フォンダンショコラ
ダンジョン探索は、今日はお休みして、減ってきた料理を作っていく事にした。
ルビー母さんにも、料理をお願いしてある。ユキはうどんを打ってくれるし、ルード達は狩りをお願いした。
それに丁度カカの実が収穫できるので、何か作りたい。
アカツキには畑仕事をお願いして、マナはまだ少ないカカの実を持って、先に熟成小屋へ入っていく。
ベーコンとかハムとか、ソーセージ、ジャーキーもいつもルードがおやつ感覚で食べちゃうので、予め部位ごとに切ってある物と交換していく。
美味しく食べてくれるのは嬉しいんだけど、いざ料理に使おうと思うと無くなっているのはがっかりする。
空き缶も、眷属達の収納庫から出して、出荷箱に入れた。
技術的な意味でまずいので、そこは徹底させている。
新たに缶詰も作りながら、チョコレート作りも平行して作業する。
今日は、フォンダンショコラを作るつもりだ。
チョコレートは、敢えてビターにした。ケーキが甘くなるから、その方がいい。
オーブンに入れるまで、ちょこちょこと味見したけど、やっぱりチョコレートは最高!
残ったチョコレートは、型に入れて固めてしまおう。
焼けるのを待つ間に、ボムシェルを取り出した。
外に出て、完全に結界で包んでから、刺激を与える。
ものすごい音がして、爆発した。凍らせて命を断つと、性質はそのままに爆弾として使えるみたいだ。
錬金術でも、爆弾は作れる。敢えて作ろうとは思わないけど。材料の火山岩も無いし。
レシピもちゃんとしてるって事は、そう難しくはないのだろう。
戦争でも使われているみたいだし。ただ、作っても、手で持ってぶん投げる位しか使い方がないから、まだまだかな。
前に壊した長距離攻撃用の魔道具みたいなのが量産されるようになったらさすがに怖い。
もしかしたら新たに改良されて、作られているのかもしれないけど、今の所狙いはワイバーンだし、聖別の結界がそれで破られるとは思えないけど、様子を探っておいた方がいいかな?
オーブンが止まったので、料理の手を止めた。
漂う甘い香りに、生唾をのみ込んだ。
魔法で粗熱を取り、五感強化のスキルをオンにした。
フォークを刺すとホロリと崩れる生地に、中から溶けだすチョコレートを絡めて香りを楽しみながら口に入れる。
「はふ…甘い。美味しい!」
チョコレート最高!こんなに美味しくなるのに、苦いってだけで研究もされずに放置されてるなんて勿体ない。
それにしても、五感強化は当たりスキルかもしれない。
美味しい物はより美味しく感じられるし、戦闘でも結構役に立つ。
あ、でも触覚だけは別。敏感になってもふもふできなくなるなんて、罰ゲームでしかない。
私には四感強化で充分。
時間的にはまだお昼前なので、中断した料理を再開しよう。
あ、スカイの収納庫に、ワシタカが入っている。
久しぶりに親子丼が食べたいな。鶏の卵だから実は他人丼かもしれないけど。
とりあえず血抜きはしてあるみたいなので、たらいに魔法でお湯を出して、羽根を毟る。
料理は一段落したけど、時間的にはまだお昼だ。午後は狩りに行こうかな。
戻ると、みんなお昼ご飯を食べていた。私はフォンダンショコラを食べてお腹いっぱいだから、昨日の羽根を使って、ユキの新しい玩具を作る事にした。
白い羽根をまとめてスティッキーの糊で細い棒と一緒に固めて、ルビー母さんから貰った糸で補強する。
「うにゃっ?新しい玩具にゃー!」
「ユキ!ご飯食べてから遊びなさい!」
「にゃ…」
ルビー母さんに怒られてすごすごと戻っていくユキに、ちょっとタイミング悪かったかな?と反省した。
「午後は私も狩りに行きたいんだけど、ユキは新しい玩具で遊んでいてもいいよ?」
「んー、マニャと一緒がいいにゃ」
みんな一緒の狩りに、テンションが上がっている。付近の魔物が絶滅しそうな勢いだけど、食用魔物は普通かな?まあ、しばらくは持つと思うけど、今回のダンジョンは何階層あるか分からないしな。
あとはルード次第かな。




