スマホの機能と、蜘蛛母さんの従魔化
半年が経ち、やっと寝返りのできるようになった私は、スマホを手にする事が出来た。
小さな手では扱いにくかったけど、電源はちゃんと入った。当然だけど、電波の表示はない。その代わりにバッテリーは100%になっている。
メールが届いているのに気がついて、開けてみた。
差出人はサマルトとなっている。
〈君のスマホは面白いね。せっかくだからこのゲームで作った作物は実際に取り出せるようにしてあげるよ。
それなら自活出来そうだし。君を育ててくれているデススパイダーは、君が望むならテイムしていいよ。
念話を使えば話も出来るだろう。丈夫な体を作ったから余程の事では死なないだろうし。
引きこもりもいいけど、私の世界は綺麗な景色も沢山ある。ポイントもレベルが上がれば取得できるようにしておいたし、楽しく生きてくれると嬉しいな〉
それは凄いな。早速ゲームを始めてみたけど、今までのデータは引き継げていない。仕方なくもう一度初めからだ。
設定が終わった私は、ゲームの中に引き込まれた。
ボロの家と農具もボロい。そして初期設定通りのカブの種を持っていた。だけど6ヶ月児に何も出来る訳はなく、出たいと念じたら、元の場所に戻っていた。
蜘蛛母さんが心配そうに紅い瞳をじっと向けてくる。
私は大丈夫だと言うように笑ってみせた。
ゲームはせめてハイハイが出来るようになってからだな。
蜘蛛母さんがいつもの皮袋を持ってくる。中のミルクは一向に無くなる気配がないけど、どうなっているんだろう。
鑑定 ミルク生成の皮袋 乳児が育つ為に必要な栄養素が入ったミルクが、永遠に出てくる皮袋。サマルト特製
おお!まさかの魔道具。サマルト様、ありがとうございます。
スマホを操作して、念話を100ポイントで取った。
(蜘蛛母さん、聞こえる?)
(マナなの?嬉しいわ。念話を覚えたのね)
(育ててくれてありがとう。名前は何?)
(マナが付けて頂戴)
それってテイムにならないのかな?…いいのかな?
(なら、ルビーはどうかな?綺麗な紅い瞳だから)
『ルビーのテイムに成功しました。経験値がシェアされます』
(テイムしちゃったけど、いいの?)
(いいわよ。神様に頼まれたけど、今はマナのお母さんになれて嬉しいんだから。従魔になったから、私のステータスも見られるわよ)
ならルビー、ステータスオープン!
ルビー (80) 神の使い マナの従魔
デススパイダー
レベル 97
スキル
蜘蛛糸 斬糸 猛毒 麻痺毒 糸拘束 爪攻撃
状態異常耐性 気配隠蔽 暗黒魔法 縮地
解体 暗殺術 念話
凄い。数値は見られないけど、凄い蜘蛛だったんだな。
私ももう少しスキル入れようかな?だけど、何故かスキルの殆どが赤字表記になっていて、取得不可能だった。
赤ちゃんに取れるスキルは無いって事かな?けど、魔力を扱える事に気がついた。まだ四属性魔法だけしか扱えないみたいだけど。
(ルビー、魔法の練習していい?)
(そうね…でも火魔法はダメよ?お家が燃えちゃうから。それと、眠くなったり具合が悪くなったりしたら止めるのよ?)
魔力操作は毎日使っていたので、基本は出来ている。
「うあー」
しまった。魔法名が言えない。けど、イメージだけで魔法が扱えた。
ウォーターの魔法は、私の手から水が出た。
ウォーターボールは、蜘蛛の巣の向こうまで水が飛んだ。
続けて、風と土魔法も試してみる。うん。問題なく扱える。火魔法はスマホのゲームの中で試してみよう。
ちなみにスマホの中の文字は、この世界の文字にすべて変わっていた。けど、言語理解のお陰で問題なく読む事が出来た。
なろうのサイトを開いて、お気に入りの小説も読む事が出来た。更新もされていて、続きも読める。嬉しい。
だけど赤ちゃんの体は活動時間が短く、すぐに眠くなってしまった。
『レベルが上がりました』
突然脳内に響いた声に、びっくりして目を覚ます。
ルビーが巣にかかった獲物を食べていた。ちょっとグロい。
設定画面を開くと、コール設定があった。更に開くと、スキル取得コール等、色々あった。マナはレベルアップのコールを切ってまた、眠りについた。