ルードと神々
ルードは、ベッドに横になるとさっさと寝てしまった。こうなるともう、ちょっとやそっとじゃ起きない。
寝ている無防備な今なら、眷族化できるかな?
ルードは毛布をかぶらないので、手を伸ばせばすぐに触れる。体温が低いから、ちょっとひやっとする。
腕を掴んで、集中する。膨大な力の一つ一つを理解し、記憶する。パスを広げて、繋がりを意識する。
あまりにも大きな存在感に圧倒されるけど、どうにか掴む事が出来た!
「やった!マナ!」
起きたルードが、毛布ごと抱きしめてくる。
「し、しむるー!」
もうバカ力!
そりゃ、私も嬉しいけどね。
森にも春が訪れたある日。大剣を背負った一人の男がツリーハウスに立ち寄った。
「おう。お前さんがマナか。初めましてだな」
びっくりしたけど、人の気配じゃない。
「もしかして、ドーバ様ですか?」
「おう。邪神を倒したついでに寄った。俺ら神は、こんな時でもないと地上に降りられないからな」
「ちょっとドーバ!マナへの接触は、サマルト様に禁止されているでしょう?」
その顔にも、見覚えがあった。
「魔法神ルミナス様ですか?」
「あらうふふ。サマルト様には内緒ね」
「はあ…先程、邪神は倒されたと言っていましたが」
「危なかったぜ。邪神に進化してやがったからな。ルミナスも連れてきて正解だった」
「だから言った通りになったでしょ?」
「こら、お前が降りた第一の目的はマナに会ってみたい。だろ?」
「そんな事ないわよ。大体、影響を与えないように接触禁止なんて、サマルト様も考えすぎなのよね。自分ばかり会いに来て」
「気を失っていたので、正確には会ってませんが」
「ははっ、ざまぁねえな」
「それにしてもサマルト様にそっくりね?女の子だけど」
ルードが亜空間から出てきて、ぎょっとしている。
「おー、本当に眷族化しているな。子供とはいえインペリアルドラゴンをよく眷族化できたもんだ」
「本当に。予想以上ね」
ルミナスが、マナの頭を撫でる。
「あ、こら!接触禁止だろ?」
「これ位いいじゃないの。可愛いんだもの」
ドーバはマナを抱っこする。
「小さいなあ。ちゃんと食べているか?」
「あ、ずるい!ほっぺがぷにぷにで可愛い!」
「こら、サマルトがうるさいぞ?」
「抱っこよりましだもん…でも、そろそろ帰るわ。また会いましょう?マナ」
「邪神を倒したとはいえ、まだ森は落ち着かないだろう。俺の加護があるとはいえ、充分気をつけてな」
何だったんだろう…。全力で雑談して帰って行った。
ルードが来て、マナを抱き上げる。
「神様、何だって?」
「邪神は倒したって。あとは雑談して帰ったよ」
「へえ」
「それでルードは、何で抱っこ?」
「マナは僕達眷族のものだ。誰にも渡さない」
「ええー」
神様相手でもヤキモチ焼くの?
今日は、久しぶりの狩りだ。眷族化してからあまり眠らなくても大丈夫になったルードも、夜行性でなくなったユキも一緒だ。
眷族達に技を貰ってから、全然試せてない。なので少し下がって数を減らしてもらってから、狩る。試した所で便利なのが、ルビー母さんの糸とユキのソニックウエーブを合わせた技だ。
ルビー母さんは糸だけで魔物の首を落としているけど、まだコツが掴めていないので、糸に振動を与えた方が楽に首を落とせる。あとは短剣に振動を与えて、更に切れ味を増すことが出来る。
食べられる魔物も、ある程度たまってから、休みを挟んで血抜きをする。それを前提でみんな戦っているので、売れる素材がないものは、みんな首だけ転がっているという感じになった。
しばらくまともな狩りが出来ていなかったので、肉のストックが心許なかったから、みんな真剣だ。
たまに深部から出てきた魔物と思われるのが出てくるけど、向かう所敵無しだ。
大体100匹位狩って、高級牛肉のミノタウロスも狩れたので、そろそろ戻る算段をする。
レベル1になってしまったユキの基礎レベルも上げることが出来たし、満足だ。




