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サマルト様と、マナの気持ち

 ツリーハウスに戻っても、ルードはまだ広場で昼寝していた。

 もしかしたら朝出掛けた時からずっと?冬なんだから、風邪は…引きそうにないな。


 あれから買い物に行ったり、ソーニャの出店している店を覗いたりと、夕暮れまで遊んだ。ポーラをメーダの町まで送ってから帰ってきたんだけど…。


「ルード、ただいま」

(んー!…あれ?マナが珍しくお洒落してる)

 いや、出掛ける時からこの格好だけど。寝ぼけてるな。

「あ、みんな戻ってきた」

 ユキは、口にシャドウオウルを咥えている。仕留めてきたのか。血抜きはまだしてないみたいなので、首を刎ねて蔓で吊り下げる。


 そういえば、今年はまだ干し柿も樽抜きも作っていなかった。作る気になれば一年中いつでも作れるんだけど、やっぱり冬の味だよね。

 今年からは焼酎も自分で作れるから、ちょっと多めに作ろうかな。


「マナ、久しぶり」

 後ろから声をかけられて、びっくりしたらサマルト様がいた。

 本当にいつも唐突だな。

「ええと…もしかして、私がうっかり死んじゃった時もお会いしましたよね?」


「おや。思い出したのかい?」

「ああ。やっぱり」

「マナ、立ち話も何だし、入って頂いたら?」

「あ。ごめんなさい。気が利かなくて」

 マナはすぐに亜空間を開く。

「いやいや。素晴らしい空間だね」

 生活感のある素晴らしい空間。マナとその眷属の優しい心で満ちている。


「まず今回の事。本当にありがとう。本来なら我々で解決しなければならないのに」

「いえ。ドーバ様にもお世話になりましたし」

 散々引っかき回してくれたミロー様にはあんまり言いたくないけど。

 お陰で未だに困っている。絶対にばれたくない気持ちだから。


「あはは。ミローにも悪気はないんだよ」

「本当に、どう接していいか悩んでいたんですけど」

 ルードにはまだ、からかわれていたのが私だとは話してない。でもせめて、本命の彼氏がいる事は話してあげるべきかな?


 サマルト様は、美味しそうに出されたお茶を飲んで、ふて腐れてるルードと、内心焦っているマナを見る。

「本当はマナにはそろそろ私を手伝ってもらいたたかったんだけど、今のマナには辛そうだから、どうしようか」

「お腹が空いて辛いにゃ?」

「今日遊びに行って何かあったの?」

「何もないよ。スカイ。夕ご飯の用意、手伝わないと」

「にゃーが手伝うにゃ。マニャはここでお話するにゃ」


 サマルト様…ルードに気付かれるような事言わないで下さいよ…。

 ミロー様があんな事しなければこんな気持ちに気がつかないで済んだのかな?…ううん。いずれは自分で気が付いたかも。


「他のみんなも、もし地上に大切な者がいるなら、話してほしい。マナの眷属としてマナを助けてほしいけど、大切な何かを我慢してまでって訳にはいかないからね」

「私はマナ以上に大切な者なんてないわ。だからどこにでもついて行きます」

 ありがとう、ルビー母さん。

 

 テーブルの上に、ご飯と、色とりどりの一口サイズのおかず。

 手巻き寿司か。これならサマルト様が好きな物が分からなくても大丈夫だね。

「にゃーもマニャが一番にゃ。スカイはきらきらが一番にゃ?」

「きらきらはどこでも作れるよ。僕もマナについて行く。でも…僕でもマナの役に立てるのかな?それが心配」

「うーん。とりあえずもふもふしてるし、あとは頑張れば?」

 サマルト様、微妙過ぎるフォロー。

 手にするおかずは肉より魚なんだ。しかもこの世界の物じゃない。珍しいからかな?


「他のみんなも…それでマナが辛いって事は、マナに大切な人が?いつの間に?どこの誰?付き合ってるの?」

「ルードには言われたくないよ!」

「ルードの大切…黒竜さんとか?」

「ぶっ…」

 こらスカイ!思わず変な想像しちゃったじゃないのさ!

「師匠はきっと、喜んで送り出してくれるよ。てか焼き鳥もおかずに増やされたい?」

「だって、僕には他がいないから分かんないんだよ!」

 確かにスカイにはそういうのってありそうもないな。勘違いからならともかく。


「ルードは…恋とかしないの?」

「竜は他の種族と違って種族的に少ないから、番は考えないな」

 種族の壁は大きいな…

 私は、ルードなら姿関係なく好きだけど。

「ねえマナ、前に聞いたアルトとかいう同級生?それともまた変な奴に狙われた?」

「私の事はいいの!」

 傍にいられればそれで満足だって思わないと…ルードにいなくなられたら辛すぎる。


「もう少し待ってみようか。黙っていても変わらないよ、マナ」

 サマルト様酷い。解決する気も私にはないのに…



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