氷竜と、気持ちの変化?
レスティアの山中で竜の姿を見たと、ギルドに情報が来た。
簡易転移装置の手紙を見て、行く事にした。
「ミロー様も行かれるんですか?」
戦えないんじゃ?
「大丈夫よ!ワタシは神様よ?危険はないわ!応援してあげるから」
気楽だな。あ、ルードに守ってもらいたいとか?
とにかく、レスティアに向かった。
雷竜は、絶えずその身に雷を纏っていた。マナの呪いで、再生能力を封じる。
ルード達が斬りかかる前に、マナがマジックブレイクで纏った雷を消す、と同時にルードの爪が雷竜を切り裂く。
ルビー母さんのダークソードが、爪で切り裂いた所に深々と刺さる。
ユキの精霊達が雷竜に挑もうとする冒険者達を惑わした。
「キャー!やったわ!さすがルー君強いわ!」
ルードはげんなりとする。
「ミロー様、回収お願いします」
「分かっているわよ!んもう。ちょっとはこの感動に浸らせて」
いや、ミロー様くどいようだけど、何もしてないから。
今回はアカツキを出す暇もなかったな。
ツリーハウスに戻ってチョコレートケーキをみんなで手作りした。
「ルミナスが知ったら泣いて悔しがるわね!」
「え。そんなにですか?ていうか、お菓子を手作りしたりしないんですか?」
「イメージだけで再生できるんだけど、やっぱり違うのよね。自分で使った魔力を自分で回収するような物かしらね?」
よく分からないな…それともお菓子作りする暇もない位忙しいのかな?
でもサマルト様は私の欲しい物分かってくれたり、看破した物も分かってくれてるよね?
「ええー!…んもう。仕方ないわね!」
「どうかしたんですか?」
「氷竜が見つかったそうよ!さっさと向かってって。じゃないと、人に見つかるって」
作りかけのチョコレートケーキを収納庫にしまう。
「寒い所だから、マント位羽織った方がいいわよ!」
ミロー様は寒くないのかな?はだけているせいで、素肌が見えてるんだけど。
向かう場所はダスカー。ミグの実やぐにぐに金属が採れる国だ。
現地に飛ぶと、丁度目の前に氷竜がいた。慌てて下がりつつ、呪いをかける。
ブレスは、ミロー様の魔法が弾いた。多少とか言っておきながら展開は早いし、強度も問題ない。
神様だから当然なんだけど、素直に感謝できないのは、どうしてかな?
ルードを独り占めしているから?別にルードの所有権をどうこう言うつもりはない。ルードも神様相手では拒否しきれないのだろう。
「マナ!」
尻尾の追撃が迫る!マナは大きく横に飛んで逃れた。
いけない、集中しなきゃ。
スカイが回復魔法をかけてくれる。
「私は大丈夫だよ?」
「そう?何かボーッとしてるみたいだったから。調子悪かったら言って」
ルードのホーリーブレスが氷竜の頭を消し飛ばした。
「にゃー、早くするにゃ。人が近すぎて認識阻害が上手く働かないにゃ」
ミロー様が氷竜を回収すると同時に亜空間に飛び込んだ。
「一旦戻って死骸を置いてくるわね?マナちゃん、少しの間だけルー君返すわね」
「返すって…私の物じゃないけど」
「はあ…一体何なんだ。あの人は」
「神様に好かれるのは名誉な事なんじやないの?」
「ならその名誉、スカイに譲ってやるよ」
「そ…それは遠慮しておくよ」
「疲れたよー、マナ」
「…うん。でもルードも恋愛について考えた方がいいと思うな」
「え?ミロー様の事?…ちょっとマナ、酷すぎだよそれ」
「違うよ…ちゃんと好きな人がいないから、きっとからかわれているんだよ」
「僕はマナが好き」
「主だからね。でも主と眷属は、家族みたいな物だと思う。まあ、血が繋がっているってだけで信頼崩壊してる家族もあるけど」
「僕の気持ちは違うって事?」
「多分ね。…私も違うかもしれない」
「え?」
「何でもない!」
すごく似てる…でもちょっと違う。でも違う物とも言い切れない。
分からない。




