ダンジョン、なかなか攻略できません。
ホルアスダンジョン17階層。ここは食べ物が出てくるはずだから、すごく楽しみ!
独特の、モコモコとしたシルエット。それに体と手足が生えている。
ええっ!まさかのシュークリーム?そしてシュークリームが炎のブレスを吐いた。
ブレスは魔法じゃないから、マジックブレイクが効かない。
シュークリームが槍持って盾持って追っかけてくるなんて、前代未聞だ。
ていうか、素材じゃなくてお菓子そのものが出てくるなんて事もあるのか。
それにこの世界のシュークリームは、中身がジャムなんだよね。町で見つけて食べた時はびっくりした。
結界でブレスを阻みつつ、胴体を切ると、出てきたのはやっぱりジャム入りのシュークリーム。
菓子パンでもジャム入りしかないし、無発酵パンだから美味しくない。学校でも給食で出るから今は慣れたけど。
自分で作るのは、ちゃんと発酵させて作っている。
勿論カスタードクリームも作れるので、クリームパンも作っているけど、広める気はない。目立つのが嫌だからだ。
この世界の人達は、基本肉食のようだ。というか、野菜が高い。
魔物対策もして広い土地を使って作らないといけないから、しょうがないけど。
…あれ?この世界の人達が大きいのは、肉食のせい?
肉主体の食事をしていた国の人は、日本人より大きかったし。
栄養バランスとか無駄に考えて、お肉が少なかったから、他の子より小さいの?!大ショック!!
お金の価値も、やっと分かるようになってきた。
魔の森の素材に、良質な魔石。上位種の肉。そんな物をギルドに卸しているから、お金は貯まる一方だったけど、学校に行くまではお金の価値が分かっていなかった。
今まではそれでも困らなかったけど、気をつけよう。
倒すと拳サイズに縮んでしまう残念なシュークリームを集めつつ、階段を探した。
目の前にポップしたのは、一回り大きなシュークリーム。そして氷ブレスを吐く。
レア種?
看破 シューの特異体 中に白クリームの入った種。氷ブレスを吐く。
白クリームは、生クリームの事だ。そしてレア種は強い。
それでも、オーガクイーンよりは弱いかな。シュークリームは基本それほど素早くないので、ブレスにさえ気をつければ、与し易い相手だ。
「何か、レア種に出会う確率が異常に高い気がする」
「私は運の数値が高いから。最初に振ったポイントで、幸せになりたかったから」
「どれ位?」
「最初に一万ポイント振って、レベルが上がったら増えたけど」
「一万て…普通はあっても二桁だよ?レベルが上がっても、1か2しか上がらないし」
「ああうん。上がり方はそんなもんだね。ステータスはそんなに気にしてないから、よく分からないけど」
「それで今は、幸せ?」
「すっごく幸せだよ」
18階層は、ブラッディオウルだ。
ツリーハウスの周りにいるシャドーオウルの上位種で、隠密性が非常に高い。念の為にスカイを影に入れて一番感知能力の高いルードが先頭を行く。
最大限スキルが使えるように竜の姿に戻って進むけど、ルードが竜になると向かう所敵なしになってしまう。
私も感知能力を最大限引き上げて探すけど、ルードに先を越されてしまう。
黒竜さんは、強かったな。ルードが師匠って呼んでる位だから、ルードよりも強いんだろう。
なんたって年季が違う。
頼めば私にも教えてくれるかな…でも歓迎されてる雰囲気じゃなかった。
ルードにだって全然敵わないんだから、ルードに強くしてもらえばいい。
っと、ユキが後ろから攻撃を受けた。
すぐにハイキュアをかけてあげるけど、ユキの感知能力をすり抜けるなんて凄いな。
私も充分気をつけよう。
階段もなかなか見つからない。私も何羽か倒した。
次は食料階層のはずだから、階段は見つけたいけど…。
余裕があるのはルビー母さんとルードだけだ。でもルビー母さんはたまに罠に引っかかっている。
穴も前より深いけど、ルビー母さんは体が大きいから、穴に落ちずに引っかかっている。
穴の底には尖った土槍がある。ルビー母さんの防御力なら刺さっても怪我はしそうにないけど、罠感知スキルを取れるように帰ったらユキに協力してもらおう。
ようやく階段を見つけた。次の階層を有効化して、今日は終わりにしておこう。




