レスティア図書館
レスティア図書館で、錬金術に関する本を探そうと思ったら、1階の一部以外は全部そうだと言われて唖然としてしまった。
その中でも分類は棚の端に付いている板に記されている。3階の奥の部屋は秘蔵書なので普通は立ち入り禁止だけど、紹介状を見せたら鍵を渡してくれた。
案内してくれるというので、素直に後を付いて行ったけど、監視の意味もあるのかな?
小部屋の扉は外側からも内側からも鍵がかかるようになっていて、さらに奥にはケースに入って鍵がさらにかかった本もある。
「そんなに重要な本が収められているんですか?」
「あの棚の中の本は全て呪いがかけられているんですよ。無理に開こうとすると火がついて燃えてしまう本とか、読むと生命力を奪われたり、中には霊にとり憑かれてしまったり」
怖!
「開けない本以外の中身は分かっています。重要な物というより利用者の方の安全を守る為なので、興味本位で開けたりしないで下さいね?」
しません!
なし崩し的に重要コーナーに先に来てしまったけど、多分ここじゃないと思う。
この光の勇者の身に着けていた魔道具とか、本当なの…って、え?ドーバ様って実在した人物っていうか、元人族なの?…へえ。神様って元から神様じゃない場合もあるんだ。
邪神を倒して神様になったんだ…へえ。
やっぱり進化したのかな?レベル999って、本当なら凄いな。
うん…やっぱりエリクサー関係の本が多いな。あ、蘇生石もある。
各地に残る聖遺物…現在も起動しているのは、サマルカンドの結界碑だけ…その他のは国宝になっているんだ。
こっちは世界樹の本か。…世界樹の雫?…もしこの本のとおりなら、高い効果があるかも!黒竜さんに聞いてみよう。
その他には、今の所興味を引く本はなかった。
「司書さん、ありがとうございました」
「もう終わりですか?」
まあ、不思議そうな顔をするのは分かるよ?紹介状があっても金貨5枚払っているから。ドーバ様の本は時間があればもう一度読みたいし、他の魔道具の本も気になるけど、まだ館内には参考になる本があるかもしれない。
魔方陣の本もこんなにある…読みたいけど、今日は我慢しよう。
マナはふと、読書コーナーに置いたままになっている一冊の本のタイトルに目を引かれた。
魔素水…へえ。自力で研究して作った人もいるんだ。
使い道が面白いな。栄養剤に使ったら効果が上がるかも?
持って来た人が来るまでもう少し読んでおこう。
「ちょっとお嬢さん?そこは私の席よ。絵本なら向こう側にたくさんあるから、あっちに行きなさい」
絵本なんて読む年齢じゃないってば。
まあ、他の子が聞いてきたようなお話を聞いて育ったわけじゃないから、参考までにぱら読みしておこう。
あ、絵本でもあるんだ。光の勇者って。
神様の本もある。…こういうの読んで育ったら、金色が神聖な色だと思い込むのも仕方ないかな…。
あ、多重積載魔方陣…気になるけど、うちにはもうアカツキがいるからいいや。
魔道具に関する本はさすがに数が多いな。魔道具といえば結界破壊の為のあれもそうなんだよね。
今回は基盤パクるの忘れちゃったな。出来れば破壊しないでそのまま欲しいけど、泥棒にはなりたくないな。
うーん。どう考えても良い子は真似しちゃいけませせん。だね。
なら壊したのはいいのかって話になるけど、多分相手が攻撃してきたのを壊したものだから、正当防衛にはなるみたい?
閉館時間を知らせる音が鳴り響く。あれ?もうそんな時間なんだ…ていうかお昼ごはん食べ損ねたな。
本に熱中して寝食忘れるなんて、私も成長してないな…。
ルードの方は大丈夫かな?まあ、ゴブリンごときにやられたりしないだろうけど。
図書館から出ると、ルードが待っていた。
「こっちは片付いたよ。マナはどう?」
「幾つか改善策は見つけられたよ。あとは実験と研究かな?」
もうお店も閉まっている。開いているのはお酒を出すお店位だ。
肉を焼くいい匂いが辺りに漂っている。おなかすいたー。
「今度はみんなでゆっくり来たいな」
「本当なら、マナがここまで頑張る必要はないと思うけど」
「そういう短絡的な思考はだめだよ?今回は神様に頼まれた訳じゃないけど、このまま放り出すなんてしたくない」
「僕達眷属は、マナを応援するよ。マナのやりたいようにやればいい。だから出来る事があるなら何でも言って」
あはは…そんな風に言われたら、将来自立できないな。
運命共同体なんだから、離れる選択肢はないけどね。




