久しぶりの友達
約束の日。ルビー母さんに髪をまとめてもらって、王都に出掛けた。
成果は…微妙。ないとは言えないけど、普通に成長しただけかもしれない。
「ごめん、遅くなった?」
マナが一番最後みたいだ。
オープンテラスのカフェというよりはお食事処に、懐かしいみんながいた。
「いや、まだ早いくらいやで。しっかし…なんや印象変わったな」
「身長伸びたから?」
「そりゃみんな一緒や!」
「父がマナに世話になったと言っていた」
「それはお互い様だね。ジーナって、実は三年位年齢誤魔化してない?」
元々すらりと高かった身長が更に高くなってる。ユキより大きい。て事は160近いんじゃないかな?
「やめて欲しい。あたしはこれがコンプレックスなんだから。むしろマナが羨ましい」
「そうだよ!マナちゃん、マナちゃんは綺麗になったよ」
「って、ポーラには言われたくないねん」
あ、ここに仲間がいた。
「なんやマナ、うち見て安心するとか酷いやろ!」
「あはは。ポーラは大人っぽくなったよね」
「それは店番とか接客しているからかな?」
「それはうちも一緒や!…ははーん。さてはええ人でもできたんちゃう?」
「ええっ?…そんなんじゃないってば」
「怪しいな」
「もう、…よくお店に来てくれる人で、この前一度だけ一緒に食事には行ったけど…お付き合いしている訳じゃないし」
「ごふっ…。じ、ジーナは?」
「あたしは一応婚約者がいるが、家同士で決めた相手だから、そんな甘ったるい関係ではないな。ソーニャは…その様子だといないな。マナは?いるだろう?」
「な、何で…」
「勘だな。…で?」
「私が好きなのはお兄ちゃんだよ」
「なんや、兄ちゃんかいな…」
さらっと言ったけど、間違いじゃない。そしてさらっと言った方が誤魔化される。
「子供が父や兄に憧れるのは珍しくないな」
そうそう。
「えー?憧れなの?」
「兄ちゃんに惚れてどないすんねん。てか、イケメンでスーパーな冒険者で、おまけに若いときたら兄ちゃんもてるんちゃう?」
確かにモテてた。おネエ様に。
「そうだねー。身長もまた高くなったし」
ルードがその気になればの話だけど。…私も種族が違う事には変わりないんだよね。
「結婚とかはしないのか?王が認める冒険者なのだろう?」
「どうなんだろうね?」
むしろ私が聞きたい。
「何か、あんまり恋愛とかに興味はないっぽいよ?」
「勿体ないな。マナにはそういう話は来ないのか?」
「え、私?」
「そうだよねー、新しいダンジョン発見したんだもん」
「それに、テイム不可能と言われているゴーレムもテイムしたと聞いたし」
「なんや、話題に事欠かない活躍ぶりやな。ゴーレムなんて、本当に言う事聞くん?」
「むしろ忠実過ぎる位だよ。わがまま言わないし、主第一だし」
というか、それは個人情報じゃないのかな?噂になっちゃったからかな?
亜空間移動も知れ渡ってるし。
「うちの商売もマナの教えてくれたマヨネーズで儲かってるし、ちょい拝んどこ」
「やめてよソーニャ。マヨネーズはソーニャが頑張ったから売れたんだよ?私じゃ絶対に人に売るとか無理だもん」
「そういう所、マナちゃんは変わらないんだね。ちょっと安心した」
「そうだな。マナが凄くなりすぎて遠い存在になったと感じた」
「例えどうなってもみんなが友達な事には変わりないよ?他に私の友達はいないんだから、そんな風に言われたら悲しいよ」
「すまない」
「マナちゃん、高ランク冒険者だと指名依頼なんかもあるんでしょう?無理してない?」
むしろ神様依頼が大変。
「お兄ちゃんも母さんも強いから、大丈夫だよ。従魔のアカツキも強いから」
「ゴーレムか…強いのだろうな」
「兄ちゃんとどっちが強いん?」
「素早さはお兄ちゃんの方があるけど、どうかな?どっちも馬鹿力だし」
竜になったルードは、文句なしの最強キャラになるけど。
「だがマナも、そのゴーレムを従えたのだから、更に強くなったのだろうな」
「どうかな?従えたっていうよりは、パスがつながったんだよ」
「そういう事もあるのか?」
「魔物だって心はあるんだから、ありだと思うな。でも、テイムのスキルがないと危険だから、魔物に攻撃を躊躇っちゃダメだよ?」
「躊躇うとかないよ。魔物は怖いもん」
「せやな」
むしろ私は、人間の方が怖い。魔物は良くも悪くもまっすぐな殺意しかない。
勿論悪い人ばかりじゃないのも分かっているけど、人の悪意は怖い。
私の臆病な所は直らない気がするな。




