あんこ
マレサは、結局謝って学校に留まる事になった。
何でも、ギルド職員を将来的には目指しているらしい。
上の学校に進めればギルド職員になるのに有利らしいけど、職員が全く冒険者の職業を理解していないのも、ギルドとして困るようだ。
詳しい事は分からないけど、荒くれ者の多い職業だから大変な所だよね。
もうすぐ私も8歳。周りの子が大きいから成長した実感は少ないけど、ブーツが合わなくなってきている。
ルビー母さんに頼む誕生日プレゼントは決まった。
スカイとユキは、存分にもふらせてもらうとして、ルードはどうしよう?いつの間にかもらう方が気を使っているけど、本来は祝う方が考える事なんだけどな。
もう、ミノタウロスでもいいよね?面倒だし。
大体高級牛肉なんて、前世でもなかなか食べられる物じゃなかったんだからさ。
夜のツリーハウスに戻ると、いつも通りみんな集まってくる。
「マナ、そろそろ誕生日よね?今年は何がいい?」
「ブーツがいいな。最近つま先がきつい」
「そう?身長は変わらないみたいだけど」
…それは知りたくなかったな。
「プレゼントって、先に渡してもいいのかな?」
「え?何かあるの?」
ルードが、珍しい。
「実はこれ。マナの言っていた物かは分からないけど」
ルードがくれたのは、空豆サイズのあずき?
「調べて、ホルアスのダンジョン産の豆が一番近いかなって」
色は小豆に似ている。
「調べてくれたんだね!ありがとう!これをあんこにしてみるよ!」
看破 赤豆 ホルアスのダンジョン産 甘く煮ると美味
うん!期待しちゃう!そして私も採取したい。
「マニャ、ユキはどうすればいいにゃ?」
「スカイも一緒に私の気の済むまでもふる!」
「にゃーん!」
「だからさ、それ、ご褒美だろ?」
(僕はきらきら作ったよ!)
(うーん…ありがとう?)
きらきら好きなのに、使用目的が分からない物を作るとか…私よりセンスなくない?ある意味スカイらしいけど。
(だめ?これ嬉しくない?)
(ううん。ただ、どうやって使う物なのかなって)
(きらきらは、見て楽しむ物だよ?)
(なるほど)
こうしてガラクタコレクションは出来たんだね。
「学校はどう?嫌な思いしてない?」
「うん。…いかに今まで私が常識知らずだったかよく分かったよ」
「僕が勧めた事だから、マナの役に立ったなら良かった」
「上の学校まで行くつもりはないけどね」
「それは僕達も嫌だよ。これ以上マナと離れて暮らすのは」
私だって、眷族達と離れて暮らすのは嫌だ。
ゲーム内の道具屋に、早速砂糖を買いに行く。出来れば寒天も欲しい。羊羹が作りたい。
「おお…!これは赤豆…種として売られている!」
やはり私が認識する事が条件なのかもしれない。
勿論ダンジョンに採りに行くのもいいけど、あんこは使い道が多いからね。農園で育てられる事にこした事はないのさ。
農園で全種類の物を育てる事はできないから、ある物でやっていくしかない。それでも元のゲームから考えると数は物凄く増えている。
収穫して、耕して、種と水をまいてゲームを出た。
また明日も学校だから、早く寝ないと。
結果から言うと、赤豆から作ったあんこは半分は成功?思ったよりも皮が固くて、食べてて邪魔。
こしあんは成功。味は微妙に違うけど、まあ許せるレベルだ。
どら焼きにしてみんなにも食べさせてあげた。
「これがその、あんこ?」
「あんこを挟んだどら焼きって食べ物だよ。本当はどら焼きは粒あんだけど、皮が固かった」
「へえ?マナが好きそうな味」
別に私も、甘い物ばかり食べている訳じゃない。砂糖だって買うと高いし。だからさつまいもや、果物そのものの味を生かしたデザートが多くなる。
調味料とアクセサリーの出荷額が同じ位なのだ。
今は安くなったけど、主食系の種は一つがミスリル製の武器と同じ位の額になる。お陰で錬成の腕前は上がったけど、それ位大変なのだ。
普通は作物を出荷するけど、私は食べてしまうので、お金は減る一方。別の所で稼がなくてはならない。
幸い、赤豆はたいして高くない。助かった。




