港町に向けて
カレーの実は、そのまんまカレールーだった。
辛口が好きな私だったけど、幼児の舌にはきつかったので、すりおろしたリンゴを入れたら丁度良くなった。
久しぶりのカレーに、心が躍る。野菜もたっぷり入れて、今日の夕ご飯にした。
(うにゃー。凄い味にゃ。マニャの料理じゃなかったら、食べられなかったにゃ)
(残してもいいよ?)
(別に無理してないにゃ。マニャのご飯は、マニャの魔力の味にゃ)
うん。水魔法と熟成の魔法は使った。便利な魔法なので、今度漬物でも作ろうかと思っている。あと梅干しも。
他のメンバーは、スカイが少し食べ辛そうにしてたけど、いつも通り食べていた。
折角なので、スカイの従魔の足環を作り直してあげる事にした。
ゲーム内に入って、ミスリルを取り出す。スカイの好きなデザインは、蔦が絡まる様子を表現したお洒落な物。ただ銀製だったので、買わなかった。
従魔の証の石に蔦を絡めるイメージで、作り上げた。
うん。多分私にしては良くできた。
付与は、もう片方の足環が防御系なので、こっちは攻撃系にしてみる。自動調節とクリーンはいつも通りだけど、他には魔力制御と斬撃破強化、刺突強化を付けた。
スカイの翼斬と嘴撃に対応している。魔力制御は、少しでも水魔法が上手くなって欲しい思いから。
無理やり付けたスキルだからか、炎鳥のスカイに合っていないスキルだからか、未だに初期魔法しか使えない。
でも、無理やり付けたスキルと言えば私もだ。何しろポイントで付けたスキルだし、スキルも魔法もない世界から来たんだから。
ルビー母さんは眷族化に伴い、私のスキルに引っ張られるように亜空間まで覚えた。
けして差別した訳ではないが、眷族化の影響がスカイには少ない気がする。
スカイも亜空間、亜空間移動まで覚えたけど、亜空間のスペースは狭くて、3畳分位のスペースしかない。
ルビー母さんのスペースは学校の校庭位かな?亜空間として使うなら、充分なスペースだ。
眷族化の恩恵が少ないといえばルードだけど、元から強いから創造魔法位しか恩恵がない。本人は私との繋がりが深くなったのが一番嬉しいみたいだけど。
ユキには不評だったけど、途中からユキの分は取り分けてシチューにしてもいい。
やっぱりルードは港町のゲートを持っていないようなので、出発は王都からだ。
そこから歩いてホムリアの国に入り、南東に歩けば港町ルキアだ。
「スカイに港町ルキアまで行ってもらったら?僕は目立つけど、鳥なら何とかなるんじゃない?」
「うーん。確かに歩いて移動はいいけど、馬車は嫌だし」
(僕ならいいよ?ここほど強い魔物もいないし、飛んだ方が早く着くよね)
確かに距離的には300キロ位あるから、スカイに協力してもらった方がいいかも。
「じゃあ、お願い」
(その代わり、沢山もふもふしてね)
スカイは、自分の亜空間に消えた。




