6歳と王都
スカイへの祝福が決まった。水魔法だ。本人の希望ではなく、強制だ。理由は勿論、森林火災が怖いから。
「酷い。色々迷ってたのに」
「だって、嫌だもん。スカイの攻撃のせいで森林火災とか。炎系の攻撃を使ったら、必ず水魔法ね!」
「うう…分かった」
むしろ優柔不断に迷ってて助かった。
ちなみにユキに与えたのは、光魔法だ。人と同じように極めれば聖魔法を覚えるかどうかは分からないけど、私がいない時にユキが怪我で動けなくなるのは嫌だから。
6歳になった。誕生日を祝う習慣のないみんなはピンときてないけど、ルビー母さんは、大きめのマントをくれた。
早速サイズ自動調節と、防御強化、温度調節とクリーンの付与をする。
もうすぐ夏だけど、フード付きだから、雨が降っても大丈夫。ウォーターベアーの皮は、水を弾くしね。
プレゼントの代わりにユキとスカイは気の済むまでもふった。
「それじゃ、逆にご褒美じゃないか!」
「私にとって嬉しいからいいの」
「…僕の立場がない」
「だから、気にしなくていいって。またダンジョンに付き合ってくれればいいよ」
夜ご飯は、ケーキを作った。これもゲーム内で色々作れるようになった成果だ。従魔のみんなの口には合わなかったみたいだけど、私的には満足だ。
ルードがミノタウロスを狩ってきてくれたので、ステーキも併せて焼いた。豪華な誕生日になった。
王都は昔、ルードが行った事があるというので、亜空間移動で行けた。
王都への門の、長い列の一番最後に並ぶ。この列は、冒険者登録をしている人の列で、何の証明もない人達の列よりは進んでいる。
何時間も並んで、やっと順番が来た。ギルドカードを提示して、水晶に手を乗せる。
貴族やAランク以上の冒険者が通る門はガラガラなのに、随分な差だ。
王都はさすがに人が多い。すぐにルードがお子様抱っこしてくれる。でないと、迷子になりそうだ。
「門を通った先に亜空間移動しちゃだめなの?」
「そうすると、ギルドで依頼を受ける時にばれるんだ。今日は依頼を受けるつもりはないけど、僕もどこでバレるか分からないから、門は通るようにしているんだ」
ふうん。さすがに不審者対策はしっかりしているんだ。
「とりあえず図書館?」
「うん。買い物は後でも出来るから」
今日来ているのは、ルードと二人だけだ。スカイ達を連れてきても退屈させちゃうだけだからね。
図書館に行く前に宿屋を決めて、お昼ご飯を食べてから図書館に行く。
受付でメモ用紙も売っていたのでペンと併せて買って、地図とダンジョンの本を探す。
物語系も読みたいけど、高い入館料を払っているので、時間が惜しい。
他にも気になる本を見かけたけど、一日延長してまた明日来てもいいかな?
スマホ内のマップに記号を書いていき、対応した国名とダンジョンを書き出す。
これは、国によって使われている貨幣が違うからだ。ギルドカードに入っている分はどの国でも大体は共通して使えるけど、ギルドのない国もあるし、ギルドの地位もまちまちだ。
「マナのそのスマホっていうの、僕には只の黒い板にしか見えないんだけど、マナには何が見えているの?」
「嘘?!他のみんなにも一緒なのかな?」
「分からないけど、多分?」
うーん、魔道具としてもオーバーテクノロジーだし、仕方ないのかな。
(ここには地図が出ていて、今はダンジョンの位置とか印を付けているんだよ)
(なるほど。地図なんて気軽に見られたら、軍事的な脅威になるからね)
(なるほど?)
確かに現在位置も分かるから、便利過ぎるのかも?
スマホのスキルを持っていない人以外には見えないのかも?
次に見たのが秘境、魔境図鑑。
何と空飛ぶ島や、神々の住む山なんてのもあるようだ。
(因みに神々の住む山はウチだから。夢壊して悪いけど)
…神様に近い竜が住んでいるって事か…ちょっと納得。
(空飛ぶ島は?)
(鳥獣人の住む島だね。人族には到達不可能だから秘境なんじゃない?)
(へえ…あ、魔の森ってうちの辺り?)
(そうだね。多くの災害級魔物が住んでいる。ルビーもそうだね)
(…むう)
(因みにこの前マナがおいしいおいしいって食べてたサンダーイールもね)
確かにあれは強かった。
(そろそろ出よう、閉館時間みたいだから)
(え?もう?)
久しぶりの本で少し浮かれてたかな?
(じゃあ、また明日いい?)
(いいよ。付き合うよ)




