海へ
黒竜さんと一緒に海に来た。
私と来る前にルードに教わっていたらしく、あっさり泳いでしまい、ちょっと残念。
もっと残念なのは、去年の水着が全然きつくなってない事。
サイズ自動調節は付いているから、仕方ないよね!自動調節の範囲内に成長が収まっているって事で。
多少伸びても、体型が変わっても極端に変わっていなければ、そのまま着られるんだから無駄にならないで済むって考えよう。
ルビー母さんとユキは、投網を打って魚の魔物を捕まえている。
この辺には人の姿も見えないので、ゆっくりと過ごせる。
スカイも頑張って泳いでいるけど、魔物に対応できていない。
噛みつかれたりしてるけど、それはそれで楽しそうだ。
勿論マナは蟹や海老狙いだ。ルード達も探してくれてるけど、獲物を食べながらだから、真剣味が足りない。
あ、壺タコ発見!
サクッと倒して収納庫へ。視覚強化も使っているから、ブラウンガザミも見逃す事はない。
うおっと!後ろから海老に奇襲をかけられた。2つメートル位ありそうな海老で、鋭い爪を持っている。
私の銛使いも上手くなっているけど、銛のスキルってないんだよね。
よし!ゲットだ!
看破 キラーエビー 中型虫系魔物。身は弾力があり、歯応えがいい
オヤジギャグか!なんて不憫な名前の海老なんだ。私が美味しく食べてあげよう。
何か、どぎついピンクのまだら模様のキモいのが岩場を這っている。
看破 ウッシー 毒持ちの為食用不可
うん。見るからに毒ありそうな見た目だよね。
クリという名のウニも沢山見つけた。
うわ…イソギンチャクっぽいけど、見た目派手だから毒持ってそうだな。触手?も異様に長くて、小魚があっさりと捕まっている。近づかないようにしよう。
のんびりと泳いでいたバブルフィッシュも捕まえて、蟹系も随分たまってきた。
スカイはいつの間にか釣りしているし、ルビー母さんとユキも、波打ち際で遊んでいる。
ルード達は、随分沖の方まで行ってるみたいだな。
マナはボーンフィッシュの群れを見送りながら、さらに海底へと潜っていく。
普通なら酸素ボンベとか潜水服とか必要なのかもしれない。だけど危機感は全く無かった。勿論魔物が沢山いる訳だから、ちゃんと警戒はしてるけど。
陽の光が届かないから、辺りは暗い。でも暗視のお陰で、ちゃんと見えている。
おお!でっかい蟹だな。
とりあえず銛で突くけど、思った以上に甲羅が硬い。
銛にダークソードを出して関節を狙う。一本切り離したけど、再生持ちみたいだ。
蟹系に、あんまりホーリーとかの消滅系の魔法は使いたくない。魔石が一緒に消滅する恐れがあるからだけど、まあいいか。魔石は結構余っているし。
目の近くをホーリーで貫いたら、やっと活動停止した。
ハサミだけじゃなくて足先でも攻撃するから驚いたよ。
看破 ビックレッドクラブ 鋭いハサミと爪、硬い甲羅で他者を圧倒する。美味
ふふふ。期待しちゃうよ?鍋って季節でもないから、しゃぶしゃぶとか美味しそう!
蟹取りに夢中になっていたら、ルビー母さんからお昼ご飯にしようと、念話が届いた。
今日は、サンドイッチを沢山作ってきた。カツサンドや、ハムカツサンドがメインだけど、苺と生クリームを挟んだおやつサンドもある。
あれ?思ったより減らない?
「どうしたの?ルード。毒魚食べてお腹痛いの?」
「ううん。シャチザメ食べたら流石にお腹いっぱいで。とっといて?後で食べるから」
え!まさかあんな大物丸ごと一匹?ルードの身長と変わりない位に大きいのに!
怖ろしい異次元腹だな。
「その他にも食べてますからね。成長期の食欲は怖ろしいですね」
あはは。まだルードは長くなるんだね。その身長、10センチでいいから分けて欲しいよ。
「にゃーはこんなの見つけたにゃ」
ん?カタツムリ?
看破 シーデンデン 海に生息し、岩場に張り付いている。一応食用可
「うーん。味には期待しない方がいいかも?」
ていうか私は要らない。エスカルゴも食べた事なかったし、カタツムリって考えたら食べる気なくすよね。
「一つ食べてみるにゃ」
ユキがあっさりと口に入れる。
「うにゃ…ゴム食べてるみたいにゃ」
ゴム…え?ユキ、ゴム食べた事あるの?
「味は海の味にゃ!」
「そ…そう」
「ルード、シャチザメ見つけたら、収納庫にも入れておいてね?」
「さすがに二匹は無理だよ。食べきれない」
いや、料理に使うから言ってるんだけどね。
「シャチザメなら私の収納庫にも入っていますよ?美味しい料理にしてくれるなら、分けて差し上げますよ?」
「もし狩れなかったら、お願いします」
海底ばかり探っていたら、他のを逃がしちゃうか。うん…迷うな。私はやっぱり蟹とか海老を見つけようかな?




