湖ダンジョンへ
ルードによると、ダンジョンは世界のあちこちにあるらしい。たいして興味なかったから場所は分からないらしいけど。
ダンジョン20階層のボスは、今回もあの亀だ。
ルードが飛び出して蹴りを放った!ら、あっさりと亀は今回は肉を残して消えた。
「今の何?」
「インパクトキックだよ。人化して使うのは初めてだけど、成功して良かった」
「…チートめ」
「え?」
「何でもなーい!年の功だね」
「年って…酷いな」
実年齢はずっと年上だけど、そのうち見かけ年齢は追い越すんだろうな。
次の階層は雨が降っているので、スカイも亜空間に引っ込んだ。ルビー母さんは大丈夫なようで、張り切っている。
ルビー母さんもダンジョンは初体験で、同一パーティーなら経験値が均等に入るとか、死骸が残らないでドロップアイテムだけ残るとか、はじめは半信半疑だったけど、小さくなめされた皮を拾って、ちょっと呆然としていた。
こういう場合、亜空間に入ったユキとスカイはどうなるんだろう?
経験値も数値で出る訳じゃないし、他のみんなには…鑑定の魔眼を持つルード以外には、ステータスを見る事ができない。
(食べたら美味しそうなのに、残念ね)
うーん、熊肉は臭いって聞くけど、どうなんだろう?
皮は多めに集めて、次の階層に進んだ。
多少湿気が多いけど、そこそこ地面は乾いていたので、二人を亜空間から出した。
(次、雨が降っていたら、マナの影の方がいいな)
(そうなの?)
(影の方がマナの魔力が満ちていて、心地良いから)
(ふうん?分かった。ユキも?)
「にゃーん!」
うーん?暗かったりしないのかな?まあ、本人達がそっちがいいなら、それでいいんだけど。
魔物は、1メートル位のアースワーム。伸びの良い皮と肉をたまにドロップしたけど、ミミズ肉は食べたくないな。他のみんなはつまみ食いしているけど、残ったら売却しよう。
25階層には、青空が広がっていた。地面には木々が生い茂り、草花もある。魔物の気配もそこら中にあるけど、魔物本体は…?
蔦が突然、伸びてきて捕まえようとする。慌てて短剣を振るい、蔦を切る。
良く見ると、植物どころか木も動いている。
魔力感知で見ると、そこら中魔物だらけだ。ただ、単体ではそれ程強くない。
でも火魔法が使えないと、トレントは苦戦するかもしれない。
花は瓶入りの蜜を落とすけど、トレントの木材は使い道がないので、売却決定だな。
瓶の中身は花の香りのする水飴なので、紅茶に入れて飲もう。
げ!いきなり水浸しだ!大人には膝レベルでも、私では腰まで浸かってしまう。
「マナは亜空間に入っててね」
「悔しい!」
ルードの亜空間に入ると、スカイとユキが出てきた。
服をドライで乾かして、二人をもふる。
(まさかこんなに深いなんて、罠だよね?)
スカイとユキは、顔を見合わせて、首をかしげる。
その反応は酷い。まあ…フロア全体の罠はさすがにないけど、小さい子は戦っちゃだめみたいじゃん?
ドロップアイテムだけ貰っても、嬉しくない。
それなりに大きな魚の魔物だったようだ。
次の階層の魔物は、ロックリザードで、とにかく硬い。ただ、お腹の方までは硬くないので、土魔法で転ばせて、戻る前に下側を突き刺す。
ドロップアイテムは、硬い皮か肉。あっさりした美味しい肉らしいので、ちょっと楽しみだ。
スカイは魔法が通じないので、空をただ飛び回っていた。
ここで夕ご飯の時間がきたので、今日は終了だ。
リザードって事はトカゲだけど、鑑定では美味しいって出てたしな…とりあえず唐揚げにでもしてみようかな?
亜空間移動でツリーハウスまで戻り、下味をつけて時空魔法から作った、時間が経ったことにする魔法をかける。これで肉に味は染みこんだはずだ。
ルビー母さんに手伝ってもらいながら唐揚げを作り、実食。
脂身が少ない肉なので、鶏肉よりも淡白だ。これなら素揚げでも良かったかもしれない。
家の近くにあった唐揚げ専門店の味には及ばないけど、そこそこ満足かな。みんなも美味しいって言ってくれたし、また作ろう。




