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クラス分けテスト

 ツリーハウス周辺にも秋の気配を感じるようになった。

 今日は試験なので、いつものルビー母さんの服じゃない。

「私が母さんなんだから、私がマナを連れて行きたいわ」

「何時間かかるか分からないのに、人化を維持出来る自信があるなら考えないでもない」

「そこを突かれると痛いけど、ルードだって顔が似てないんだから、兄弟にも無理があると思うけど?」

「ルビーだって似てない」

「ルードよりは似てるはずよ!」

「大体保護者なんて何にもする事ないんだから、どっちでもいいよ」

 たかがクラス分けの試験に同伴するだけなのに、どうでもいいってば。

「じゃあ、この前の手続きの時はルードが来てくれたから、今日はルビー母さんで」

「えー」

「やったわ!ふふっ。さあ、行きましょうか」


 保護者は会場には入れないので、別室で説明会があるらしい。

「頑張るのよ!マナ」

 いや、目立ちたくないから、程々にするつもりなんだけど。

 会場には50人位の子供達がいて、ざわざわとうるさい。

 会場入りする前に渡されたのは、Aー1と書かれた布。

「はい!みなさん布は腕に巻いていますね?A班から順に並んで下さい!」

 私は、A班の一番前に並んだ。10人ずつの班編成だ。…まさか背の順?身長測ってないじゃん!ていうか男子も女子もごちゃ混ぜだから、手続き順かな?

「ではA班から試験を開始します」

 ええっ?まさかのトップ?他の子の実力分かんないじゃん…うう、ごめんなさい!


 看破 アルト レベル15 スキル 水魔法 身体強化 投擲 解体 命中 片手剣 体術


 マナは、すぐ後ろにいた男の子を魔眼で見た。

 さすがレベルもスキルもある世界だ。


 あれ?私のレベル15の頃の身体能力ってどんな感じだったかな?まだ農園ダンジョンの初め頃だったかな?


 私とアルトが前に出て先生と向かい合う。

「身体能力を見るので、魔法無しで来なさい」

 先生は私に合わせて木の短剣と盾を手にする。 

 そういえば、盾のスキルは持っていなかったな。回避すればいいと思ってたし。

 ええと…レベル15位だよね?でもCランクだから、ちょっとは強いふりしないと。

 っと、不意打ちは酷いな、先生。当然避けられるけどさ。盾に攻撃すればいいよね?

 マナは、先生の持つ丸盾に短剣を当てる。

 …あ、やばい。盾が割れた。木の盾だし、しょうがないよね?

「もう…終わりでいいです」

「学校の備品壊しちゃってごめんなさい」

「い…いえ。大丈夫です」


 こんな風にやるという見本だったのか、他の子は自分の後ろの子と組んでやっている。

 …え。みんなこんなに弱いの?レベル15ってこれ位?うそ!


 看破 ソーニャ レベル8 スキル 火魔法 風魔法 槍 解体


 あ、この子はきっと魔法系なんだな。


 マナは忘れていた。自分のステータスは、転生前にポイントで割り振った物だという事を。

 そして知らない。この世界の人達の、初期ステータスを。


「次は魔法テストだ。…ええと、お前さんは手加減してやってくれ」

 言われなくてもそうするつもりだけど?


 別室の、魔法防御が張られた部屋でテストをするようだ。

「魔法防御の魔道具なんていう物もあるんですね?」

「…よく、分かったな」

「魔力感知持っているので。壁、壊れたら大変ですしね」

 アルトが先に終わったようで、すれ違った。


「的が出てくるから、それに当てればいい」

「魔法の種類は?」

「何でもいいが、壁は壊すなよ?」

 なら、貫通性のないダークショットでいいか。


 初めは、只の木の的だったので、普通に壊した。

 っと、影からも飛んで来るのか。2連、3連と嫌らしい飛び方もあったけど、全て破壊出来た。生徒が見ている前以外なら、別に自重は要らない。

「本当に無詠唱か…まあいい。少し話を聞く」

「次は筆記試験では?」

「後だ。いいからこっち来い」

 この人は校長先生とかだったりするのかな?偉そうだし、強そう。

 応接室には、ローブを纏った男が一人。マナはドアを開けてすぐの席に座って…埋もれた。柔らかい革製のソファーは、前世で社長とかが座るような椅子だ。そのふかふか感を楽しんでいたら、校長先生?は、向かいの席にどさっと座った。ローブの男は、右横になる。

「マナ、人族で7歳…間違いないな?」

「はい。…私、何か疑われるような事しました?」

 ローブの男はうなずく。

「いや、住んでいる所は…書類には何も書かれていないが」

「魔の森なので。どこの国にも属さないと聞いたので」

 ローブの男はまた頷いた。

「家から近いのが、この町の学校だったので、ここに来ました」

「それが理由か…正直剣や魔法は教わる必要はないと思うが?」

「私は常識を知らないので。兄のすすめもあって、勉強しに来ました」

「あんたの兄ちゃんAランクだったな。17…マジか?」

「お兄ちゃんは強いです。相手してもらっても全然敵わないですし」

「そうか…っと!後がつかえるからな。次の教室はこっちだ」


 教室にはA班の全員が揃っていた。あれ?もしかして面接あったのって私だけ?


 筆記試験は簡単な算数と、文字が読んだり書けたりするかだけだったので、余裕で終わらせた。よかった。

 考えてみれば学校前の子供に難しい問題出しても解けるはずないよね?


 今日はそこで終了になった。


 応接室に残ったローブの男に、戻ってきた男が近づく。

「魔族とかで年齢偽っている訳じゃないんだな?」

「嘘はつかれれば分かりますが…私の看破は弾かれました」

「…は?嘘だろ?シバ。じゃああの7歳の小娘の精神が、お前より勝るのか?」

「そんな大声上げないで下さい、マスター」

「戦闘では手を抜いているのバレバレだったが、動きは素早いし、攻撃も見えてたな。ガランの町のギルマスの報告通りだな」

「魔力も底知れないですよ?どうするんです?マスター」

「どうも何も、学校には通わせるしかあるまい?あとはどっかの国に確保される前に、ギルドで何とかするさ」

「何とかって…何も考えていないのバレまくってますよ?正直あなたが面白がって来てくれて助かりましたが。ね?グランドマスター」

「あとは事務方に任せればいい。俺はそういう事を考えるのに向いてねーんだ」

「兄の方はどうするんです?」

「んな事言っても、成人したAランク冒険者に口出しできねぇし。今日は母親だけか」

「母親も魔の森に住んでいるなら、高レベルなんじゃないですか?まだ登録したてのようですが…それと猫獣人の姉…揃ってオークキングを討伐に行ってますね」

「あー、頭痛くなってきた。面倒くせえ」

 常識を知らないとは言ってたけど、馬鹿でもなさそうだし、若い母ちゃんは美人だし…じゃなくて、悪人って感じもねぇし、あとは様子見だな。






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