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お花見、そして…

 本編では最終回になります。あとは幾つか続編を書きたいと思います。

 レモンティーを水筒に入れて、準備万端!

 長かった冬がやっと明けたので、今日はみんなでお花見をする計画を立てていた。

 場所は、スーレリア王国の外れ。ルードのお母さん竜の住む山だ。黒竜さんも誘っているので、楽しくなりそうだ。

 ルードの妹も、大きくなったかな?


 亜空間移動で行くと、黒竜さんは既に来ていた。魔の森には生えない桜に似た花は、満開でひらひらと花びらが舞っている。

 

 ちっちゃな竜は…いない。ルードより大きな竜ならいるけど…金色だ。

「うそ!いつの間にか身長抜かれてる!」

 大ショックだ。

「そりゃ、竜だから」

「ルードだって、身長抜かれてるじゃん」

「あのさ。人化した姿で身長抜かれても、悔しくも何ともないから」

 ううむ。だよね。


(うむ。じゃが中身はまだまだ子供じゃ。ルードもすっかり大人になったの)

(母様)

(うむ。ルードと名を認める。認めるも何も、他の名はもう通らんじゃろ)

(そうですね。眷属になってからは特に、僕にはルードしか名はないと思っています)

 

 ううむ。ルードの名前はそういえば何でもいいって言われたから、適当に付けちゃったんだよね。まあ、本人が気に入っているならいいや。


「マナ、手伝って」

 今日は焼き肉をするつもりだ。黒竜さんにもミノタウロスキングの差し入れももらったし、ジンギスカンもたっぷりある。ミノタウロスキングは大きいから解体が大変だ。

「きゅきゅー!」

 子竜はまだ鳴き方が子供っぽい。美味しそうな肉に喜んでいるのかな?この時点で人化できたらどんな可愛い姿になるのかな。


 かまどを組んでプレートを乗せて、テーブルの上に材料を乗せていたら、綺麗な女性が手を貸してくれた。

「妾じゃ。この姿は初めてじゃな」

 うわ…凄い美人。お幾つかは知りませんが、年齢は関係ないのかな?


(はやくたべたいのー!)

「うわ、この声子竜ちゃん?」

「我慢するのじゃ。今日は焼いて食べるというたじゃろう」

「うーん、なら、モーモーのミルク飲む?」

(のむー!)

 コップで出して、これじゃダメだと思った。深いお皿にミルクを移してあげると、ペロペロ舐めて、あっというまになくなった。


(おいしー。もっとー)

 赤ちゃんだからミルクの方がいいかなと思ったけど、普通に肉食べるんだから、ジュースとかの方がいいのかな?

「これ、少しは我慢するのじゃ」

「色々沢山あるので大丈夫ですよ?ミルクとジュースどっちがいいかな?」

(じゅーす?)

「果物は好き?」

(さっきのがいいのー)

「じゃあこれで、あとは待っててね?」


「マナ様、そろそろ焼いても宜しいですか?」

「黒竜さんにまで手伝ってもらって済みません。好きなの焼いて下さい」

「マナ様、私の事はランスロットとお呼び下さい」

「黒竜さんの名前はランスロットって言うんだね?…あ」


 従魔、ではないが細くパスが繋がったのを感じた。

「マナ様…いずれ私が世界樹の守り竜から解放された暁には、あなたのお役に立ちたく思います。末席で構いませんので、宜しければ是非呼んで頂きたく思います」

 頼もしいけど、…いつの間にかこんなに好意を寄せてくれていたんだね。

「師匠、マナの一番は譲りませんからね!」

「勿論」


 お花見のはずだけど、やっぱり花より団子ならぬ肉だね。

 おろしのタレも焼肉のタレも多めに作ってあるから皆、それぞれ好きな方を使っている。

「うん。おろしのタレもさっぱりしてていいね。私はこっちの方が好みかな」

 い、いつの間にかサマルト様が混ざって焼肉食べてる!


「うん。玉ねぎも甘くて美味しいね」

 あ、みんなも気がついたみたいで、ちょっと引いてる。

「何か飲みますか?」

「マナが飲んでいるそれは?」

「冷たいレモンティーです」

 最近のマイブーム。アイスレモンティー。


「少しもらってもいいかな?」

「いや、新しく淹れますよ」

 たいした手間じゃないし、冷たくするのも魔法で一瞬だ。


「あの、サマルト様。何かありました?」

「いや?特には。楽しそうだったから混ざって焼肉を食べようかと思って」

 神様がそんなんでいいの?もしかして暇?

「いや、そこまで暇じゃないけど、マナの様子も見たかったし」

「今は…なんとなく上手くやれてると思います」

 たいした進展はないけど、お互いに特別な存在だと思えるし。


「そうみたいだね。マナ、みんなに加護を与えてごらん」

「いきなりですね」

 やり方は、なんとなく分かる。まずは眷属に与えてみよう。

 うん…でも見習い主神て何?

「そのままの意味だよ。うん。ルードならもうすぐにでもマナの副神として神格を得そうだね。ルビーも私の使いをやっていたからか、何とかなりそうだし、ユキも意識すれば変わってくると思う…スカイは、頑張って」


 希望者には私の加護を付ける練習にもなるのでどうするか聞いてみたら、全員欲しがった。どこまで加護が効果あるか分からないけど、運が良くなるっていう加護だから、その人の感じ方にもよるよね。


「エリーシャ、世界樹に引っ越す気はないかな?」

 ルードのお母さんの名前かな?

「妾が世界樹の守り竜になるという事なのかの?」

「神酒の泉は引っ越せるし、あちらの守りの方が大切なんだ」

「なる程のぅ。妾と娘であれば、どこからでも世界を感じる事は出来る。新しき主神にも末永く仕えよう」


「サマルト様…私で大丈夫なんですよね?」

「勿論。ここは私が手塩にかけて育てた自慢の世界だよ。マナも住んでいた世界だし、愛着もあるだろう?」

 うん。いい世界だと思う。モーモーの事とか幾つかやりたい事もあるし。


「サマルト様、私、みんなと一緒に頑張ってみます」

「うん。良かった」


 マナリアと呼ばれる世界に、新たな神が産まれた。

 その小さな女神は、食べる事が大好きで、そのお陰でマナリアの食文化も発展していく事になる。

 ただし、人見知りなので表立つのは副神だ。


 女神マナを支える神は、最終的には五人になる。その中でも副神とは特別な関係、仲睦まじくマナリアの発展に尽力していく事になる。



 

 



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― 新着の感想 ―
[一言] 作者様お疲れ様でした。 マナ達には此れからも楽しく幸せに暮らして頂きたいと願います。
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