ランクアップ
ツリーハウスの天辺から、魔の森を見渡す。いつも通りの景色に見えて、どこか緊迫した雰囲気が漂っている。
ルードの気配を感じて下に降りると、亜空間から出て来た。
「母様の話では、少し前に何か異質な力を感じたんだって」
「どんなものかは判らないの?」
「神の力に近いって話だけど、サマルト様では絶対ないって。逆に僕が調査を頼まれたんだけど、少し迷ってる」
「何か迷う事が?」
「僕が調査に行くときマナは?」
「当然、付いて行くよ?」
「ほら。だから嫌なんだ」
「どうして?」
「何があるか分からないから、待ってて欲しい」
「絶対に嫌」
「まあ…本来なら母様が調査に行くんだけど、今、卵を暖めているから」
「おお!弟か妹が産まれるんだね?」
「うーん…あんまりそういう気持ちはないかな?人とはまた感覚が違うよ」
そりゃ、50以上も歳が離れていたら、人だって、兄弟とは思えない…その前に絶対とは言えないけどあり得ないけどさ。
「とりあえずは今は静観かな?こういう物は、自然に落ち着くのを待った方がいい場合もあるし。魔物だって世界の一部なんだから、害がなければ狩る必要はないよ」
そりゃそうだ。ミノタウロスだって全然いなくなった訳じゃないし、そう弱い魔物でもないから、淘汰される事もないだろう。
今日は、ギルドでランク上げのテストをしてくれるというのでルードと来た。
あの事件はかなりの噂になっていて、6歳の子供が、護衛としての実力もある大人達を無力化しておきながら最低のFランクなのはおかしいという話だ。
子爵家にしてみれば、私兵がそんなに弱いとなれば、家格にも影響する。
テストしてくれるのはギルドマスターで、元Aランクの冒険者だそうだ。
これでランクが上がっても薬草採取は常設依頼なので、ランクに関係なくできる。
まずは私からだ。魔法も使っていいとの事なので、遠慮なくやらせて貰おう。さすがに魔力ブーストは使わないけどさ。
短剣で大剣に挑むのは無謀に見えるし、さすがに私は6歳なので、ギルマスも力を見て、噂を確かめたいだけだろう。
鞘付きの短剣で打ち込むけど、やはりあっさりといなされる。大人顔負けの素早さはあってもリーチが足りないから仕方ない。
それでもギルマスの使う剣には当たらないし、魔力防御に阻まれても無詠唱魔法はガンガン使っている。
当たらない私にギルマスも本気を出してきて、体術も使ってくるけど、ルードやルビー母さんの攻撃に慣れている私には当たらない。
「くっ…マジかよ。あー、分かった。やめだやめ。これ以上は無意味だ。…そんで兄ちゃんはお嬢ちゃんより強いってか?」
「うん。お兄ちゃんには私、勝てないもん」
「はあ…まあやんなきゃ分からんか」
マナは、ギルマスにリフレッシュをかけてあげた。
「おお?!疲れが…その歳で聖魔法も使えるのかよ…よし!マナはCランクな」
「えー?妹はAランクのあなたよりも強いですけど?」
「悪いがギルド規定だ。10歳以下の子供は、最高Cランクまでだ。ただし、実力はAランクだと認める」
次はルードとの試合だ。ルードは魔法も使わずにギルマスを負かしてしまった。
こら、そこの観客、化け物兄妹は止めてよ。
「い…一応魔法も見せてくれるか?ギルドカードには魔法も使うと書いてあるし」
ルードも勿論無詠唱で、幾つか魔法を的に打って見せる。というか魔物は元々無詠唱だけどね。
「ルード…文句なしにAランクだ。お前ら、一体どんな生活をしたらそんなに強くなれるんだ?」
「レベル?」
「…何故に疑問形?まあいい。母親も強いと聞いたが、ギルドの仕事はしないのか?」
「母さんは、忙しいので」
「そうか。まあいい」
下半身が蜘蛛のルビー母さんはさすがに人前には出せないからね。
私だって、好きで強くなった訳じゃない。必要にかられての事なんだから。
マナ(6)
人族 孤児
レベル 91
HP 9715 MP 21187 力 1495
精神 15012 敏捷 1408 幸運 10171
特殊スキル
言語理解 超速自動回復 悪意感知 スマホ
魔力ブースト 祝福 常在戦場 健康体 守護
アクティブスキル
属性魔法 補助魔法 結界魔法 付与魔法
索敵 精密魔力操作 看板の魔眼 錬金術
鍛冶 創造魔法 テイム 気配隠蔽 投擲
威圧 身体強化 忍び足 立体機動 空歩
透明化
パッシブスキル
家事 解体 状態異常無効 念話 罠感知
超速回避 釣り 瞬脚 強力 慣性制御
並列思考 採掘 偽装 命中 体術 槍術
短剣術
ルビーの主 スカイの主 ルードの主
ユキの主
称号 転生者 神の愛し子
主神サマルトの加護 魔法神ルミナスの加護
愛の神ミローの加護 生命神ライナーの加護
戦神ドーバの加護 アカトリエルの加護
皇帝竜の祝福
私のステータス、壊れてる?
いつの間にか加護が増えていた。ライナー様の加護は、病気に罹らなくなるらしい。ドーバ様の加護は、いつでも、何をしていても即座に警戒できる。
私は本を読んでいたりとかすると周りの声が聞こえなくなるタイプだから、これは有難い。
美味しい食べ物の事を考えていても魔物に即座に対応できるって事だ。…いや、そこまで食い意地張っている訳ではない。…と、思いたい。




