に向かって魔素が濃くなっていくみたいだ。

 だから強い魔物が多いんだろうな。

 ルードに掴まれてもいいけど、自分の力で自由に飛んでみたい。飛翔訓練、頑張ろう。

(楽しい?マナ)

(うん。今度は自分の力で飛びたい。スカイも一緒に)

 ちょっとムッとしてるけど、スカイだって私の大切な眷族なんだから。


(一応仲間だと思っているけど、たまにはこうしてマナを独占したいな)

 嬉しいけど、どこまで主大好きなんだか。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ