亜竜退治終了
ミロー様から、闇竜の情報を得た。ついでといった感じだったから、一瞬は?とか思ったけど、これで最後だから、頑張ろう。
「そうね。これで最後ね。その前に、ワタシとマナちゃんだけで、オンナ同士の話しをしましょう?」
十中八九ルードの話だと思うけど、神様だからって無理やり連れて行こうとしたら絶対許さない!
ミロー様の亜空間は、何というか、予想以上の派手さだ。目がチカチカする。
「ミロー様、大好きならやっぱり相手の気持ちを尊重した方がいいと思います!」
同性だとか、その辺は置いておいたとしても、そこは譲れない。
「その前に教えて、ルー君はマナちゃんにとって特別?」
「わ…私ですか?!えっと…多分?」
「多分じゃないわよ。今のマナちゃんはキラキラしてるもの。恋してる証拠よ」
キラキラって、精霊がくっついてるからじゃなくて?
「ワタシにルー君とられちゃうかもって焦らせて、煽ってごめんなさいね」
「え…っと、それってルードをからかっていたんじゃなくて、からかわれていたのは私なんですか?」
「そういう事。ワタシは愛の神だもの。吹き飛んじゃうようなささやかな気持ちでも、自覚させれば絶対に面白くなるから」
「えええ…」
「実際、ルー君はいいオトコだし。あ、心配しなくてももうルー君にちょっかいかけないから。もうワタシ、カレシいるから」
「そ…そうですか」
BがLの世界ですね分かります。でもリアルでもあるとは思わなかったですはい。
「マナちゃんにもそのうち紹介してあげるわ。でも惚れちゃダメよ?…まあ、お子様なマナちゃんには刺激的な人だけど」
うん。惚れるはないな。
自分の亜空間に戻ると、とっくに寝ていると思っていたルードが起きていた。
(大丈夫?マナ。変な事されなかった?)
(うん。大丈夫。明日も頑張ろうね!)
今はちょっと気恥ずかしい。
大きなベッドの真ん中に潜り込んで、もふもふに顔を埋めた。
「マナちゃん、闇竜は闇魔法に耐性があるから気をつけて」
え…っと、カーズが効かないって事?
「でも、魔力ブーストを使えば多分大丈夫。頑張って」
ただでさえ強いんだから、再生なんてさせない。
山中の地底湖に住み着いた最後の亜竜は、邪神へと進化しようとしていた。
魔力を限界まで込めた呪いは届く前に霧散した。
ミロー様の杖から放たれたピンクのキラキラが、闇竜から力を奪う。
あの光は、ドーバ様が大剣に纏わせていた光と同じ物…私は、あの光を知っている。私の中にも同じ力が…
マナの金色の光が、闇竜を貫いた。闇竜は光の粒になり、消えていった。
ああ…この力は、自動回復しないんだ…地底湖冷たい!でも体に力が入らないよ…
気がつくと、亜空間の中の、仕舞ったはずの炬燵の魔道具の中にいた。
「うーん…炬燵はまだ早いよ、ユキ」
「今炬燵の呪いに捕まっているのはマニャだにゃ!」
「よかった。体温戻ってきたみたいね」
マナは、炬燵から這い出した。ら、ルードに舐められた。力の入らなかったマナは、その勢いで倒れた。
(ごめん!マナ、大丈夫?)
「神力は、地上だと戻るのが遅いのよねー。心配しなくても、明日には元通りよ。加減して使った方がいいわよ、マナちゃん」
「あれが、神様の力なのか…」
加減なんて、どうやるか分からないけど。
炬燵よりも、寝るならベッドの方がいい。
「ユキ、一緒に寝る?」
「分かったにゃ。ちょっとだけお昼寝にゃ!」
「そろそろワタシ、帰るわね。マナちゃん大丈夫そうだし」
「ありがとうございました」
「マナちゃん、またね!」
ウインクして消えた。
「はあ…思ったよりあっさり帰ってくれて良かった」
「ルードは連れて行かれちゃうと思ってた」
「何でそれを残念そうに言うんだ?鳥」
あーもううるさい!
「ルードもスカイもいい加減にして頂戴。マナがゆっくり眠れないでしょ?」
「!」
ルードがユキの反対側に入ってきてびっくりした。でもすぐに、癒しの聖域の発動で、ふわふわと暖かい気持ちになる。
(先超されたー!…ピィ)
(スカイは狩りに行って頂戴。ハイオークでいいわ。そろそろ新しいベーコンが欲しいし)
(分かったよ。…もう、一番ルードが食べるんだから、ルードが狩りに行けばいいのに)
次の日起きてきたマナは、収納庫の中を見て焦った。
しばらくまともにスマホ農園に入れてなかったから、色々と…本当に色々と、足りない。
「アカツキー!手伝って!」
(承リマシタ)
マナは、スマホの中に消えた。




