突撃!ドーバ様
カニチャーハンをつまみ食いしながら、水竜の事を考える。
あの時、看破の結果はこう出た。
看破 水竜 九頭竜より生み出された亜竜の一体
私の看破は、サマルト様に知られるようになっているのかな?じゃないと新しい食べ物が増えないと思うし。
九頭竜が何かは分からないけど、普通の亜竜とは違ったのかもしれない。じゃないとわざわざ取りに来たりしないよね。
また邪神とか出たのかな?でもルードは驚いてもいなかったから、普通の亜竜だと思ったのかもしれない。
むう。分からない事をぐだぐだ考えても仕方ないのかな?
コンロの火が止まった。イエローフィッシュの生姜煮完成!
うん。美味しい。さっきのカニチャーハンと合わせて出荷箱に収める。
(主、畑作業完了シマシタ)
「ご苦労様、アカツキ」
うん。料理図鑑も大分埋まってきた。いずれは全図鑑をコンプリートしたいな。
鉱石も、アカツキのお陰で随分たまったから、この際オート作成出来る物は、全部しちゃおうかな。
夕ご飯前に戻って、生姜煮の一品を加える。
「ね、ルード。昨日の亜竜は知ってた物なの?」
「まさか。だってマナに泳ぎを教えてもらうまでは泳ぎ方なんて知らなかったし」
「でも、美味しいって知ってたんだよね?」
「僕の鑑定では、こう出たんだよ。
鑑定 水竜 海竜の亜竜種 美味
だから美味しいって言ったんだけど、マナは違うの?」
「違う…じゃあ、九頭竜って知ってる?」
「何それ?昨日の水竜と何か関係あるの?」
「水竜は、九頭竜が生み出した一体。って出たんだよ」
「鑑定は、相手が偽装してると見抜けない場合がある。けど看破は、鑑定の上位スキルだからそれも難しい」
「ふうん…でも九って事は、まだ似たような竜がいるのかな?」
「さあ…どのみち普通の冒険者に倒せるとは思えないな」
「Aランクでも?」
「どうかな…同じAランクでも差はあるだろうし。亜竜関係の依頼に関しては、情報貰えるように交渉しておくよ」
脅威としてなら多分、ブラッディースパイダー位かな。Aランクのパーティーでなら、いけるかな?ソロじゃ無理だね。
(ピエッ!マナ!大変だよ!)
「どうしたの?スカイ」
(凄い人来てる!)
凄い…人?この魔の森奥地に?
亜空間から出ると、見覚えのある赤い髪。
「ドーバ様?」
「おう、マナ、しばらく厄介になっていいか?」
「えっと…どうぞ」
亜空間に招き入れると、みんな唖然としている。
「お、煮付けか?旨そうだな」
「ど…どうぞ」
「んな畏まる事はないぞ?ちょっと長くなりそうだし、気楽に行こうや。それに俺は元人族だし、堅苦しいのは苦手なんだ」
イエローフィッシュの煮付けを持ってソファーに座り、早速食べる。
「おお!いつも思うが旨いな」
「いつも?」
「知ってるか?そのスマホ内の出荷箱は、神の世界に通じているんだぜ?」
そういえば、そうかもって思った事あったっけ。
「じゃあ、一食分じゃ足りなかったですかね?」
「いや、俺らは基本的に食事は要らないんだ。まあ、いわば娯楽だな。ルミナスなんかは甘い物を好んで食べてたな。俺は酒が一番だな」
うーん。図鑑コンプリートのはずが、思わぬ所で役に立っていた。
「武器やアクセサリーはどうなるんですか?」
「そいつはダンジョン行きだな。面白いのは、こっちでも色々研究してる」
面白いのなんてあったかな?
「じゃあ私が作った物を拾う場合もあるんですね?」
「いや、この世界に来るとは限らないんだ。サマルトの奴、潰れた世界なんかもやたら引き受けるから、管理する世界が増えてしょうがない」
そういうものなのか。
「マナと眷属達がこの世界を引き受けてくれれば俺達も少しは楽になる」
「え?それって冗談じゃなかったんですか?」
「まあ、いきなりは無理だから、俺達も手助けするから安心しな」
えええー。
「あの、ドーバ様が来られたのは、九頭竜に関係ある事ですか?」
「おっと。ちゃんと言っとかないとな。九頭竜本体は、邪神だ。そこから生み出された亜竜は奴の配下だな」
「一応冒険者ギルドで竜の情報を集められるようにしようと思ってます」
「おお。助かる。今回はルミナスが忙しくて来れないから、お前達もサポートしてくれると助かる」
「九頭竜と戦う前に、ちょいと稽古をつけてやるよ。マナは魔法でサポートな」
「にゃー達もやるにゃ」
「んー、俺は魔法は得意じゃないんだ」
「私も前線で戦います」
「そうだな。ルビーもいてくれると助かる。マナは呪いの魔法をかけてくれ。マナの暗黒魔法はかなり進化しているから、レジストされる事はないだろう。ユキは精霊にサポートしてもらってくれ。スカイは…どうする?」
「僕…役立たず?」
「いや、回復要員だな。それとアカツキも出してくれ」
(承リマシタ)
戦神様と一緒に邪神退治か…前にも出たよね?邪神。
「ドーバ様、邪神て結構生まれたりするんですか?」
「神より多いな。神格を得た者がその世界の主神が認める者でないと、邪神になる。神の力で界渡りをして、狙われた世界が気がつかない内に邪神に滅ぼされる事も結構ある」
うぬう…怖いな。
「マナは運がやたらいいからそういった輩を見つけてくれて、助かってるよ」
あんまり嬉しくないけど、見つけられなくてこの世界が滅びるのは嫌だな。
私ともふもふ達は魔法担当だから、ちゃんと練習しよう。
呪いの魔法はあんまり使ってないけど、ダークソードはかなり使っているから暗黒魔法のレベル自体が上がったのかな?




