表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
234/242

帰ってきたミロー様と光竜

 亜竜討伐も、残りあと二匹だ。ルードは先に見つけて倒してしまえば心の平穏が戻ってくるからと、張り切っている。

 張り切って寝るっていうのも変だけどね。


「ミロー様がいなくなってもう三日ね。忙しいのかしら?」

 存在感ありまくりだっただけに、いなくなるとちょっと寂しい。

 ルードもいつもの場所でずっと寝たままだ。


(見つけた!亜竜だ!)

「本当?ゲートは開いている?」

「ちょっと遠いけど…その前にご飯」

「はいはい。ずっと寝てたもんね。すぐ用意するね」

 まるで三日分を取り戻す勢いの異次元腹に、このまま進めていいのかなとも思う。

 まあ、最悪出荷箱に入れれば神様の所に届くしいいよね?


 午後から、谷間を上流に向かって進む。途中に生えているキノコや山菜を採りながら、緊張感の欠片もない。

 スカイに飛んで行ってもらえば速いけど、こういうのも、ピクニックみたいで楽しいし、採取もできるから一石二鳥だ。


 この辺には強い魔物はいないのか、ゴブリンやコボルト、ホーンラビット位しかいない。まあ、私達には却って珍しいけど。

 まだ先は長そうなので、この辺で一旦戻ろうという話になったけど、どうせならご飯は現地調達する事にした。

 石でかまどを組んで、解体したホーンラビットを塩コショウでソテーするだけ。

 学校のみんなでキャンプした時を思い出すなあ。

 簡素な食事だけど美味しく感じる。成長期のルードには足りなかったみたいで、適当に捕まえて食べていた。


 テントの用意はないから亜空間でいつものように寝た。

 次の日も、ひたすら上流へ進む。

 上流の開けた場所に、光竜がいた。呪いの発動と、光竜のレーザー光線のようなブレス攻撃がほぼ同時だった。

 攻撃は気にせず前衛の三人には光竜に向かってもらう。今回はアカツキも出した。

 人の気配はないので、今回はユキにも支援をお願いした。

 精霊達の支援で、アカツキもかなり素早く動ける。

 

 光竜は自動回復しないのが不思議なのか、傷を気にする素振りを見せるが、それはルビー母さんやルードには隙にしかならない。

 他の竜よりも硬い鱗に、今回は苦労したみたいだけど、何とか倒す事ができた。


「まあまあ!ちょっとだけ遅くなっちゃってごめんなさいねー!」

 まだ竜姿だったルードが項垂れる。

「ルー君、疲れちゃった?ワタシがなでなでしてあげるから」

 光竜の死骸を回収して、みんなで亜空間に入った。

「ミロー様、お疲れ様です。まずはお茶でも飲んで下さい」

 ミロー様が行くと、ご褒美じゃなくなっちゃうし!


 マナが鱗用のブラシを出すと、ルードが尻尾をバタバタ振って喜ぶ。

「尻尾は危ないから振らないでね…場所の特定も、退治もご苦労様」

 もう、黒竜さんと大きさ変わらないんじゃないかな?長くなったな。頭から尻尾まで何メートルあるんだろう?

 まあ私も、誕生日から少しは伸びたし!


「マナちゃん、ワタシにもやらせて?」

「いえ、大きいから大変ですよ?それに私なら慣れているし」

「あらマナちゃん、ワタシに譲ってくれないの?」

「えー…本人が喜ばないとご褒美って言えないと思うんですよね!」

「ふう…ん。その独占欲は、主として?」


「独占欲っていうか…労ってあげるなら、私がやらなきゃと思って」

「労うなら、眷属全てよね?」

「そう…ですね」

「次はにゃーの番!」

(えー、マナにブラッシングして欲しいな)

「ごめんね、ルード…また後で」

 もうユキのブラッシング始めちゃったし。


 ユキをもふもふにして、ルードの方を見ると、前足に顎をのせてふて腐れている。結構態度で丸わかりなんだよね。

 そして私も、どうしてか結構苛々してる。

 正体不明の苛々に、スカイの羽が引っかかったまま引っ張ったから、羽根が抜けてしまった。

「ごめんね、スカイ」

(マナ、どうしたの?何か変だよ?)

「分かんない。私も変だと思うけど、どうしてか苛々する」

 ルードは見ての通り竜だし、人化しても私にとってはお兄ちゃんで…。


「マナ、夕ご飯の用意手伝ってもらえる?」

「はーい」

 今日はポテトとマカロニのグラタンだね!うん。ベーコンも入れよう。

「マナ、ルードの事、特別だって思う?」

「え?…正直、よく分からないよ。種族だって違うし、好き…なんて今まで考えた事もなかったもん」

 う…言葉にすると恥ずかしい。

「そんな事言ってると、ミロー様にとられちゃうかもよ?」

「ルビー母さんは平気なの?前に番の話した時は嫌がっていたじゃない」

「それはマナの気持ちを無視していたからよ。平等よりも、マナの気持ちの方が大事よ」

「私の気持ちか…どうなのかな?」

 二度目の人生だけど、そういう経験は全くないからな。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ