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夏休み

 もうすぐ夏休みだ。2カ月もあると知ってびっくり。もっとびっくりしたのが、この世界の手紙の送り方。

 何と、ダンジョン産の小型転移装置の魔道具という物があって専用コードを打ち込めば、ギルド間なら一瞬で手紙が届く。

 追加料金はかかるけど、本人に届けるサービスもあるようだ。

 私の世間知らずにはみんなもう慣れちゃって、頼まなくても詳しく教えてくれる。


 人を転移させる魔道具も存在して、それは王様とか偉い人しか使えないらしいけど、膨大な魔力がかかる。

 亜空間移動なら簡単だけど、そういう魔法は、大魔術師クラスしか使えないらしい。


 私の周りはルードもスカイも使えるから、価値はだだ下がりだけど、ギルドに収納庫の魔法が使える事はばらしてあるから、気をつけよう。


 初めはマジックバッグを自作するつもりだったけど、意外と容量が少ないので、黙っているのが面倒になった。

 時間経過も普通にあるから、絶対にバレる。ギルド以外では使えない事にするつもりだし、いいよね?

 

 ポーラとジーナは地元の住民なので、手紙を送ると約束した。ソーニャはその時期に行商人の両親が来るようだけど、1か所に留まるとは限らない。

 私はギルドもない田舎育ちという事になっているので、町に出たら手紙を書くと言っておいた。


 2カ月なんて、あっというまだと思う。リルにも会いに行きたいし、ダンジョン攻略もしたい。


 夏休みに入ってちょっと町で寄り道して買い物していたら、つけられている気がした。面倒なので放っておいても消える気配がないので、隠れてやり過ごして後ろから声をかけてやったら一目散に逃げて行った。

 まさかストーカーだろうか?だとしたらロリコンの危ない奴なので、気をつけよう。


 建物の影から亜空間に入り、ツリーハウスに戻った。

 近くにいたユキが真っ先に飛びついてきて、喉を鳴らして喜んでいる。

 相変わらずの甘えっ子だ。

 次に飛び込んできたのはスカイで、ユキと一緒にもふってやる。

 ルードも眠そうにあくびしながら来て、お子様抱っこするから、ちょっと暴れて降ろしてもらった。

「私ももう8歳なんだから、いい加減抱っこはやめて欲しい!」

「何歳になっても関係ない。小さいマナを抱っこするのは僕の特権」

「ちょっとは背、伸びたじゃん?」

「んー。どうかな?」

 言いながらまた抱っこしようとするけど、いい加減子供扱いはやめて欲しい。そんなんだから、シスコンて言われるんだよ。

「ね?ルビー母さんは?」

「狩りに出掛けたよ。そっちの二人はもふもふして、僕には何もなし?」

 あらら、大きな子が拗ねちゃった。

「なら亜空間に入って、鱗用のブラシ見つけたから、かけてあげる」


 マナは亜空間を開けてルードと入る。ユキとスカイも入ってくるけど、邪魔してくる様子はない。

 ヤキモチは焼くけど、うちの子達は基本的に仲良しだ。

 毛先の柔らかいブラシで撫でてやると、ルードは気持ちよさそうに目を閉じた。

 子竜でも体が大きいから、ブラッシングも大変だ。

 ルードも寝そべる姿勢を変えて私が登りやすいようにしてくれる。

「お客さん、痒い所はないですか?」

(ちょっとくすぐったいかな。そこ…おなかの辺りが気持ちいい)

 丁度寝てる時地面に当たる所だからね。鱗は硬いから傷ついたりしないけど、お腹見せてだらんとしてる姿は、竜の威厳もへったくれもない。


 ルードの精神年齢って何歳位なんだろう?物知りで実年齢も高いけど、子供みたいに拗ねちゃうし、よく分からない。

 うちの家長はやっぱりルビー母さんだ。


 やっとのことでルードのブラッシングを終えた所でルビー母さんが帰ってきた。

「お帰り、マナ。んん?少し大きくなったかしらね?」

「だよね!誕生日の時より背が伸びた気がするもん!」

「でも服は、まだ自動調節の範囲内ね。夏休みの間に伸びたら作り直してあげるわ」

「うん!ルビー母さんもそのプリーツスカート可愛いよ!」

 下だけ見ると学生っぽいけど、上半身がエロいから、大人にしか見えない。自動調節で胸を強調する形になっているライトアーマーは気に入っているのか、常に身につけているようだ。


 今日はルビー母さんの捕まえてきた鳥肉で、親子丼を作った。

 もう森の中も落ち着いたから、いきなり高ランクの魔物と出会う事も減ったそうだ。

 黒竜のおじさんも戻ってきたから、森も安定するだろう。

 ミノタウロスも元の生息地に戻ってきたみたいだから、一安心だ。


 久しぶりにゆっくりとお風呂に浸かっていたら、人化したルビー母さんも入ってきた。足下ではスカイが水浴びしている。

 大きな胸が羨ましい。人化はどこから見ても人そのもので、おへそもちゃんとある。子供を作る機能はないけれど、行為そのものは出来ると真顔で言われてどう反応したらいいか分からなかった。

「じゃあ、人の町で…もしかして恋人とかできたりするのかな?」

「人には興味ないわ。マナが一番だもの」

「母さんがなくても、周りが放っておかないんじゃないかな?」

 もしかしてユキも?…どうしよう?結婚してお嫁に行っちゃったら。

「母さんは、ここを離れるつもりはないわよ?ユキも同じじゃない?私はマナにそんな相手が出来る事の方が心配よ。まあ、変な奴ならルードが追っ払いそうだけど」

 確実にヤキモチは焼くだろうな。というか、頭からぱっくんしそうで怖い。

「今の所そんな相手も気持ちもないから安心して。眷族のみんなが一番だから」


 次の日は、リルの所に行った。羽虫サイズからいきなり小学生サイズになっていて驚いたけど、ダンジョンも成長して5階層位増えたらしい。魔力を欲しがったからキスしてあげたけど、また魔力をごっそりと持って行かれた。

「ダンジョンが成長してからは、下層まで降りてくる人間も増えて、魔物もずいぶんレベルアップしたんですよ?」

「そういえば神様はリルの事ダンジョンコアって言ってたけど、どうなの?」

「同じですよ。私はコアの一部で全部です。というか、ダンジョンが私そのものです」

「他のダンジョンにもリルみたいな精霊がいるの?」

「いても、人と話せる姿をとっているかは分かりません。マナ様が神様でないなら、ここに入れた理由も分かりませんし」

「私は人族の、只の8歳の子供だよ。神様の娘とは言えるかもしれないけど」

「私にとっては、神様そのものです」

 それは、成長できなくて枯れかけてたダンジョンを救った形になるからね。


 とりあえず、良かった。私は魔力不足で眠いけど。


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