最強の鎧とルビー母さん
ツリーハウスに戻って、引っ付いてきたユキとスカイをもふっていたら、ルビー母さんが私のリボンをしげしげと見つめた。
「やっぱり色が付いていた方が可愛いわね。付くかどうか分からないけど、花で染色してみようかしら?」
「本当?嬉しい!」
「マナの為だもの。私も嬉しいわ」
うん、今後は色付きの服も着られるかもしれない。
「でも、白も好きだから、無理はしないでね」
スカイは進化して強くなった。勿論炎系の攻撃をしたあとは水魔法をかけて消火させるけど、まだ水魔法のレベルが低いから、範囲攻撃をした時は私も消火を手伝っている。
(マナ!僕頑張ったでしょ?)
(水魔法も頑張ってね)
(頑張ったからもふもふしてー!)
しょうがない。もふもふするのは私も好きだから、消火が終わったので沢山もふった。ユキも甘えてきたので、もふもふしてあげる。
(甘えるのはツリーハウスに戻ってからにしなさい)
ルビー母さんがぐるぐる巻きにした獲物を持ってきたので、収納庫に入れる。
今日は、ハイオーク肉と大根で豚大根を作ろう。
ルードの寝床で、金色の鱗を見つけた。怪我をしたのではなく、単なる生え替わりだと知って、ほっと一安心。
(僕がそんなに簡単にやられると思う?)
(思わないけどルード、寝ぼすけだから寝てる間にやられたかと思った)
ルードが首を後ろに向けて肩を見る。薄くて小さな鱗が生えてきていた。
私もルードの体によじ登って見せてもらう。別に傷にはなっていないみたいだ。
(その鱗はマナにあげるよ。砕いて武器や防具に練り込めば、それだけでいいものが出来ると思うよ)
(ありがとう)
鱗は薄くて、日に透かすと向こう側が見えた。角度をずらすと遮るように見えなくなる。鱗自体は脆くて簡単に割れたけど、魔力を通すと途端に硬くなり、割れなくなった。
キラキラ好きのスカイが欲しがったので、割れた欠片をあげた。
あとは、今着けているミスリルの防具に合成してみよう。
試行錯誤を繰り返して、魔石の粉と一緒に合成して、錬成出来た。
鑑定 神竜の鎧 マナの魔力と皇帝竜の鱗で進化した鎧。絶対防御の力を持つ。
付与 サイズ自動調節 自動修復 魔力纏 素早さ上昇 気配隠蔽 クリーン 鑑定阻害
鑑定阻害は、鑑定して慌てて付けた。マントで鎧自体は隠れるけど、鑑定出来る人に見つかりたくない。間違いなく国宝級の鎧だ。
ツリーハウスはこの辺でも大きな木に作られているので、てっぺんからの眺めは良い。
夜に登ると、星が綺麗だ。赤と青、二つの月が並んで見えた。この間隔で季節が変わる。新年には二つの月が完全に重なって見えて、青い月の周りに赤い光が見えて、金色の光が降りそそぐ様子はとても神秘的だ。
今は秋なので、その様子が見られるのはもう少し先だ。
「ルビー母さんは、どういう経緯で私を育てる事になったの?」
「信じられないかもしれないけど、魔物の中でも知性の高い者は、信心深かったりするのよ。私もそう。こんな風に月の綺麗な夜に、私はサマルト様の姿を見て、その事に気がついたサマルト様が、私を神の使いにしてくれて、マナを託されたの。初めは人族の子供なんて育てる自信はなかったけど、何とかなったわね」
そりゃ、離乳食から自分で作ったからね。
「私はサマルト様に似ているの?」
「大きくなるにつれてよく似てきたわね。目の色も、赤ちゃんの頃は黄色だったけど、だんだん金色になって、そうしたらもうそっくりで、守り切れるか不安になったわ」
確かに、攫われたしね。
「魔素の高い所に住む魔物は強くなるけど、人もそうなのかしらね?」
違うとは言い切れない。空気中に含まれる魔素も森は濃いし、肉に含まれる魔素もそうだ。私の今の強さはきっとそのせいもあるんだよね。
「私は、ルビー母さんの娘だと思ってる。育ててくれてありがとう」
「マナこそ、娘になってくれてありがとう。今は主と従魔だけど、より近くに感じられるから嬉しいわ」




